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お守り

彼女は「はい、お守り」と手紙をくれた。空港で、1ヶ月早めの誕生日プレゼントと一緒に。

正直いつから手紙のことをお守りと呼ぶようになったか、どちらが先にお守りにしたのか覚えていない。去年の誕生日にもらった手紙もお守りとしてずっと手帳に挟んである。彼女の手帳にも私が書いた手紙が挟んである。

彼女からもらったセンスの良い手紙を読むといつも少し泣きそうになる。少し愛が込もっているからかもしれない。そして、少し驚かされる。ああそんな風に思っていたのか、と。

あまり表現をしない彼女の友人であるということは簡単なことではないかもしれなくて、自分もきっと大勢の中のひとりなんだろうと無意識に思ってしまいやすい。でも彼女は私がただの通りすがりの人ではないと手紙では言う。

手紙には効力があると思う。なぜなら、直筆であって消すことができない=残るから。簡単には思っていないことは書けない。少なくとも私は。まあだからお守りに成り得るんだろう。

 「お守り」 こう自信を持って言い換えられるということは、それがお互いの助けになることを知った上でないと出来ないことで、今思うと有難いことだ。

来年の春、私も「はい、お守り」と彼女に手紙を渡そう。


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