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月刊「読んでみましたアジア本」

日本で出版されたアジア関連書籍の感想。時には映画などの書籍以外の表現方法を取り上げます。わたし自身の中華圏での経験も折り込んでご紹介。2018年までメルマガ「ぶんぶくちゃいな」(…
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2022年6月の記事一覧

【読んでみましたアジア本】韓国も日本も、まだまだ道は遠し…とため息:チョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』

【読んでみましたアジア本】韓国も日本も、まだまだ道は遠し…とため息:チョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』

1945年の敗戦後に「民主主義国家となった」と自認する日本と、87年に民主化を宣言した韓国。

本書で描かれる1982年韓国生まれの主人公と夫や姐弟たちの世代は、まさにそんな、前時代の残滓の中で民主主義が進む時代を育ってきたという設定か。一方で、日本人で「前時代の残滓の中を民主化とともに育った」世代はすでに80歳近い。本書の主人公たちと同じ世代の日本人は、ほとんどが「民主主義の日本に生まれ落ち、育

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