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📚小説感想文「絶唱」湊かなえさん

久しぶりに小説を読んでみたいと思った。
作詞の種まきに役立つだろうし、単純にエンタメとして本が読みたい!
また、勤務先の近くに立派な図書館を発見、利用しまくることにしたことに端を発します。
今後、感想文を書いていくのもよいかも。
小説は、ビジネス書から学べないことをたくさん学べると思うので。

■なぜこの本を選んだか?

タイトルに惹かれた。「絶唱」ってなに??
また、湊氏の本は何冊か読んでいて(贖罪、白雪姫殺人事件など)、まあハズレはないだろう、そして読みやすい文体であると記憶していました。

■本の構成は?

目次をみると、4つのショートストーリーの短編集かと思ったが、読み進めると違っていた。4つのストーリーは、あるテーマで一貫されているし、それぞれが相互に関与している。4つのストーリーごとに語り手が異なり、他のストーリーで他の語り手が登場したりする。
湊氏の構成力が高い。4つのストーリーで語り手を変えることにより、登場人物の主観と客観がはっきりして、おもしろい。
小説でなくても現実でもよくあることに違いない。だからリアリティがあり、読者が共感を持てる手法ではないかな。

【目次】
・楽園
・約束
・太陽
・絶唱

■テーマは?

貫かれたテーマは、神戸の震災、失われた命、震災が各人に与えたインパクト、希望の地として描かれているトンガ王国。
震災や失われた命、それに関連して生じる登場人物の葛藤、憂いなど、たくみに表現されていて気持ちも落ち込むが、希望も描かれている。南の島トンガのボランティア、トンガで宿を経営している日本人女性の優しさ。プラスとマイナス、両方あるので読み進められる印象。
登場人物の有機的つながりも気になるポイントで、関連性がわかると、なるほどなるほど、となって本を閉じられた。

■印象に残った個所は?

悲しいのは別れであって、死ではない。むしろ、生きていることが試練であって、私たちは毎週日曜日に教会に通い、イエス様のお声を聞かせてもらう練習をしたり、同じ世界に住むにふさわしい人間になるために日々、鍛錬を積まなければならない。つまり、死とはイエス様と同じ世界に住むことが許されたという証で、喜ばしいことなのだ。
だから、死は悲しむべきことではない。親しい人との別れは悲しいけれど、祈りをかかさずにいれば、いずれまた同じ世界に住み、話したり笑い合ったりすることができるようになるのだから。

湊かなえ「絶唱」約束より

どうしてわたしはおいしいものをおいしいと言えないのだろう。優しい言葉をかけられても、これは本心だろうかと疑ってみたり。楽しい時間を一緒に過ごしても、満足しているのは自分だけじゃないだろうかと虚しくなったり。労りの言葉をかけられても、社交辞令に違いないと自分に言い聞かせたり。

湊かなえ「絶唱」絶唱より

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