2008 July, Part 1_Tampa_Sarasota-2

さて、ニューヨークに移ってからのポール・ルドルフはイェール大学建築学科の建物が有名ですが、そんなコンクリート打ち放しのはつり仕上げに代表されるブルータリズム的な建築をつくる以前、むしろカリフォルニアのケーススタディハウスに代表されるような鉄骨造や木造でオープンプランの平屋の住宅を作っていた時代の作品があるのが、フロリダのサラソタとその近郊なのです。

残念ながら特徴的な屋根がハリケーンで飛ばされてしまったアンブレラ・ハウス。1953年。これは元はニューヨークでデザイナーだった人物が買い取り、リノベーションしていました。今ではその屋根も元通りに修理できたと聞きました。

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リヴィア・クォリティ・ハウス。
サラソタ近くのシエスタ・キーに建っている1948年にできた住宅。薄い屋根の平屋でほとんどケーススタディハウスを思い出させるような住宅ですが、興味深かったのはその中庭の扱い。モスキート・ネットで囲われた中庭の外部空間はカリフォルニア・ロサンジェルスにはない形式で、蚊のいるフロリダならではの解決策でしょう。しかし平屋のオープンプランの住宅では内部空間はガラスの天井から床までの大きな開口部で切り取られるのが通例ですが、このモスキート・ネットで囲われた中庭は内部でもなく外部でもない中間的な領域になっており、日本的な縁側だけが内外の中間領域をつくる方法ではないことを教えられました。

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次にフロリダ時代のポール・ルドルフ作品で一番有名な住宅に続きます。


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