飛べても飛べなくても
急に『魔女の宅急便』が見たくなった。
見たくなった、と言っても、見たくなるほど好きだったからとかでなく、内容もよく覚えていないけど、急に魔女の宅急便の歌を思い出したのだ。
それも「ルージュの伝言」ではなく挿入曲の「海の見える街」に、歌詞をつけたバージョンの『めぐる季節』
曲が気になったら、「どんな話だったっけ?」と、気になってレンタルしてきてしまった『魔女の宅急便』
疲れきっていた休日に、ぼーっとしながら見た。
13歳の女の子の魔女修行を描いている作品だけど、アイデンティティの確立的ななかなか深い話ではないか。こんな話だったのか。
両親から周囲の人たちから温かく送り出されて、ゼロから自分の居場所を作るために修行に旅立っていく。
出発ゼロ地点の修行の街では、挫けそうになりつつも、出会いがキキを助け、支えていく。
「こんな風に行けばいいけどね。これは、理想か。はたまた夢物語か。」
と、心の中で独り言をつぶやいてしまうのは、キキよりも、キキのお母さんよりも、だいぶ歳を重ねて、色んな経験をしてきてしまったからか。
魔法が使えなくなっていた時に、友人のトンボを救おうと、掃除のデッキブラシにまたがって、「飛べ。」と集中するキキ。
結果、あちこちぶつかりながらも、空へと飛びあがったキキ。トンボを助けて映画はクライマックスへ。
スランプを脱出するには、ジタバタするしかない、と絵描きのウルスラがキキを励ましていたけれど、ジタバタしたり、休んだり、何をしても結局どうにもならないこともある。
キキのようにスランプを脱出して、必ず飛べるとは限らない。
それでも、ジタバタしたり、落ち込んだり、立ち止まったりしつつも、また今日を生きている人に、少しでも優しい眼差しが降り注がれる、そんな世の中になったらいいのにな、と、『魔女の宅急便』を見終え思いつつ、「飛べ。」と集中しているキキを描いてしまった。
良い週末を
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