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人生を変えた後遺症③

遠くで聞こえる声

意識が遠のき、体の力が一気に抜ける。
そして、自分で体を支えられなくなって
母の肩にもたれかかった。

母と看護師さんに抱えられベッドに戻り
横たわる。

確かに痛みは無くなった。
無くなった...?

痛みがなくなったというより
痛みを感じなくなった。に近い。

体は動かない。
寝ているのか?
いや、でも脳は起きてる。

かすかに母の声が聞こえる。
でも何を言ってるのかは分からない。

耳鳴りもずーっとなりっぱなし。

今度は、寝たいのに寝られない状態が
続いた。

痛みよりはマシなのか?

寝てくれない脳みそと
鳴りやまない耳鳴り。

どっちもツラい。

何か伝えたいけど、言葉にならない。

そして、そのまま朝を迎えた。


薬の効果が時間と共に薄れていったのか
朝方には少し症状は落ち着いていた。

”そういえばトイレにも行ってなかったな”
と思い、トイレに行こうと体を起こした瞬間
吐き気が私を襲った。

口元を押さえ、トイレに駆け込む。

嘔吐。

今度は、嘔吐が止まらない。

あまりにもトイレから帰ってこない私を心配し
母がトイレに来る。

母「どう?大丈夫?」
私「ちょっと無理。吐いちゃった。」

心配した母が、看護師さんに状況を伝えに行くと
看護師さんも来てくれた。

看護師さんは
「もどしちゃったかぁ…薬が強かったからね~」と
母の横に立っているだけ。


もう出るものはないぐらい、嘔吐した後
母に支えられ再びベッドに横たわる。

いつまでこの状況は続くのか。
私にはまったくよくなることが想像できなかった。

私が寝ているように見えた時
母は、なんて言ってたのだろう…
今さら聞いてもきっと母は
「覚えてないよ」
って笑うだろう。


そして、いよいよこのあと
人生がくるってしまうあの出来事が
起きる。

何十年も、そして今現在も悩まされることになるなんて
このときは、誰も想像していなかった。


続く。




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