見出し画像

買いエモ|カメラストラップを買い替えた話


自分の考える「正解」を探し当てるまでの時間

どうやら自分は一つでも流れが何か欠けると、腕組みして考え込んでしまうクセがあるようだ。

日常的なシーンで、カメラを入れる前提でのバッグ選びを例に挙げてみる。腰痛予防のためにリュックは良いが、シャツの空気感あるシルエットを崩してしまう。かといってショッパーのようなキャンバストートバッグは、少々カジュアルすぎるしカメラが不安。シャツイチにかっちりオールレザーバッグも少し違う。結果的に、相当の時間ロスに繋がり最終的にチグハグな格好になるどうしようもないオチ。ちなみにこの点はヘルメットバッグの導入により解決できた。

最初からイメージが固まっていれば、といったらそれまでだけど、ここに天気、気温といった条件が入ってくると訳が分からなくなる。

余談だが最近の季節の変わり目の服装って本当に悩む。極端すぎるから今くらいの季節の方が考えやすい。もういっそのことブラックのメリノセーターにジーパンにしようかなと思ったりするくらい。でもまだまだ脳みそ使ってスタイリングは考えたい。

小さな「引っかかり」が撮れ高に影響

要するにある自分は小さな煩わしさを感じると、本来の目的へ思考を注げないケースが結構ある。点に捉われがちだ。全然アルアルな話ではあるけど、頻発するとなかなか辛いので自分の妥協点をスムーズに見つけていきたいとは思う。

話を戻すと、それがここ数年探し続けていたカメラストラップでも起こっていた。

X-T3のデフォルトカメラストラップ

酷使したFUJIFILM X-T3のデフォルトストラップ。適度に細めのストラップ幅、素押しのロゴ、ほんのりシボ感、このバランスが気に入っていたけれど、ご覧のようにひび割れた。ただ、愛着もあったのでこのまま使い続けていた。しかしあるとき、摩擦か気温のせいか着ていたシャツにベッタリと黒が着色してしまったのだ。おまけに白シャツに。素材のせいだろうか、こびり付いてしまい洗濯では拭えなかった。

それ以来、カメラはほとんどカバンに閉まって、機会に応じて取り出すというワンクッションを挟むようにした。これがストラップ選びへの迷走の要因となるとは思うまい。

破滅とは本当に、些細なコトが複雑に絡み合い、ゆるやかに始まる。いや、あるいは始まっている。

まずは(じゃあ買い直すか)と軽い気持ちでカメラストラップを探し始めた。しかしながらデフォルトから買い替えたことのない自分。カメラストラップの良し悪しって、そもそも基準が分からない。そのうえデザインもグッと来るものは少ない。

前述の色移りの事例からシンプルで天然素材、つまり服と日常の妨げになりづらいものを探していた。しかし、実際選べるバリエーションは限られている。ポピュラーなストラップも見てはみた。バリエーションも多いし良いものなんだろうけど、食指が動かなかった。どうせ買うなら良いものを買いたい。レザーストラップも服に染みたらちょっとなぁ、なんてワガママを言い続けて数年経ってしまった。

しかし、つい先日写真を整理して気づいた。明らかに撮れ高が減った上に、カメラや写真に対してではなく「カメラを持ち歩く」という撮影行為のモチベーションが日に日に下がってしまっていたと。いい加減これはいかんだろうと深刻に考え、思い立って購入を決めた。

数年越しに購入を決めたカメラストラップ

選んだのはARTISAN&ARTIST*(アルティザン・アンド・アーティスト)のカメラストラップだ。

アルティザン・アンド・アーティストは東京発、1991年創業のカバン企画、製造、販売メーカー。プロユース仕様の機能性を備えつつ、デザインもモダン。30年以上の歴史を持ち、元々そのプロダクトの原点はスタイリスト、メイクアップアーティストに向けたメイクボックスやブラシからスタートしている。つまり当初よりストラップコードよりも大きなカバン、人の肌に触れるより繊細であろう素材使いなどに長けているメーカーなのでは見受けられた。

コードの素材はシルク

一見するとクライミングコードストラップに見えるかと思うが、実はこの素材、化学繊維ではなく「シルク」。深い光沢感を放ち、ギシッと生地が鳴るほど密度がある。なんだろうこの感動はDrake's(ドレイクス)の50オンスシルクタイを初めて持ったときに似ている。自分はロングタイプの長さを購入した。このように結んで長さを変更できるのがメリットだが、上質な素材ゆえの生地鳴りが心地よい。

シルクコードストラップの愛称で呼ばれているこの組紐は、京都の老舗による手作業の組紐が使われている。前述したように高密度さを体感できる素材感だが、八つ組とも呼ばれる八玉の組紐の外側に唐織(からおり)で組み、程よい伸縮性に丈夫さを兼ね備えている。肌あたりも実に優しい。

イタリアンレザーの牛革と、ナチュラルのシングルステッチが強度を増している。ベーシックなんだけど主張があるというか、クラフトマンシップらしい美学の詰まったバランスのように自分は感じた。


オーセンティックなウェアにも馴染む

自分が選んだのはカーキのカラーリング。ブラックレザーと相まってモノトーン配色も服装に合わせやすいし、アースカラーにも合わせられる。Zeissレンズとの相性を考えるとネイビーでも良かったかもしれない。どちらにせよ茶色のバッグでも、はたまた黒靴でも合わせられるのはメリットでしかない。また、ブラックボディのカメラとも相性が非常に良かった。

そして素材感。ナイロンコードにはやはりスポーティ、テック感があるように感じていた。シルク素材ならBarbour(バブアー)のようなワックスドコットンと合わせても奥深い光沢感でトゥーマッチにならず、上質な抜けを放ってくれる気がする。

箱のデザインも硬派。質素であればあるほどプロダクト本来への信頼性が増す

プロダクト自体は至ってシンプルだし、似寄りのものもあると思う。また懸念していた色移りに関しても、こちらは染色によるもののため、水、摩擦などで衣類に着色してしまう可能性がもちろんゼロではない。おまけに値段も現在は1万台後半と良い値段だ。しかしながら自分は総じて良い買いものができたと思っている。探していたものに巡り会うことは、なによりの喜びだ。

ARTISAN&ARTIST*(アルティザン・アンド・アーティスト)
https://aaa-tokyo.com/
シルクコードストラップ
 ¥13,200(税込)〜
https://www.aaa-shop.jp/shopbrand/silkcord


この記事が参加している募集

最近の学び

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?