2019 October, Part 2_Paestum

フィレンツェからローマに入りました。

次の日から電車でナポリ、そこから先は車でパエストゥムに行くので、ホテルはテルミニのそばに取ったのですが、天気は悪くなり、時間も遅くなったのにもかかわらず、ついつい旧市街に循環バスで出かけてしまいました。

バスから発見した建築。
ローマの遺跡の上にすくなくとも19世紀以前に増築した建築。
これ、確かアンドレア・パラディオが見たローマという本にも出ていたような気がしたのは思い過ごしでしょうか。

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ただこの時点で私は進行中のプロジェクトで1928年に竣工した建築の保存とその隣の新棟の設計の真っ最中であり、このローマをローマとも思わない自由さに感動し、後日ちゃんと見にこようと思った建築。

ついでに、大雨のスペイン階段。

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次の日は気持ちよく晴れました。
ナポリに向かいます。

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ナポリ駅前の再開発。

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そこから車でパエストゥムへ。
途中の街、アマルフィで休憩。

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アマルフィのドゥオモです。

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回廊です。

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別の中庭。

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その回廊

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教会内部です。

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様々な時代と様式が混在しているような建築。

さらに南に向かい、途中で昼食。

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夕方になって、ようやくパエストゥム到着です。
この広大さがわかっていただけるか。

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その広大な敷地に3つの神殿が建ちます。

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この遺跡にその時に居たのは我々以外に遺跡調査に来ていたイタリアの研究者二人だけ。何平方キロ四方かに拡がっているように感じられるランドスケープに居たのは我々とその研究者を入れても合計4人だけ。
そんな遺跡の中で午後の時間が流れていき、青空から変化して夕暮れの時を迎えます。

これがランドスケープなのか、あるいは建築なのか、それはどうでもいいことなのだけれど、そこで感じていたのは建築や都市での時間の流れ、その悠々とした時間という存在を意識してしまうことです。たぶん25世紀くらいの時間がここには存在していて、部分的にはギリシア的というよりもローマ時代とおぼしき部分もあり、そこに在るのは建築や都市の遺跡ではない、変な言い方ですが、世界の終わりの風景ではないのか、と思いました。
底抜けに晴れた青空からオレンジ色の夕暮れへと変化していく風景、ディテールまで浮き出させてしまうイタリアの強い日差しの光と影の建築やランドスケープの風景が漆黒の影へと変化していく瞬間。昼間は眼に見えていた建築がシルエットへと変化し、建築がディテールからアウトラインの存在へと変化する瞬間を体験できたのは幸せでした。しかもその場には自分一人しかいないという感覚。

そうか、世界の終わりに付き合うことが出来るのは建築であり、ランドスケープなのだ、重要なのは建築はそうした大きな時間の流れと共に在るものなのだと確信したのは、このパエストゥムで、でした。

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Part 3へつづく。

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