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「恩をまわす。」 3年・山田晃士

私はゼミで異文化コミュニケーションを学んでいます。
 
ゼミでの活動は、サッカーしかやってこなくて、ずっと体育会でやってきた私にとって新鮮で多角的な視点をもたらしてくれます。
ゼミでの活動は、私の考え方に大きな影響を与えてくれました。


以下の言葉をご存知でしょうか。

「…がんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったことを忘れないようにしてください。あなたたちが今日「がんばったら報われる」と思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです。(中略)
あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。」


これは、平成31年度の東京大学学部入学式での認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク理事長である、上野千鶴子さんによる祝辞の言葉です。


この言葉もゼミの活動で取り上げられました。
これはゼミで取り上げられたトピックの中で特に私に影響を与えているものです。
この考え方は私の思考に強烈なインパクトを与え、ゼミで取り上げられて以来、私の頭の中には常にこの言葉が存在するようになりました。



そして最近、来季4年生になるにあたり、より良いチームを作るために、早稲田らしさとか、自分はア式をどのような組織にしたいかとか、自分がア式で何をしたいのか、といったことを考える機会が多くありました。
来季のビジョン、ミッションを設定するためです。
そうした機会の中で、この上野さんの言葉は、私がこの早稲田大学ア式蹴球部で何をしたいのか、ア式蹴球部が何をすべきなのか、という問いに答えをもたらしてくれました。


その答えとは、“恩をまわすため”です。


私は現在、早稲田大学ア式蹴球部でサッカーをやらせてもらえています。
早稲田大学ア式蹴球部にいることでサッカーができるグラウンドや備品を労なく得ることができたり、早稲田大学の学生であることで“上位校限定の合説”のような就活の機会を労なく得ることができたりしています。これらのことは私たちが恵まれた環境にいることを示しています。

じゃあ、なんでこんなにも恵まれた環境に来ることができたのか。それは、多くの方々に愛され、支えられ、助けられてきたからに他なりません。
両親はじめ友人や指導者、先生、多くの方々に支えられてこなければここまで進んでくることはできませんでした。
これは私だけではなくて、同じ環境にいる他の人も同様だと思います。

「いやいや、今の環境は私が頑張ってきたからあるんだよ。」と思う人もいると思います。

確かに当人の努力は間違いなくあったと思います。ですが、そうやって頑張れるということも環境的に恵まれているからこそできることだと思います。
決して自分だけの力ではありません。自分の力を100%、いや、120%出したとしても多くの方々の支えがなければ進んでこれなかったはずです。


こうした中で私やア式蹴球部は何をするべきなのか。

それは今まで私を愛し、支えてきてくださった方々に“恩返し”をする。
そしてそれだけではなく、今度は誰かを愛し、支える側になり“恩まわし”をする。
決して自分のためだけに生きるのではなく、他者の存在を意識して生きていく。困った人を助けるなんて大層なことはできないかもしれない。それでも、いつだって他者の存在を意識してその人たちの力になろうとする。
それこそが私やア式蹴球部がするべきことなんじゃないかと上野さんの言葉を通じて思いました。

恩まわしのやり方はいろいろあると思います。
社会貢献活動をするというのはわかりやすいこととして1つ挙げられますし、チームとして結果を出して、応援してくださる方々に届けるというやり方もあると思います。また、結果が出なくても一生懸命最後まで走り続けるということだって、それを見た人の心を動かすかもしれません。
大切なのは、感謝の気持ちをもって他者の存在を意識し、その人たちのためにプレーしようとする精神性だと思います。



私の尊敬する指導者の1人である、J3アスルクラロ沼津の吉田監督が今季のJ3最終節ホーム愛鷹で行われたセレモニーとサポーター挨拶の場でこのようなことを言っていました。


「感謝の気持ちがあるから、全力でプレーできる。
全力のプレーがあるから、信頼が生まれる。
信頼があるから夢が叶う。」
K(@__oleole__)さんのツイートより
https://twitter.com/__oleole__/status/1204365301690724353?s=20
 「…サポーターがいなければ、頑張れないです。人は自分のためならサボります。ですけども、人のため、チームのためなら頑張れる。」
たじぇいさん👑12/21神戸戦(@oranje_vb)さんのTwitterより
https://twitter.com/oranje_vb/status/1203575457943154690?s=20


吉田監督はJ3優秀監督賞を受賞した経験がある方で、今季は思ったような結果が出なかったものの、アスルクラロ沼津をJ3参入初年度で3位、次年度は4位に導いた方です。
そんな優秀な方もまた、他者の存在を意識する、感謝の気持ちを持ってプレーするといったことを言っています。
中学時代に吉田監督に指導を受けてから、彼の人間的な魅力をとても感じているのですが、たぶんそれはそういった気持ちを行動で表現し続けているからだと思います。多分組織になっても同じで、他者の存在を意識し感謝の気持ちをもって活動し続けることが魅力的なチームになると思います。
また、吉田監督の言葉からわかるように、そうやって恩を返したりまわしたりしようとするからこそ発揮できることもあると思います。いつかは自分のためにもなるということです。



大学生活も残り1年になりました。
ついにここまで来ました。
来季も大変なこと、苦しいこと、たくさんあると思います。
そんな中でも、感謝の気持ちをもって、これまで支えてきてくださった方々や応援してくださる人、地域の方、同じ早稲田学生、子供たち、色んな人たちのために個人としてもチームとしても全力で走り切りたいと思います。

どうか応援よろしくお願いいたします。


拙く読みづらい文章だったと思いますが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。


山田晃士


山田 晃士(やまだ こうじ)
学年:3年
学部:社会科学部
経歴:アスルクラロ沼津U-15(湯河原町立湯河原中学校)→浦和レッズユース(埼玉県立与野高校)


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