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医師と患者はなぜすれ違うのか? 医療者とのコミュニケーション

本日は「医師と患者はなぜすれ違うのか、なぜ対立するのか」そういうことをテーマに一緒に考えていきたいと思います。


「あの医者は」とか「何なんだ」とか腹が立つことが結構多いですよね。
まあ、気持ちはよくわかります。

自分も実力不足だなと思うこともあるし、コミュニケーションが苦手だったり、もともと苦手だから精神科医を選んでいるのもありますけど、まあいろいろありますよ。
今回はそこら辺のことを一回整理して、なぜそういうことが起きるのかを一緒に考えていけたらなと思います。

■期待とのギャップ

まず、なぜすれ違うのかで一番大きいことは、医師が提供できるもの、医療従事者が提供できるものと、患者さんが持っている期待にギャップがあるからです。

僕らが提供できるものに比べて、患者さんが欲しいもの、期待しているものと違うからすれ違うんですよ。
十分な説明が欲しい、しっかり治してほしい、聞いてほしい、楽にして欲しい、楽になる薬が欲しい、いろいろありますよね。
これがなかなか提供できていないからですね。

例えば、十分に話を聞いてほしいといっても、保険診療の限界上、やっぱり再診は5分+αになってしまう。
儲けるためにやってるんじゃないかとか言われそうですけども、そういうわけでもないですね。

楽にしてほしいといっても、医療の限界もあるんですよね。
全ての病気が治せるわけじゃないので、やはりなかなか難しいよと。

あとはきちんと説明してほしいといっても、そもそも説明が難しいし、説明できたとしても相手が理解できるかどうかはわからないですよね。
だからきちんと説明してほしいと言っても、僕がYouTubeの力を使っていっぱい動画を撮ってますけど、それでも説明し切ることはない。
その動画だって難しくて何本も見れないわけですよね。
難しいとか疲れるとかあるから、やっぱりこれをYouTubeの力を使っていても難しいわけですよね。

ここの期待と提供できるものを提供したとしても、上手くいかない。
この理解に誤解があるからというのはまず大きいだろうなと思います。

■なぜすれ違いが起きるのか

あとはなぜすれ違いが起きるのかと言うと、そもそも病的な体験の中にいるんですね。

自分が調子が悪いとか、自分が変だとわかりつつも、その「変だ」という意味が客観視しにくい。
自分の中のこの苦しみの部分、ここだけ排除してくれと思っているんだけど、そもそもあなたのこの全部が病的なんだよと。
ここを取ってくれじゃなくて、ここ全部なんだよということが意外とわかっていないんですよね。

こういう形になっていかなきゃいけないんですけど、苦しみはどこかが抱えなきゃいけないので、これからこうなるのが治療なんですけども、このイメージがなかなか持てないのはあります。

とは言っても、スタート時点で双方の先入観はあるんじゃないかな気がします。
医師は医師で患者さんに対して差別的なものを持っている、がっかりしているとか、そういうことがないとは言い切れないですよね。
先入観がなければ治療はできないので、全くの先入観なしにということは難しいですよね。
この人はこうかもしれないという推測というか、そういうものを使わないと治療はできないので。

患者さんは患者さんで、医師に対する先入観があると思います。
権威的なものに対する怒りも含めて、だからすれ違うのかとか。

あとは治療者サイドの疲弊の問題、バーンアウトの問題もやっぱりあるなと思います。

皆さんが時々コメントをくれますけど、精神科医は病まないんですかとか疲れませんかとかよく言われますけど、病みますよね。普通にやってたら。
感情労働なので疲れますよ。
注意を払ってピリピリした状況で臨床したりするので、それはぐったり来ますよね。
そういう意味でも疲弊の問題はあるだろうなと思います。

もちろん疲弊を感じたら休むとか色々やりますけど、うまくいかないパターンもあると思いますし、うまくいっていない治療者もいるんじゃないかなとは思います。
なぜすれ違うのかっていうと色々あるなとは思いますね。

■結論が出ない問題をギリギリまで抱える

僕らが先入観を減らすとか休むとかあるんですけども、提供できるものと期待のギャップをどう埋めていくのかっていうことを考えていくのは大事だし、そもそも難しいんですよ、心のことを説明するのは。

うまくいかないことをどう抱えて生きていくのかは、なかなか概念として理解しにくいですよね。

益田の動画は結論出なくて何なんだよ、意味わかんねえよとコメントで書かれるんですけど、そうなんだよね。
結論が出ない問題をギリギリまで抱える。それが精神科の治療だったりするんですよね。

私は障害のある子どもがいて旦那は発達障害だ、私はそのせいでうつになってしまった。私は離婚すべきか、しない方がいいのか。
これは究極的に言ったら答えが出ないんですよ。どっちがいいのか悪い結果なのかって。
メリット・デメリットを明らかにして、早く決断を出しなさいとか、そういうものでもないんですよね。
ずっと考え続けてあるタイミングでは決断するかもしれないし、決断しないまま人生が終わる人もいるわけですよね。この問題を抱えながら。

僕らはそういうものなんだよと伝えつつ、寄り添い続けるのが治療であるし、
サポートをするということでもある。
この状況をスッキリさせてくださいってできないんだよね。
子供を治してください。旦那を変えてください。私のうつを治してください。

改善は可能かもしれないけども、
この問題がきれいさっぱりなくなることはないわけですよね。
だから何て言うんだろうね、そういうことを
しっかり理解してもらうのは難しいですよね。
ここの説明の仕方とか哲学的だからね。

医学的な説明も難しい。
心とは、薬とは、薬の副作用、なぜこの薬を飲むのが妥当なのかは、統計学的な有意があるとか、そういうのは結構難しいんですけども、加えて理解困難なもの、学問としての理解が量的に多いので、難しいというものもあれば、質的に難しい、先程のような哲学的な議題を抱え続けるという質的に難しい問題。
感情的な抵抗があって、なかなかそれを受け入れられない、常識では測れないようなものを受け入れることが難しいとかあります。

メタ認知が強くて、国語力が高くて、論理的に考える力が強くて理解しやすい人もいればしにくい人もいるので、そこの中で難しいなとは思うことは結構あります。

もちろん通院の中で論理力とかメタ認知力は上がっていくんですけども、基礎のベースの力は大事だったりします。
こういうことかなと思います。

だから提供できるものをどういうふうにデザインしていくのかが、僕が今YouTubeで考えていくべき課題なんだろうなと思っています。

YouTubeは無限に動画を撮れるので、無限に説明できるので、とにかく無限に説明してきたんですけども、メンタルヘルス大全という再生リストもできたので、リニューアルをこれからまたしていくんですけれども、リニューアルの中では、ここの問題も一緒に考えながらリニューアルしていって、できるだけきれいなデザインにして、シンプルな言葉で相手に伝えるようにリデザインしていこうかなと思っています。

■今日の宿題

あなたが思う、「なぜすれ違うのか」についてコメントで書いてください。
それをできるだけ建設的に「いや、医者がクズだから」とかじゃなくて、もうちょっと建設的にこうしたらいいんじゃないかというアドバイスを含めて書いてもらえると助かります。

もちろん、こういう風にYouTubeを使っていくとか、YouTubeがこういう風に発展していけば、医師と患者さんのすれ違いは減ると思います、みたいなコメントもいただけると僕としては大変励みになります。

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