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じいちゃんちで1週間リモートワークをした話

3年ぶりに福岡に住む祖父に会いにいった。旅暮らし&フルリモート会社員の強みで、1週間ほどいさせてもらった。祖父の家にWi-Fiなんてないので、頼みの綱は楽天モバイルのテザリングだ。

田んぼだらけの片田舎、夏休みに遊びに来る家だったじいちゃんの家で仕事をするのは、なんか違和感がありつつも、見守られている感じがしていい体験だった。

そのときの体験と、わたしとじいちゃんの思い出を書き留めることにする。

じいちゃんとわたし

じいちゃんとわたし(伯母撮影)

じつは、半じいちゃんっ子である。

遠くに住む祖父ではあるが、一緒に暮らした(というか面倒を見てもらった)ことが2回ある。
1回目は妹が生まれる前後、母親が里帰り出産をした時。近くの保育園に数ヶ月通って、祖父母が送り迎えをしてくれた。週末は祖父と山登りをした。
2回目は妹が入院して、母がつきっきりになった時。父は仕事があるし、わたしは小学生低学年だったので、わたしたちの家に祖父が来てくれた。福岡から静岡を、軽のバンで。福岡に帰ってからも、毎日わたし宛にはがきを送ってくれた。

それから20年ちかくたち、最後にあったのはおばあちゃんの三回忌で、あのときはあのときでバタバタだったから、じいちゃんと最後にふたりでゆっくりしたのはいつかわからない。

だから、正直今回会うのは緊張していた。けど、会うとわりと話は止まらないし、沈黙も気まずくないし、そもそも個人主義の一族なので、お互い勝手に過ごしてちょうどよかった(と、じいちゃんも思っていたらいいなあ、、、)

わたしとじいちゃんのタイムスケジュール

勝手に生えたらしい赤しそ

じいちゃんは80歳を越えているので、自称「毎日が日曜日」だ。対してわたしは、フルリモートで旅人ぶっているとはいえ会社員。そんなふたりのモーニングルーティンがこちらです。

5:00 わたし、起床(じいちゃんは20分前くらいから起きてる)
5:20 わたし、身支度と手帳タイム(じいちゃんは朝ごはん食べてる)
6:00 じいちゃんと畑へ
6:30 畑の水やり、合間にラジオ体操、草抜き
7:15 そろそろ帰る
7:30 わたし、ちょっと寝る(じいちゃんは家の周りの庭仕事を始める)
8:00 わたし、朝ごはんと副業や仕事の準備
9:30 わたし、始業(じいちゃんはそろそろ昼寝)

じいちゃんも驚いていたが、わたし、80歳と生活サイクル変わらないんだなあ。この一週間はほとんど一緒に畑にいった。午後から雨という日は、1時間の散歩をして帰ったりとか。朝からわたしの終業までは自由で、お互い適当に過ごす。夕飯だけは一緒に揃って食べた。

じいちゃんの生活

新聞紙テーブルクロス

1週間のなかで、じいちゃんの生活を話してもらった。なんか、しみじみ「大事だよねえ、それ」と思うことがたくさんあったので、一部をご紹介する。

心と手を動かすことをする

じいちゃんは短歌や川柳が好きだそうだ(初めて知ったな)。おもしろくなったり泣いたりするから、心にいいという。週に一度、新聞に特集があるらしく、記事をとっておいて1週間かけて紙に写すそうだ。心と手と、両方動かすのがいいらしい。じいちゃんは達筆である。

月に2回は電車で旅をする

じいちゃんは特急には乗らない。全部鈍行でいく。おばあちゃんの月命日にも、山口県まで電車でいく。おやつにはパンを持っていくことが多いらしい。たぶん、目的地でどうこうするよりも、電車に乗っている体験を楽しんでいるのだと思う。夏は冷房にあたりに電車に乗りに行く、と言っていた。

無理をせずに、体と心の声を聞く

じいちゃんは無理をしない。何かを甘く見るということがない。熱中症に気をつけるし、食事はちゃんと摂るし、あらかじめ昼寝は予定に組み込んでいる。疲れたらちゃんと休むし、雨の日は畑にいかないけれど、その分予定をいれることもなく、ずっとのんびり休む。「がんばりすぎない」「欲張らない」を地で行ってる。

食べたいときに食べて、寝たいときに寝る

自家製しそジュース、二槽式洗濯機添え

じいちゃんは夜明けとともに起き、畑と庭の世話をして、日が高くなり始めた8時前には家に入る。洗濯をして、二回目の朝ごはんを食べて、昼寝に入る。

日中が暑いこの頃は、暑いときはクーラーのある自室で無理せず過ごす。お昼頃、往復10分もかからないスーパーで買い物をして、昼食を食べるのは14時ごろ。そこから多分書物とかをして、また昼寝をする。

西陽が落ち着く18時ごろ、また畑に向かう。燃やすものがあれば、薪で風呂を沸かす。風が強い日とかは無理をしないで、湯沸かし器で沸かす。あと、ここまでのどこかで、おばあちゃんたちの仏壇に自分で育てた花を備える。備えているお茶を新しくして、お経を唱える。

お経を暗記してるのか、なにか読んでるのか気になるんだけど、なんとなく聞けていない。

夕飯は20時ごろ食べる。お酒は飲まなくなったらしい。わたしのような孫とか、お客さんがいるときだけ飲む。夜は21時ごろには寝る。テレビが面白かったら夜ふかしするらしいけど、そんな日は年に3回くらいらしい。

「時間があるのは長生きのご褒美」

阿蘇からみる根子岳

これはじいちゃんが言った言葉じゃなくて、最近売れてる本の帯かなんかに書いてあった。言い回しとかは違うけど、こんな感じの言葉だった。これを見て「まあ、そうよな」と思った。

今の80歳くらいの人って、戦前か戦時中に生まれて、戦後を生き延びた人たちだ。そして、こうやって書いてはいるけれど、当時のことを詳細に想像したり、感情移入したりすることは、わたしにはできない。

しかもじいちゃんの仕事は自衛隊だった。死なないために無理をしないというのは当時からだったようだけれど、今のスローライフを「うらやましい」なんて言っちゃいけないとわたしは思うのだ。てか、30歳から見たスローライフでも、80歳の人にはハードワークかもしれないし。

若い頃の祖父は、自分の家を建てるのに大工の手伝いや材料の買付をしたそうだ。企業したてのお隣さんの商売を手伝ったり、近所の公園の草刈り、裏の農道の整備なんかをやっていた、と、雑談の中で普通に話す。自分ができることをやるのが当たり前の人なのだ。

「旅をするならこれを買いなさい」と言われて撮った写真。
たしかにめっちゃ便利そう。

自分が年を重ねて、この人のような人間になれるのだろうかと思っちゃったりもする。今後もたまに泊まりに行って、いろんなことを教えてもらおうと思う。

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