私的2010年代映画ベストテン”前編”

Twitterで「#2010年代の映画ベストテン」を選考した。


のが、なんと昨年11月のこと。
細かく書こうと思って放置してた下書きを発見したのでこのまま失われるのはなんとも悔しく、2020年始まって下半期のはじめに改めてやります。とにかく長いので前後編に分ける。

私は'93年生まれだから、テン年代は17歳~26歳の十年。
思い起こせばこの十年に楽しんだものは、自分の趣味嗜好の形成にかなり影響を及ぼしている。
視野や感性を狭める気はサラサラないけれど、好奇心のままに行動できる体力も時間も年々少なくなっていると感じるいま、この十年に出会ったものは今後の人生でも大切にしたいものが多いと振り返れば感じる。
そんな大切な十本、せめて映画だけでも記しておきたい。
なお、順位をつけることはとても苦手だから順不同。
洋画編、邦画編とまとめてる方もいたようだが、収集がつかなくなるのも嫌だから厳選した十本で。

1.マッドマックス 怒りのデスロード(原題:MADMAX:Fury Road)

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たくさんの映画好きの皆様がフェイバリットに挙げる言わずと知れたこれ。
この作品に出会えたことで映画の見方も向き合い方もすべての基準がこれになってしまった。
ジョージ・ミラー監督のマッドマックスシリーズ4作目の本作はストーリーは至ってシンプル。「ストーリーはマックス御一行が行って帰ってくるだけ」なんて言ってる人もいた。
しかもこれが間違ってないし最も端的でわかりやすい説明だ。
でもジョージ・ミラーの病的なまでの写実主義によってずっとアドレナリンを出し続けられる素晴らしいシーンの連続。登場人物のキャラ造形も素晴らしい。
特殊効果やCGが発達して、SFがか細い息になっているこの時代に近未来の世界を写実で描くことにも驚かされるし、一部を切り取ってもどこでも絵になる映画が大好きになったのもこの作品がきっかけ。
テン年代ベストテン、というより人生のベスト映画といっても過言ではない
それくらい大好きな作品。

2.シン・ゴジラ

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ゴジラシリーズ見たことありません。
でもシン・ゴジラは劇場でも5回くらい見てるしもちろんソフトでも何回も見てる。ゴジラファンに一番怒られるやつだと思うけど、私、特撮だと仮面ライダーはまともに見ているから許してください。
いわゆる「オタク的嗜好」如何せん(あーこれオタクが好きなやつ、みたいなのってありませんか?言語化できないけど)という部分を残しつつも特撮になかなか食指が動かない層にもきちんと届くバランスの良い邦画で、怪獣でオブラートに包んだ現代記録映画だとも思う。
この映画を見るととにかく「仕事がんばろう」と思えるんだけどみなさんどうですか?
わたしは労働への対価を超えたところ、信念だったり、目標だったり、そういったものの為に働いている人びとの描写を見て非常に思う。
まあ仕事がんばろう、とまでは思わなくても「ZARAはどこ?」のカヨコ・アンパターソン(演:石原さとみ)のモノマネみんな一回はしたよね。(わたしは事あるごとにする)
人と見たあとにワイワイ「ここ観た?あそこのシーンどこ見てた?どう感じた?」って言い合いたくなる映画でもあります。
私がシン・ゴジラで一番好きなところは「矢口蘭堂(演:長谷川博己)の顔がだんだん青白くなっていく様」です。

3.エンドレス・ポエトリー(ENDLESS POETRY)

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『エル・トポ』などに代表されるカルト映画(※カルト映画またはカルトフィルム、カルトムービー - 熱狂的ファンによる小グループによって支持される映画のこと)の巨匠、ホドロフスキー監督の自伝的映画第2作目。
1作目は「リアリティのダンス」これは彼の幼少期の体験をもとに作られたもの。
2作目である本作は主にホドロフスキーの青春期を描いたものだが、自伝的映画と銘打ちながらも素晴らしい人生賛歌となっている。
リアリティのダンスも鑑賞したが、エンドレス・ポエトリーのほうがより素晴らしいと感じるのはひとえに自我の確立と、恐れとの対話・そして克服の内容であるから。
表現は過激な部分や分かりにくいところ・暗喩が詰め込まれているけれど、終始描かれているのは例えば恋人との出会いから別れ、愛すべき友人たちとの煌めく日々、親の庇護・干渉からの独立。
人生のなかで普遍的な出来事が続く。
画面の中で笑い、悲しみ、怒り、喜ぶ登場人物たちの姿はとても胸を打たれる。
「カルト映画」と称されているからにはホドロフスキー好きはだいたい彼の作品が手放しで好きなんだけど、この作品はホドロフスキー入門編としてもピッタリ。

4.HiGH & LOW THE MOVIE 2 END OF SKY

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私、映画館で11回見た(これは1か月に見た回数)人生史上最多記録の映画。大真面目にそれぐらい中毒性のある作品。
EXILEを筆頭に三代目J Soul Brothers等を擁する事務所LDH制作で、主役にEXILE・三代目を兼任するパフォーマー「岩ちゃん」こと岩田剛典。他出演者にLDH所属アーティスト・タレントが多数出演の作品、それだけだと侮ることなかれ。
1にアクション2にアクション、とにかく日本でここまでのアクションを撮れる映画はHIGH & LOWシリーズ以外には存在してないと本気で思っている。
アクションシーンのストレスのなさに関しては、ジョンウィック(みんな大好きキアヌ・リーブス主演アクション映画シリーズ)に引けを取らない。
そして画作りの華やかさと本気度が桁違い。

HIGH & LOWは2015年よりドラマから映画、と展開していて2020年現在でドラマ3シリーズ 映画6本 とあるがその中でも群を抜いて好きな作品。

なおHiGH & LOWシリーズは衣装も華やかだったためかなり目にも楽しい映画でそれも短期間で何回も鑑賞するに至った大きな理由でありました。

5.わたしはロランス

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カナダが生んだ若き才能グザヴィエ・ドランの作品。

上映時間が168分(3時間弱ですよ)あるが長さを感じさせない秀逸な作品で、LGBTQの枠組みを超えて愛について追及した美しい映画。愛そのものってきれいではなくて苦しさも内包したものだし、倫理はあっても基準はない。肉欲を伴うものもあれば慈愛もあって。
そうした複雑な美しさをロランスを通して映画的に見せてくれる作品。
簡単な作品ではないから見返すのに私がとても腰が重くなるけど。それでも時々ふたりの愛を見返したくなる。
ヒロインフレッドの強さにもかなり勇気をもらえます。
ドランの映画は余白が多いのためなかなか人に勧めづらいけど「わたしはロランス」は上映時間さえ除けばテーマも普遍的で衣装やカットもおしゃれだからエンドレスポエトリーと同じく入門編にもぴったりな気が。

こうして振り返ると2010年代まんべんなく映画を楽しんでる。

後編に続く。

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