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【中国語学習】野球ドキュメンタリーから学ぶ中国語講座

中国の映像制作会社・和之夢です!

今回は和之夢メインチャンネルで配信されたドキュメンタリー映像に出てきた中国語を紹介していきます。
今回の動画はこちらです。
https://youtu.be/Ny4fPg6APnc


あらすじ

中国ではマイナーな野球、今回野球で中国の子供たち、そして未来を変えたい2人の熱血コーチに密着。
教育理念は正反対、しかし目指す方向は同じ。2人のコーチと彼らが率いる子どもたちの野球チームの物語に迫りました。
中国最貧困地区・大涼山の子どもたちを集めた野球チーム「強棒天使」VS中国都市部のエリートが集う「MLB DC」、中国式の教育とアメリカ式の教育がぶつかる試合、果たして勝つのはどちらか?
野球を通して夢を追う人たちの物語『追“球”』、どうぞご覧ください!
 
この動画では竹内監督のほかに、2人の野球監督が出てきます。一人は中国人の孙岭峰、もう一人は中華系アメリカ人の张宝树。孫監督は母語が中国語なので話す速度も速く、自然な言い回しをしますが、張監督は中国語が母語ではないため、英語を混ぜながら比較的ゆっくり中国語を話します。この二人の中国語の違いを比較しながらこのドキュメンタリーを見るのも楽しみ方の一つです!

それでは授業を始めましょう!(那我们就开始上课吧)

①    比较

例)比较严格一点(5:06)

もっと厳しめ

この表現は非常によく使われます。比較的、わりに、といった表現で、後ろに形容詞や状態を表す動詞(喜欢など)がつきます。

今回の文章では二人の監督の性格を比較して「孫監督は(宝樹監督)よりも厳しい」という形になっていますが、比較対象がなければならないというわけではありません。なので実に使いやすい表現なのです。
 

②    没想到

例)没想到(你们在)同一个镜头里(5:22)

まさか二人とも同じ映像に映ってるとは

自分が予想できなかったことが実際に起こったときに使う表現です。直訳すると「思ってもみなかった/考えてもいなかった」という意味になりますが、多くの場合、特に口語の場合は「まさか~だとは…」というように訳すと自然な日本語になることが多いですね。

筆者は中国語の学習を開始してから「没想到」なことがたくさん起きてるいます。そもそも大学に入ってから中国語を始めた時は今自分がこんなに中国や中国語にコミットできて楽しい生活を送れるなんて思ってもみなかったです。いい意味で「没想到」なサプライズを日頃から届けてくれる中国語に感謝しています。
 
 

③    应该是

例)应该是我们(13:52)

多分僕らです

 中国人は日本人に比べて物事をはっきり言うなんて言われたりしますよね。たしかに少ない文字数でシンプルに表現することが中国語ですが、もちろん少し濁した表現もたくさんあります。

「应该是~」はその代表例で、客観的な視点から見て「~のはずである/多分~である」という意味です。

今回の文章では南京で一番強いチームは君たち?と聞かれたのに対して「僕たちのはずです」と少しばかり謙遜した態度で答えているわけです。確信は持てないけど…まあそうでしょう!というときに使える便利なフレーズです。

ただ、中国人に「应该没问题」と言われたら、あ…これは問題ありかも…?と疑ってみたほうがいいかもしれないですね(笑)。結局は自分自身で判断するしかありません。
 
 
 

④    看热闹

例)我们都是看热闹(15:27)

私たちはただ見てるだけなので

 「看(見る)」と「热闹(にぎやか/にぎやかである)」を組み合わせた表現です。にぎやかを見る、ではなく野次馬見物をする、事件などを傍観するといった意味があります。要は見ている本人は見られている対象(今回は野球の練習)とは関係がないことを示しているんですね。

 今回の文章では野次馬と表現するのは少し行き過ぎた表現なので、「ただ見ているだけ」と翻訳するのが分かりやすいでしょう。

 ちなみに似たような表現に「吃瓜」というものもあります。この言葉についてはモンちゃんねるの別の動画(6:15~)で解説しているのでよかったらこちらもご覧ください!
 


⑤    让

例)让老队员带着他们(18:26)

先輩たちに世話をさせてます

 使役表現の「让」です。「让+対象+動詞」で「対象に動詞をさせる」という重要な文法事項の一つです。

 この文章では「老队员(先輩)たちに彼らを(带)世話させている」という解釈ができます。
 
 「让您久等了(お待たせしました)」代表的な例文の一つです。
 

⑥    以为

例)我以为这个工作是公益的(21:01)

この仕事は公益だと思ってたんですけど

 「以为」は「~だと思う」という意味の「觉得」「认为」とほとんど同じ意味だと解説されることが多いですが、実は結構違います。

「以为~」は話者が思い込んでいた内容が真実ではないとわかったときに使います。例えばあなたが埼玉県に海があると思っていたとします。しかし誰かに「埼玉には海はないよ」と教えられたとき、今まで思い込んでいた海があるという情報が真実ではないと判明したわけです。そこで「我以为埼玉县有海(埼玉県には海があると思っていたよ)」というように表現できます。(筆者は埼玉出身なので、定期的に埼玉をネタにしようかなと思います。)

このように「~だと思っていた」という翻訳が一番しっくりきますね。
今回の文章では話者の竹内監督が「この仕事は公益ではないとわかった」からこのように表現したのです。(実際はその後に「公益ですよ」と孫監督に言われていましたが…)
 
 

⑦    可不嘛

例)对啊 那可不嘛(22:18)

そりゃあそうです

これはなかなか中国語学習者はなかなか使う勇気がでない表現かもしれません。これは同意の相槌の一種で、「そうだ/もちろんだ」という意味があります。

同意、肯定を表すにも関わらず、「不」という漢字が含まれているので混乱してしまうかもしれません。勇気を出して使ってみると、中国人に中国語がうまいと思ってもらえるかもしれませんね。


⑧    有~了

例)现在开始陆续有一些了 前几年是完全没有(22:32)

今は連続して収入が得られるようになりましたけど


中国語学習者を苦しめる「了」の登場です。なんとなく「了」は過去のことを表しているというイメージがありませんか?実はそうではなくて、この場合は変化を表す助詞の役割があります。

例えば有名な表現で「我有了」というものがあります。これは「今まではなかったがそれが変化して、あるという状態になった」という解釈ができます。実はこれ、「妊娠した」という表現なんです。今までは女性のお腹の中に赤ちゃんはいなかったわけです。しかし妊娠が発覚してお腹の中に赤ちゃんがいるという状態になった、という意味なんですね。

この文章の場合は、親切なことに後ろに「前几年是完全没有」と補足がされていますからわかりやすいですね。つまり、ここ数年は(収入)が一切なかったが、今では陆续(連続して)少しは収入がある状態に変化した、ということです。
 
 

⑨    早就

例)我的存款早就投没了(22:40)

私の貯金はとっくにすっからかんです

「早就~」はとっくに~という表現です。
今回の文章では直訳すると、「私の貯金はとっくに投資に使ってなくなった。」ということになります。
 
ここで例文を一つ
甲:你订阅和之梦和梦酱频道吗?(和之夢とモンちゃんねるチャンネル登録した?)
乙:我早就订阅了。(とっくにしてるよ)


 

⑩ ~得很

例)大得很(22:56)

大きいです

「形容詞+得+很」でその形容詞の状態の程度がかなり大きいことを表します。「かなり/とても~だ」と訳します。「很+形容詞」で同じ意味があるというのはおそらくだいぶ初期の状態で学ぶとは思いますが、このように順序を入れ替えて間に「得」をいれるという表現もぜひ覚えてください!

今回の文章ではプレッシャーが大きいでしょ?と聞かれた孫監督が「とても大きいです」と返答しています。


⑪ 掉

例)听说他把房子卖掉了(23:24)

監督が家を売ったのは聞いてますよね?

この掉は動詞の後ろについて結果補語の働きをします。結果補語とは前の動詞が行われた結果、それが結果的にどうなったのかを補足する動詞または形容詞です。

具体的に掉は「なくなる」という結果を補足するときに使われます。例えば、「忘掉」や「吃掉」がいい例です。前者は「何かを忘れた結果、頭の中からなくなってしまった。」、後者は「何かを食べた結果その食べ物がなくなってしまった。」ということなります。

中国語学習者にとって一番なじみが深い結果補語は「懂(理解する)」ではないでしょうか。「听(聞く)」や「看(見る)」のうしろにくっついて「听懂(聞いて理解する)」、「看懂(見て理解する)」という表現になります。
今回の文章では房子(家)を卖(売る)してその結果、「家が(手元から)なくなった」ということを強調しているのです。

ちなみに結果補語は「把」構文と非常に相性がいいです。「把」構文を解説した記事もあるので和之夢noteでチェックしちゃいましょう!


⑫ 得

例)打得不错(39:07)

いいゲームだったよ

得は学習者を悩ませる文法であることは間違いありません。様々な用法がありますが、今回は様態補語と呼ばれるもので、「動詞+得+形容詞」という形で得の前の動詞の様態(状態)を補足説明します。基本的にはこれらの動詞はすでに行われた過去のものか、日常的に行われるものの場合がほとんどです。

この文法、非常に日本語に訳しづらいです。例えば、「你说汉语说得很好」という文章では、「あなたは中国語を話すのがとても上手です」となります。ただこの日本語は少し不自然ですよね。「中国語上手ですね」くらいのほうがしっくりきます。中国語は日本語に比べて動詞の存在を重視するため、このような日本語との食い違いが発生します。

今回は「(你们打比赛)打得不错」という形で「試合をするのがナイスだった」という解釈ができますが、あまりにも直訳過ぎるのでそれは頭の中での理解にとどめておきましょう。


いかがでしたか?今回は動画自体が長いですが、その分重要な文法事項もたっぷりと詰まっていました。自然な表現がたくさん学べたのではないでしょうか?

それでは今日はここまでにしましょう!(下课了)


文字 | 麻辣烫

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