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知恩院のミッドナイト念仏2023に参加したら一皮剥けた

 夜の知恩院ですごい体験をしてきたので感想をまとめておきます。
いやぁ、すごかった。。。

ミ ッ ド ナ イ ト 念 仏 とは

 『ミッドナイト念仏』とは、京都は知恩院にて毎年4月18日20時〜翌19日7時まで行われる、浄土宗の開祖・法然上人の忌日法要行事の一貫です。
1997年開始なので今年でなんと26年目。
こんなイベントコンサルが適当に考えたような変な名前なのに、四半世紀も続けられているれっきとした宗教行事なのです。
 さらに、会場となる三門は国宝!普段は立ち入り禁止の貴重な場所に一晩で何人もの一般人を受けて入れて下さるワケです。ここからも如何にガチなのか分かるかと思います。

公式サイトより引用

《ネンブツガトマラナイト!》
 ガチの宗教行事なのにこんなチョケてて良いの!?なんかLIVE配信まであるし!!
そしてサイトデザインが非常にクール。これはクラブでやるイベントか??
 公式サイトによると、オールナイトで11時間ぶっ通しで参加する5名の精鋭『ツワモノ』以外は事前申し込み不要で当日現地に行けば参加できるとのこと。
こりゃ参加するしかないっしょ!

ミッドナイト念仏、大人気

 夕飯をしっかり食べてから20時過ぎ頃に現地に到着。雨天の予報だったけどこの時点ではギリギリ降ってなかったのでありがたい。
 ちなみに誘ったら夫もついてきてくれました。京都在住歴20年以上だけど初参加だそうです。

ここか、祭りの場所は

 すでに老若男女外国人までかなりの人数が並んでおり、この行事の人気っぷりにビックリ。
Twitter情報によると、どうやら19時くらいから並んでる方もいたようです。すごい。
 お坊さん達が
「ミッドナイト念仏、最後尾はこちらでーす!」
「オールナイト参加の方は直接お申し付けくださーい!」
などと列整理をしていらっしゃる。お坊さんの口から出る『ミッドナイト』『オールナイト』がめちゃくちゃ面白い。最後尾札を持ちたくなる。
 そして頭上の三門からはポクポクポクポク……と木魚の音が響いてくる。そのビートがなかなか速い。今まで参加したお葬式や学校行事(幼稚園と短大が仏教系でした)で聞いたお経をうっすら思い起こしても速いような気がする。
 夫と二人で
「これBPMなんぼくらいなんだろ……」
「この速さに付いていけるかな……」
と、やや不安になった。生きているとお経のBPMが気になることもあるのだね。

待機列でも楽しい!有難い!

 列の進み具合は感覚的に、ちょっと混んでる時のユニバのジョーズくらいでした。

 少しずつ列が進んで三門の入口が見えてきたあたりで、待機列に向けてお坊さんがお話をして下さっていました。その話がまた面白い!!
私が並んでいた時は、日本語として定着してる仏教用語や祇園の花街が発展した理由などを簡単に説明して下さったり、人が集まらなくてもうやめてしまおうかと考えていたある年に参加者の誰かがSNSで『三門なう』と呟いたらそこから話題となりだんだん参加人数が増えていったというエピソードを披露していらっしゃいました。
 あと、御朱印を集めているというお客さんに話の流れで「ほぉー、それはまたなんでですか?」などとぶっちゃけたことを訊いててさすがに笑ってしまったww
昨今では御朱印帳がスタンプラリー化してるのがやっぱり気になるのでしょうか…w
 お話の間、私の後ろに並んでいた外国人連れの日本人の方がお坊さんのお話の要所要所をお友達に通訳して伝えてあげてて最高に京都してるなと思いました。

 お坊さんのお話があまりにも面白かったので、拝聴料代わりに300円のミッドナイト念仏限定御朱印を購入。

不 断 念 仏


 並び始めてから1時間と少しくらいでようやく三門入口に入場できました。
 私の後ろの外国人連れの方々はお話しして下さっていたお坊さんと記念撮影してました。それもうユニバのキャストさんと記念撮影するノリじゃん。ちなみに、お坊さんは慣れた様子でニッコニコでした。うーん、京都だね!

下の方で白く輝いてるのはデジタルサイネージ


国宝内でポクポクポクポク......

 そんなわけで21時半にいよいよ我々の番がきました。靴を脱いでビニール袋に入れ、アンケート記入などして呼ばれるのを待つ。
階段の上からはポクポクポクポクが鳴り響く。やっぱりBPMが気になる。今からノーリハであれに混ざれるのだろうか。。。
 しばらくしてトランシーバーを装備した誘導係のお坊さんから「ロープをつたって気を付けて上がって下さい」と言われ、めちゃくちゃ急な階段を登る。何も考えずマーメイドスカートを履いて来てしまったのを激しく後悔した。次はズボンで参加する。

 三門内は撮影禁止なので会場の様子はこちらでご確認を。
中央の宝冠釈迦牟尼像の迫力がとんでもない!光背の左右に光り輝く『南無阿弥陀仏』の文字がまるで格ゲーかスパロボのトドメ演出のようです。(不敬)
その両脇をがっちり固める十六羅漢像は「やったるでぇ!!」という張り切った眼差しでお堂に座る人々を見つめており、天井や壁に描かれた極彩色の天女や飛龍は木魚の音を反響させてサポートしてくれます。
 鳴り響くポクポクポクポク。唱えられるなむあみだぶ。そう、ここは年に一度の国宝ステージ……!!

 釈迦牟尼像前のセンブロやや右あたりの良ポジションの2席に夫婦連番で案内されて座りました。
とりあえず正座してバチを右手に取り、恐る恐る木魚を打つ。ポクポク。手応えめっちゃ良い。
そして既に巻き起こっているポクポクの波に静かに加わり、左手を立てて胸元に添え、リードボーカルのお坊さんに合わせてマスクの下で「なむあみだぶ」と唱える。
 やることは言うてしまえばそれだけなのですが、これがまた不思議と楽しい。
木魚を叩いている最中は当たり前ですがスマホなど一切見れず、堂内の灯りはうっすらとしていて幻想的。日常生活では絶対に味わえない謎の一体感がそこにありました。
 延々と木魚を打ち続けていると、突然この場の全ての音が同期する瞬間が訪れて、なんかこう、すごいことをやっているんだなぁと感動しました。

 一度やり始めたら気が済むまで続けられるシステムなのも贅沢だと思いました。
一人あたりの持ち時間を決めないで運営するのはお客さんの回転率を計算できないから大変そうですけど、あくまでも無料の宗教行事であるから成立しているのでしょうね。
 たまに足を崩したり、目を開けて釈迦牟尼像を見上げたり、天井の飛龍と睨めっこしたりしつつひたすらポクポク&なむあみだぶし続ける。無心で続ける。ちょっと気持ち良くなってくる。ホットヨガの終わりの瞑想タイムみたいでした。
 名も知らぬ人々と共に黙々と同じ所作を繰り返すのって、案外心が落ち着くのかも知れません。

 そして、何かのタイミングでふと隣でポクポクしていた夫と目が合いスマホの時計をソッと見せられたら、なんともう22時半を回っていました。あらやだ1時間も経ってるじゃん!
多分ここが我々の潮時なんだなと解釈し、一礼して立ち上がって次の人にバトンならぬバチを託す。

 俺のミッドナイト念仏は終わったが、ミッドナイト念仏はまだ終わらないのである。

最高に京都した

三門楼上から見る京都

 堂内は撮影禁止ですが堂内から景色を撮るのは可能でしたので撮らせていただきました。京都は建物が低いからもしかしたら昔の人とそう変わらない景色を見れているんじゃないかなとワクワクしますね。

雨降らなくてよかった!

 夜の八坂神社を抜けて駅まで歩く間、脳内にずっと木魚とお念仏が残っていてふんわり心地良かったです。
私自身はそんなに信心深いわけでもないし、家の宗派も浄土宗じゃないのですが、今回ミッドナイト念仏に参加したらなんかちょっと人間としてレベルアップしたような気さえします。
 あくまで浄土宗の開祖である法然上人を偲ぶ宗教行事だけど、参加者は他宗派でも良いし、仏教徒でなくても良いし、なんなら趣旨をよくわかってない観光客もノリで参加できるような雰囲気で、とんでもなく懐が深いなぁと思いました。

 そういえば卒業した短大の学長(お坊さん)が何かの会で
『日本の仏教は人が死んだらいきなり出てくる《葬式仏教》と揶揄されて久しくなってしまった。君たちはせっかくご縁があってここで学んでいるのだから今後の人生の中で困ったことがあればお寺さんを頼るという選択肢を持って欲しい』
などと語っていたのをふと思い出しました。

 待機列の人々に向かって色々とお話をして下さったお坊さんもそういう気持ちだったのかな?
宗教っていうと難しい感じになっちゃうけど、せっかくあるモノなんだから生きてるうちから利用した方がお得だよね〜。

カッコいい。仏教系厨二心がくすぐられるぜ…。

 無料配布されていたからいただいてきました。
『散華』という物らしい。
ググったら極端に粗末に扱わなければOKで、カジュアルに壁に貼って飾ったり栞として利用しても良いそうです。

 こちらの方のレポ漫画をTwitterで見かけてぶっちゃけ物見遊山で参加したけど、すっごく貴重な体験ができました!
来年も是非ともポクポクしたいです!
京都って面白いものがたくさんあって楽しいな〜。

また参加する時用の箇条書きメモ

  • ズボンを履いていく

  • 肌寒いので羽織る物を持っていく

  • 結構並ぶのでそれは覚悟する

  • お坊さんのお話は面白いのでしっかり聞く

  • トイレは円山公園のトイレを利用する

  • 時間の感覚がわからなくなるので終電逃しに注意!

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