見出し画像

入院することにした。


僕は入院をしたことがある。幼い頃だった。病弱だった僕はよく入院をしていたそうだ。大人になってからは2019年、前回の遺影を撮ったときに入院した。ちょうど1ヶ月入院した。その時は25歳だった。思えばずっと闘ってきたなと思います。だから少しだけ休みたいと思います。とInstagramに書いていた。

だけど、本当は休めてなかった。どうしても頭をよぎるお金のこと。そして思った以上に暇だった。その時に休むと暇の違いに気付いた。僕は、休みたい。だけどここでは、ただ暇な時間を費やしているだけのように思えてきて、ちょうどキリがいい1ヶ月で退院することにした。

しかし、完全な回復には至っていない。そもそもうつ病に完全な回復はあるのか。色んな本や色んな人に話を聞くと、ずっと付き合っていくしかないよ。と言われる。しんどい波をできるだけ小さくするしかない。

そして、現在30歳になった。2024年。25歳から30歳の間、本当に苦しい場面はたくさんあった。いわゆる希死念慮というやつである。死にたくて、でも計画したり、実行したりなどまではいかない。だけど、死にたい。消えたい。ずっとそんな感情が僕の中にあった。

そして、それがいつだったかはわからない。今から2ヶ月前くらいか、爆発してしまい、手がつけられなくなった。死にたい。なのに死ねない。苦しさだけがいつも側にいた。主治医の先生に入院を勧められた。おーけーさんの味方を増やすのもすごく大事なことですよ。と言われ、考えながらも休めなさも知っているから、正直めちゃくちゃ悩んだ。前もしんどい時は乗り越えてこれたじゃないか。今回だってそのうち波が小さくなるはず。



今年に入り「OVER」という雑誌にエッセイを掲載しないかと言われ、僕は挑戦してみることにした。その時、参考に家にある詩の本などをいくつか読んだ。ある本の中に、昔自分が書いた詩が挟まってあった。

『電気を消した部屋で君を見る。
海に向かっている君はどんな表情をしているの。
こんなにも小さな肩にあんなにも大きなものを背負っていたんだね。
あっ、このまま全部置いて向こうまで行こうよ。
でもきっと真面目な君は、出来ないって言うんだろうね。
この場所で震えながら立っている君はすごいよ。
すごいんだよ。
だから、だからいつか涙を拭いてこっちを向いてよ。
きっと、夜になったら潮が満ちる。
僕は待ってるから、一緒に濡れよう。』



自分の言葉に大粒の涙が出た。
僕はしんどいんだ。死にたいと思いながら生きていくこと。家族を捨てること。どれも簡単じゃない。初めて、自分を抱きしめたくなった。よくここまで頑張った。30歳までずっと、ずっとしんどくても言えなくて。一人で生きてきた。誰にも分かってもらえなくて。それが余計にしんどくて。来週、入院することが決めた。今度こそ休もうと思う。傷ついた自分を迎えに行こう。


photo by トナカイ 2024/04/11