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女性の発達障害について解説します

本日は「女性の発達障害」というテーマでお話ししようと思います。
いくつか動画も撮っていますが色々語ります。

■種類分けに意味はあるのか

まずどんな種類があるんですかとかよく聞かれるのですが、例えば「受動型」とか「積極奇異型」とか言ったりしますけど、あまり意味はないのかなという気がします。この種類分けには。

色々なパターンがあって、色々な症状の出方があるので、どんなパターンか分けたところで、臨床的にはあまり意味がないというか。いろんなパターンがあるので、意味はないですね。

ただやはり代表的な例があって、例えば「積極奇異型」、すごく行動的なパターンだったり、「受動型」、すごく受け身なタイプとかは代表的なイメージなので覚えておくのもいいかなと思います。
積極奇異型はエヴァンゲリオンのアスカみたいな感じとかサザエさん、カツオくんとか。
受動型だと綾波レイ、千と千尋の神隠しのカオナシとか。
のび太くんは両方のパターンもあるしね。プラスLDがありますね。のび太くんの場合は。学習障害とかね。
色々なタイプがあるので、そういうことだと思ってもらえばいいかなと思います。

■症状

基本的には発達障害っていうのは3つに分かれるんですよ。
ASD自閉スペクトラム症、ADHD注意欠如多動症、LD学習障害。
これらのどれかだったりもするし、診断には満たないけれどグレーゾーンのような形でこの3つが少しずつ合併していることもよくあります。

ASDだと自分のこだわりがあるとか、それを繰り返すとか。あとは感覚過敏。ある特定の感覚刺激に対してすごく敏感で無視できないんですよね。
キーという音が嫌だとか特定の匂いが嫌だとか偏食があるとか。
あとはコミュニケーションの問題ですね。相手の立場で考えたりするのが苦手だったり、言葉をうまく使えなかったりするというのがあったりします。

ADHDというのは不注意ですね。忘れ物が多い、集中困難、衝動性の問題、多動。
大人になると多動は目立たなかったりします。
女性の発達障害だと多動は目立たなかったりしますけど。

学習障害というのは読み書き・算数が苦手、特定の勉強が苦手というのがあったりします。
これらが混在しているというのが、発達障害の臨床的な特徴かなと思います。

■日常で困ること

同じ発達障害でも困るタイプと困らないタイプがいて、どこでそんなに違いがあるのかなとを考えると、症状が重い人ほどトラブルが起きやすいということにはなります。

例えば言葉ですね。
リョーハムさんという発達障害の当事者の人がYouTubeメンバーに入っているんですけども、一緒にやっていて、「ああ、ここでトラブルのか」というポイントとして、例えば言語理解です。
しかも一般的な知識というよりは、てにをは、~すべきだ、べきじゃないとか、文法的なところで混乱していることが結構あるなと。

だから何気なく使っているんですけども、使い方ちょっと変じゃないのというのを聞いてみると、やっぱり結構間違っていたりします。それはLDの要素からも来ているのかもしれないし、わからないですけどね。言語理解がちょっと変だったりしますね。

あとはロジカルに考えるのが苦手な人たちも結構います。
算数とかと一緒ですね。LDの算数障害と似ているんですけど。
論理的に考えるとか論理展開をうまくやれないとか十分条件、必要条件とか、そういうのが苦手だったりするとロジックが通じないので「べき思考」になっちゃったりとか。
「べきじゃなくて、何%の可能性ってあるよね」とか言うと「可能性って何?」とかで、これも結構日常で困るポイントだなと思います。

あと視野の狭さですね。見てるところが少ないんですよね。
こだわり的でもあるし、集中困難だからかもしれないし、視野が狭い、思考の範囲が狭かったりするというのも結構問題かなと思います。

あと感情に支配されやすい、自分の感情を優先しやすい。
これらのポイントが一緒に仕事をしている中で、特に気をつけなきゃいけないし、間違って理解したりとか、誤解を生んでいたりするポイントかなと思います。

言語理解については独特なこだわり、コミュニケーション困難とか読み書きから来ている問題でもあるし、論理展開については算数の問題やこだわりとかから来ているかもしれない。
不注意や衝動的だから、集中困難から、論理展開を最後までちゃんとやれないという問題かもしれないし、視野の狭さについては、ASD的なこだわりとか集中困難から来る。

そしてこのレイヤーを変えられないですよね。遠くに引っ張ったりできない。
同じものを見せてもゆっくり見ているだけで、後から引いて見るとかズームができないんですよね。
ただ見ているような感じで同じ水準で。だから最初のことを忘れちゃうとかね。
そういう狭さもある。
自分の感情に支配されやすいというのもよくある症状だったり、困り事かなと思います。

幼少期はどんな感じかというと、すごく感情に支配されやすくて怒りっぽかったり、こだわりを変えられなかったり、相手の気持ちに立ちにくかったり、好き嫌いが激しかったり、食べ物を食べれないとか、洋服の好き嫌いがあったりとか、忘れ物が多いとか立って歩いちゃうとか、ケンカが多いとか、学校の成績が悪いというのが幼少期の様子だったりします。

■社会的に困っているかどうか

どれくらいの割合がいるんですかというのは、これも診断基準によります。
昔は発達障害はこれぐらい重くないと駄目だよねと言われていたのが、これぐらいはグレーゾーンだよねと言われていたものが、社会で求められているレベルが上がるにつれて、何となく診断の範囲が広がっているような印象を受けます。

これが良いか悪いかは別として、現実的に社会の中で忘れ物が多くて困るという人、感情的になりすぎて困る人たちが増えている。
知的労働を求められるがゆえに、マルチタスクとか複雑なものを求められるが故に、その基準に満たないがゆえに、病名が付くということが増えてるなと思います。

精神医学というのは、どこからが病気で、どこからが個性かという一つの基準としては、社会的に困っているか困っていないかなんですよ。
なので社会で求められるレベルが上がっていけば上がっていくほど、診断される患者さんは増えるということになります。

ということで、女性の生きづらさと発達障害の関係ということで、女性の場合は暗黙知というのが結構多いんですよ。男性と比べて言えないこととか多いですね。

例えば、性の問題、性的なものはおおっぴらに語られない。
だけど、男の人よりも女の人は生理を含めて色々なことを学ばなきゃいけないので、そこで暗黙で学べないがゆえにつまずいてしまう。
あと、男性は父親から教わらなくても、社会の中で男性社会のことを学べるのに対して、女性というのは社会の中では女性らしさとか学びにくいんですよ。
それはお母さんからしか学べなかったり、友達からしか学べなかったりする。
ちょっと密室的な知識なんですけども、そういうのが説明されにくいし、教わりにくかったりします。発達障害の人は。

こっそり教わるということが苦手なので、無視しちゃうことも多いので、そういう意味で女性社会になじめなかったりしてはじかれてしまうことが結構多いなと思います。

■治療法

発達障害の治療法なんですけれども、基本的には薬物療法ですね。
コンサータ、ストラテラ、インチュニブのどれかを使うか、その組み合わせ。
もう一つはカウンセリング及びSSTと呼ばれるものですね。

具体的に今あなたはどんなことで困っているのかということを、一つ一つ紐解いてあげる必要がある。
そして、情緒的な交流というよりは、このポイントですよね。感情に支配されないようにマインドフルネスをやりましょうとか、視野が狭いから広げるようにしましょうとか、ゆっくり落ち着いた状態で一緒に考えてあげる。
困っている点を論理的にここがおかしいんじゃないかということを、論理展開を紐解いて教えてあげる。
言葉の使い方が違うんだよね、相手はこういう風に誤解してるかもしれないよと、一回振り返ってその時の様子を丁寧に説明してあげるという作業がカウンセリングの場では求められるかなと。

後は疲れやすかったりするんですよね、発達障害の人は。
だから週5で働けない人たちも珍しくないので、その場合は福祉をきちんと導入してあげる。
障害者手帳だったり、障害年金だったり、あとは場合によっては生活保護だったり、そういうものを導入してあげるというのが治療の中では必要だったりします。

今回は女性の発達障害というテーマで発達障害を全般的に語ってみました。


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