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【開催報告】変わるもの、変わらないもの

2008年早稲田大学卒業の映画監督・太田信吾さんと高橋知子さんをお招きし、作品上映後にトークショーを開催いたしました。多くの校友が見守るなか、同じく2008年卒の後藤結美さんをモデレーターに、映画への思い、早稲田への思いを語っていただきました。

第1部 :太田信吾さん

ー「Candle For Minority」「大津city今恋心」を撮影される上で、太田さんが共通して大切にされていたことは何でしょうか。

一つの価値で判断しないことです。脚本や編集、起承転結の強いストーリーに引き寄せられすぎず、そこからこぼれ落ちた視点も大切にしたいと意識していました。

ー太田さんは、自分のことを他者のように捉えて映画を作っていきたいと以前おっしゃっていました

「私は私である」という前提で物語が進むことに違和感があります。人からの影響や時間の経過によって人は価値観が変わりますよね。人は多面的であり、一つに捉えられないものだという思いが僕の根底にあります。僕がドキュメンタリーを撮影することが多いのは、人の変化を常に見ることができて面白いと思っているからです。

ー今日久しぶりに早稲田に来られて、どのような感想をお持ちになりましたか。

大学で哲学の物語論を勉強していたこともあって、「一つの時間軸で物語を語らない」ということを僕は常に意識しています。早稲田を卒業して10年経ったんですけれども、今日久しぶりに訪れて、本当に卒業したのかという気持ちになりました。確かに卒業して一区切りはついたんですけれども、卒業してないつもりで何かをやっていきたいなと思いました。


第2部 :高橋知子さん


ー監督デビュー作品「きみは海」で、同性愛を描かれたのは何か理由があるのでしょうか。

恋愛がテーマの映画を作りたいという思いがまずありました。恋愛が一番人を成長させると私は思っていて。同性愛を描いたのは、自分のためではなく相手のためを思うような、人と人との本当の思いやりを描けるかなと思ったからです。

映画監督としてのキャリアがスタートしました。これからどんな作品を作りたいと思っていますか。

これからも恋愛をテーマに映画を撮りたいと思っています。恋愛は付き合ってからが二人の関係のスタートだと思っているので、結婚した後の話も興味があります。例えば子供ができて二人の関係性が変わったり、離婚のいざこざなども撮ってみたいです。

ー早稲田大学を卒業して10年。高橋さんはどう変わりましたか。

企業に就職して、フリーの助監督になって、自主制作もして……変わりすぎました(笑)その過程で、昔よりも人のことを思いやれたり、想像できるようになったかなあと思います。

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思い出深い早稲田大学に10年の時を経て集う懐かしさ。太田さん・高橋さん・観客の皆さん、それぞれが色んな思いを感じられていたように思います。大学では学部再編やキャンパスの工事があり、卒業生は就職したり結婚したり。10年間で変わったものが多いなかで、仲間との関係や自分の価値観は変わっていないことを実感されたのかもしれません。懐かしさと共に未来への決意に満ちた、暖かいイベントとなりました。ご来場いただいた皆さま、応援いただいた皆さま、誠にありがとうございました。

(テキスト、構成:池田千晴、撮影:中しゅんすけ、和保皓介)

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