2017 February, Part 2_Firenze-2

翌日、まずはサン・ロレンツォです。
これまた、ファサードが未完の教会。

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内部はもちろんブルネレスキなのですが、ここでは避け続けていたミケランジェロを訪ねます。サン・ロレンツォの中庭から二階に上がったところにあるラウレンティアーナ図書館です。
1985年にここを訪ねた時、その凄さだけしか分からなかった記憶があり、とりあえず凄まじいものからは逃げておこう、ミケランジェロは横に置いておこうと決めた記憶があります。
でもあれから34年、もう一度怖くて閉めていた扉を開けてもいいかな、と思い、決心してのサン・ロレンツォ訪問でした。

サン・ロレンツォ中庭の回廊、その2階から入るとそこがあのスケールがアウトした黒い階段、そこからもう一層上がると図書館です。

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気持ちが落ち着いて気が付いたのは、2階の階段室は例のメクラ開口部を含めてデザインは外部空間の扱い、そこから上がった3階の閲覧室は内部空間としてデザインされていること、です。

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これは上階を主階とするピアノ・ノービレだったんだ、ということはこの図書館はインテリア・デザインとして構想されたのではなく、完結した建築として、サン・ロレンツォという建築に入れ子として挿入されたもう一つの建築なのではないか、と思い至ります。
歴史家か、ミケランジェロの研究者にとっては既知のことかもしれませんが、私のように建築を訪れる時は可能な限り事前の情報収集はしない、自分の肉体感覚、自分がその建築に感動するかどうかだけを知りたくて、自分に試験のように建築作品見学を課している人間、私の言い方では自分をブルーカラーの建築家と呼んでいるのですが、そんな自分にとってはこのラウレンティアーナ図書館が少し理解できたような、そんな気分になりました。
自分から遠いところにいたミケランジェロが、それこそル・コルビュジェやミースの横まで近寄ってくれた気分でした。

つづく


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