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「2020」 3年・杉山耕二

2019シーズン、我々早稲田大学ア式蹴球部は関東大学サッカー1部リーグを戦い7勝3分12敗の8位で終えました。1部リーグで優勝した翌年に2部リーグに降格するという43年間続くジンクスを跳ね除け、厳しい戦いの中で歴史的残留は果たしたものの、総理大臣杯、インカレには出場できず、無冠の悔しいシーズンとなってしまいました。


はじめに、素晴らしい支援や環境を与えてくださるOBの方々、どんな時も僕たちに寄り添い共に闘ってくださるウルトラスワセダの方々、僕たちの試合を毎週取り上げてくださる早稲田スポーツ新聞会の方々、家族や友人、いつも支援応援をしてくださった全ての方々、本当にありがとうございました。来年も引き続き、ご支援のほどよろしくお願い致します。


2020シーズン、主将を務めます。

強い覚悟を持って取り組みます。"日本をリードする存在になる"というビジョンに向かい、全部員が自らの想いや熱量を表現し、常に最高の自分でいられるような組織を目指します。組織としても個人としても"日本をリードする存在"に近付けるような1年を部員と共に作り、必ず強い早稲田を証明します。

昨年の主将の岡田優希さん(現町田ゼルビア)は「ア式の4年生は特別」。そう僕らに伝えました。確かに振り返ると、いつの日もどんな時も誰よりも責任と覚悟を持って、その背中を持ってチームを引っ張ってきたのは4年生でした。95年続く伝統と歴史のあるア式蹴球部を背負うこと、応援し支えてくださる全ての方々の想いや期待に応えること、学生主導で22歳にして1つの組織を作り動かすことなど、挙げてみると特別だと考えられる要因はいくつかあります。その中でもア式の4年生が特別である1番の要因は4年生の姿、プレー、行動、言葉それこそがチームを現す全てになり、その全てがア式蹴球部の文化や伝統そのものになるからだと考えます。


"未来は先取りできない"


これは今シーズンを闘う中で、最も強く感じたことでした。今シーズンは辛く、苦しく、逃げ出したくなるほどのプレッシャーや重圧が常にありました。次の試合に勝てれば、あと2試合勝てれば、他のチームが負ければ、、自分やチームが追い込まれれば追い込まれるほど未来の理想を考え、口にしてしまう弱い自分がいました。でもそれは、ただ現実から逃げて現実と向き合うことを拒否しているだけでした。本当に大切なのは今この現実を受け入れて、現状をより良くするために自分に何ができるかを考え、目の前にあるやるべきことを全力でやることでした。一瞬一瞬、一日一日を着実に確実に積み上げて、どんなにダサくても泥臭く愚直に直向きに、半歩ずつ一歩ずつ進んでいくことでしか、より良い未来を掴み取ることはできないのだと感じました。上手くいかなかった時に結果ではなく、その結果に至るまでの過程にフォーカスして、「本当にこれでよかったのか?」「全てやり切った上での結果か?」を自分やチームを疑い、問い続けていくしかない。そのトライアンドエラーを繰り返し、より良くするために思考を働かせ、行動を起こし続ける。今を全力で取り組んでももしかしたら勝てないかもしれません。それでも、今を全力で取り組めなければ絶対に勝てないということを強く感じました。これらは当たり前の事かもしれませんが、困難な状況で継続的に行うことは非常に難しいことです。これらを成し遂げた先に僕らの目指すべき姿があると思います。

特別と言われるア式の4年生になるにあたり、1年後にどんな姿になっていたいとか、何を残せるだろうかとか、未来のことを考えても結局は今この瞬間を全力で積み上げていくことでしか、その未来を掴み取ることはできません。ア式の4年生として後輩に継承していくものは、聖地東伏見での日々でしかないと思います。その一瞬一瞬で猛烈に思考を働かせ、その一瞬一瞬で僕らの想いを圧倒的に表現し、その一瞬一瞬を積み上げることで、ア式の伝統や文化を紡ぎ繋いでいけるはずです。 


最後になりますが、僕の誇れる同期の話を紹介させていただきます。
残留をかけた関東リーグ最終節の週、東伏見に掲げられた1つの横断幕。

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この『歴史的残留』と書かれた大きな横断幕は、僕の同期が作ったものです。公式戦のメンバーに入れないメンバーが少しでもチームの力になれればと、試合に出られないもどかしさや悔しさをグッと抑えて、チームに対して当事者意識を持って、自らの立場で何ができるかを考えて、自らの気持ち、想いを形にして表現してくれました。他にも同期の胸が熱くなるようなエピソードは数多くありますが、今回は割愛させていただきます。僕の同期は一人一人が強烈な価値観や考えを持ちあわせた個性派揃いのメンバーです。そんな各々の価値観や考えの方向性を揃えるために交わした、これまで3年間での同期との会話の数は計り知れません。互いに気づきを与え合い、ぶつかり合い、干渉し合い、如何なる時も苦楽を共にしてきました。密度の濃いア式での時間を過ごして、同期の良いところも悪いところも全て知っています。全てを知った上で僕は彼らが大好きです。

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僕が主将をやると手を挙げたとき、1人の人間として成熟した、心から尊敬できる最高の同期が僕の背中を押してくれました。「スギに任せる」と言ってくれました。「スギを支える」と言ってくれました。

僕はその想いを背負って、早稲田を背負って、闘います。


苦しい思いをし続けて、それでやっと果たした歴史的残留。やっと掴み取った関東1部という尊い舞台。この1年間での試行錯誤はとてつもなく貴重で、他の誰にもできないことだったと思います。これまでア式で積み上げた全ての経験が必ず僕らの血となり肉となり、苦しい時に力を与えてくれるはずです。全ては来年僕たちが、ア式蹴球部が強くあるために必要な事だったと思えるようにします。今シーズン、負けることの悔しさを、勝つことの喜びをどのチームよりも味わいました。だからこそ、どのチームよりも誰よりも勝利に飢えています。長く助走は取ってきました。あとは遠く高く飛ぶだけです。

最高の同期、メンバー、スタッフと共に必ず強いア式を証明します。
ア式の1stたる姿を体現します。
最高の景色を見に行きます。


絶対にやってやろう。2020チームで。


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杉山 耕二(すぎやま こうじ)
学年:3年
学部:スポーツ科学部
経歴:三菱養和巣鴨ジュニアユース(練馬区立石神井東中学校)→三菱養和SCユース(中央大学杉並高校)

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