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WARP-01開発ストーリー

この記事はWARPSPACE Advent Calendar 2020の16日目の記事です。
公に向けて発信する文章を書くことがほとんどないので少し緊張気味のEngineer木村です。この記事では先日JAXAに引き渡しの済んだWARPSPACE初の超小型人工衛星「WARP-01」開発の裏話をいくつか書こうと思います。

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このWARP-01の公式カットですが、既に色々なところに掲載されています。NASAのページにもWARP-01のことが既に掲載されておりまして、この写真が横に据えられていることかと思います。背景のラインが上手くキマってますがこのライン実は加工とかではないんです。

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この写真は弊社お抱えのカメラマンの川原氏にこんな感じで撮影してもらっています。小さい製品のカットを撮る際に用いる卓上撮影ボックスだそうで内部のライトとボックス内の反射でいい具合の写真が撮れます。ちなみにWARP-01のカラーリングについてはよく聞かれます「一体なぜ赤いのか」と。まぁ答えは決まっておりまして「うちの衛星『赤い衛星』なんです」とお答えさせていただいているわけです。ちなみにカラーの検討はいくらかしておりまして、こんな感じでイメージ図を作ったりもしていました。

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今見返してみると赤2が実際のものに近いですかね。濃い青も個人的には好きでしたがやっぱり3倍だよね(?)ということで赤色に決定しました。この選択、そもそも衛星をカラーリングするという発想がすでに結構Leapしていたんじゃないかと思っています。JAXAへの引き渡し時にも今まで見てきた衛星で一番かっこいいというコメントをいただいたりしました。ありがたい限りです。Be attractive

このカラーリングはアルマイト処理による酸化皮膜の形成時に着色料を用いることで発色させています。ISSからの放出する際の要求として衛星の角の部分はハードアノダイズド加工(硬質アルマイト)が必要になります。その際ついでにボディのカラーリングもできるということでしたのでお願いすることにしました。当初は金色のラインを入れたりすることも考えていましたが、流石に処理が複雑になりすぎるとのことで断念しました。このメタリックな発色はアルマイト処理特有のもので、写真で見るよりも実物を見るほうが感動します。

昨年末は大変な試験が多く、連日泊まり込みでの試験を行っていたのが既に懐かしいです。超小型人工衛星の重要な試験として熱真空試験というものがあります。温度コントロールのできる真空チャンバーを用いて、宇宙を模擬した環境に試しに衛星を入れてみるという試験ですね。この試験をCTOと2人で取り仕切りながら数日昼夜ぶっ通しでやりました。

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チャンバーに放り込まれる衛星はこんな感じで配線まみれになります。衛星の状態をモニタリングするために大量の熱電対を衛星に装着する必要があるからです。昼夜ぶっ通しで実施したこの試験は深夜早朝に脱落者が出てしまうのも珍しくなくてですね、こんな感じで気がついたら床で寝落ちている人もいました。もちろん試験は続行しています。This is Resilient spirit.

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この写真どれくらい試験が大変だったかを物語っています。
他にもいくつか紹介する写真を用意はしたのですが、今回はこの辺にしておこうと思います。
 最後になりましたが、無事WARP-01が引き渡しまでたどり着けて本当によかったです。来年初頭に打ち上げ、放出が予定されていますがとにかく最初のシグナルの受信が今から既に楽しみでしょうがないです。上手くいってくれと願うばがりではありますが、これを読んだ方も同じようにお願いをしていただけると成功率があがるような気がします。皆様是非とも応援よろしくお願いいたします。

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