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七夕におもう

私が幼い頃、七夕の夜には家族と一緒に庭に出て、夜空に瞬く星々を見上げたものだ。天の川が夜空に広がり、牽牛と織姫の星が一年に一度出会うというロマンチックな伝説に胸を躍らせた。しかし、今では街の灯りが明るすぎて、天の川どころか数えるほどの星しか見えなくなってしまった。

現代の子どもたちにとって、七夕の伝説は絵本の中の話しに過ぎず、実際に夜空を見上げてその物語を想像することは難しい。防犯のために設置された明るいLEDの街灯が、都市だけでなく田舎の夜空も照らし出している。確かに防犯は重要だが、夜空の美しさを犠牲にしてまで得るものなのか疑問に思う。

日本には「陰翳礼讃」という美意識が根付いている。光と影の調和を尊び、自然の美しさを大切にするこの考え方は、現代の都市計画にも取り入れるべきではないだろうか。防犯だけでなく、街の魅力を引き出すためには「美しさ」という基準も必要だと思う。

田舎の美しい夜空は、訪れる人々に感動を与える貴重な財産だ。それを取り戻すために、行政は「美しさ」を基準に街づくりを見直してほしい。夜空に広がる星々を眺めながら、七夕の夜に思いを馳せることができるような環境を整えることが、子どもたちの未来にとっても大切なのではないだろうか。

七夕の夜、星空を見上げて思う。便利さや防犯だけでなく、私たちの街の本当の魅力とは何か。その答えを探し求めることで、もっと豊かで美しい街づくりができるはずだ。

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