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IT業界をぐるぐる彷徨う私

無職になってもうすぐ5ヶ月となろうものなのに、未だに私は自分を「システムエンジニア」だと思っている。
10年システムエンジニアをやってきたせいか、ネットニュースや会話でシステムエンジニアというワードが見えたり聞こえたりすると、反射神経的に自分に関係のあることだと思ってしまう。
もう、システムエンジニアでもないし、戻る気も無いのに私の職業アイデンティティはすっかりシステムエンジニアらしい。

私がシステムエンジニアになったころ


新卒入社の当時の、プログラミングは機械がやるようになる、上流工程をやれる人材が価値が高いという風潮(その時在籍していたSES界隈だけの話かもしれないけど)で、大学文系プログラミング未経験だった私はプログラミングをしないまま、そして多忙を言い訳にして(いや、本当に忙しかったけど)自己学習もろくにせず、気づけば6年近く経っていた。
そして、ノーコード・ローコードツールが普及しつつあったり、便利なパッケージソフトがあったりと、たしかにプログラミング無しでもシステムを導入し、ある程度カスタマイズすることは可能になっている。
だけど、私がシステムエンジニアになったときと比べ物にならないくらい、エンジニアという仕事は人気になっていて、巷にはプログラミングスクールが大量発生している。
エンジニアはきつくてオタクっぽい仕事ではなくて、かっこよくて自由で憧れられる仕事になっているように見える。
私も今更やってもしょうがないかもと思いつつ、プログラミングはここ5年くらい結構努力して勉強してきた。

ただ普通に働きたかった


仕事はストレスで本当に本当にストレスで、でもその仕事しか知らないから「社会人なんてそんなもんだろ」と諦めた日々を過ごし、メンタルこそはギリギリ病まないものの、ストレス性の胃炎や蕁麻疹を頻繁に繰り返して過ごしていた。
どう考えても、あまりシステムエンジニアという仕事に向いていなかったと思うけれど、しがみついていたのかもしれないけど、自分にスキルが付けば、合う会社に入れば、もう少し模索すれば、ストレス少なく普通に働けるかもしれない。
仕事がやりがいとか生きがいとかにならなくていい、ただ私は、健康を害さず、会社に行きたくなくて朝布団で散々悩んだり遅刻しがちになったり、日常が「仕事辞めたい」の悩みで埋め尽くされないで、普通に仕事をしたい。
そう思って、その時々の判断で社内で仕事を変えたり、転職したりしてIT業界をもがき彷徨ってきた。

SES〜社内SE〜受託開発とIT界隈を彷徨う

これまで私は2回転職(そして3回退職)していて、SES、社内SE、受託開発をそれぞれの会社で行ってきた。それぞれの会社での良かったこと・不満は以下の通り。(その業界はダメ!と言いたいわけではなく、私に合わないところがあったとか、私のスキルが追いつかなかったとか、そういう私の場合・私のいた会社の場合はということで捉えていただけると・・)

  • SES

    • ○ 社内調整すれば退職せず勤務先をチェンジできる、作業中心なのは自分に合っていた、勤務先の社員じゃないのでその距離感がちょうどよく楽だった

    • △ 勤務先が家から遠いことが多かった、客先ガチャの要素が強く仕事を通して戦略的にスキルアップが難しい、会社がコンプラ無視気味だった

  • 社内SE

    • ○ 転勤がなかったため会社の近くに住んで通勤時間が短縮できた、給料など待遇は良かった、コンプラ遵守のホワイト企業、社員ゆえの自由の幅

    • △ 手を動かす仕事はさせてもらえず調整・管理・戦略中心だった、離職率が高く人の入れ替わりが激しい、雰囲気がギスついていた

  • 受託開発

    • ○ 同僚の人柄が総合して良かった、業務効率化が徹底されていた、プログラミングができた、業務を通して大幅スキルアップできた

    • △ ちょっと宗教っぽい一体感強めの社風が合わなかった、業務時間外の対応が多く辛かった、途中から業務内容が変わりコンサル色が濃くなった、業務内容に対して給料が安めで割に合わない

距離感はSES時代がちょうどよく、待遇は社内SEがよく、スキルアップは受託開発のときが一番できたなという印象。

SES→社内SEや、SES→受託開発になった人はよく聞くけど、そこから更に別ジャンルに転職した人はあまり聞かないので、私って本当にIT業界彷徨ってるな・・・と思う。

私の思うシステムエンジニアの仕事


システムエンジニアという仕事がどういう仕事かというと、非常に定義が曖昧で、人それぞれ同じ職種でも全然違う仕事をしていたりする。プログラマーやITコンサル、営業、カスタマーサポートとの境界も曖昧で、システムエンジニアは「ITに関することはなんでもやるなんでも屋さん」の様相もある。
10年間、システムエンジニアとしてIT業界を彷徨ってきた私としてはざっくり2つに分けられるんじゃないかと考える。
それは「ITを使ってものづくりをする人」と「ITを使った課題解決を考える人」の2つである。

私はずっと後者寄りの仕事をしていて、でも本当は前者の仕事をしたくてもがいてもがいて来たんだなと思う。

そして、システムエンジニアという枠の中で前者のものづくりワークをしたくて、ここ数年努力してきて、毎度そういう仕事ができそうな会社に入ってみるものの、結局後者の仕事にまた寄っていく。
別にストレスなく後者の仕事ができるなら、それはそれで良い気もするが、やりたくない・向いていないのコンボで前述の通り健康状態がボロボロになり、メンタルもどんどん怪しくなっていく。

そうなると、もう「システムエンジニア」という枠から一旦出てみた方がいいのでは。
前職の仕事は、システムエンジニア枠の中ではこういう仕事内容がベストなのではと熟考した末に選んだ仕事だった、その仕事がうまくやれなくてまた悩みのドツボにはまっていた私としては自然な結論だった。

そして今

というわけで、社会的には脱システムエンジニアして、デザイン・プログラミングを学びながらシステムエンジニア以外の職業を目指しているわけだけど、年齢的にも微妙だったりハードワークは覚悟している!みたいな気合いもないため、この先どういう就職をするのか正直見えていないところがある。
今は学校があるので、就職とかは一旦横に置き勉強や課題に邁進中、結局今を生きるしか無いし、勉強してスキルつけないとポートフォリオが作れず絶対就職できないわけなので、今はこれで良い気がする、就職については来たるべきときが来た時に考える。

社会的に脱エンジニアしたのに職業アイデンティティはエンジニアなのは、きっちり人とお別れしたのに、喪失感やモヤモヤや怒りが残って意思では消せない感じと似ているなぁと思う。
このちょっと長めの無職期間はシステムエンジニアという仕事に社会的なだけではなく精神的にもさようならするために必要な時間なのかもしれない。

こういう記事を書いておきながら、結局就活が厳しくて、元のシステムエンジニア職に逆戻りってこともあるかもしれないけど、とにかく未来のことはわからないので今は目の前のことを真剣に取り組むしかない。

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