デイジー図書のラベル貼りをしました
点字図書館をご存知でしょうか。視覚障害者が本を読むために、点訳図書や音訳図書の貸し出しや、その図書の製作を行っている施設で、全国にあります。
点訳図書=点字を触れて読む、音訳図書=音声で聞いて読む、という違いです。
その図書をつくるための、点訳や音訳の作業は、図書館職員をはじめとして、全国のボランティアによって支えられています。
私は数年前に、点訳ボランティアの講習を半年間受けたのち、まったりとしたペースですが点訳作業に関わらせてもらっています。
活動は主に、本の内容を点字に変換してデータとして入力したり、間違いがないか校正というチェック作業をしたり、といったもので、作業自体は基本的に在宅で行います。
また、それとは別に、館内ボランティアというものもあります。年に数回ほど、図書館へ出向き活動する日が割り当てられており、参加できそうな人が参加するといった具合です。
なかなか日程が合わず欠席することが多かったのですが、今回、午前中に都合がつきそうでしたので、久しぶりに参加してきました。
日によって作業内容が違いますが、今回は、デイジー図書のCDケースへのラベル貼りでした。
まずは、デイジー図書の説明が必要かと思うのですが、予め本の内容を朗読(音訳)したものをデータとして収録して扱いやすくした電子書籍のようなものです。
ネット上にも電子図書館(Kindleストア的なもの。無料)があり配信されているのですが、それをCDに記録したものも点字図書館で貸し出されていて、そのケースに本のタイトルと著者名を書いたラベルを貼る作業です。
もちろんラベルは点字を使って書きます。点字のラベルは、このような小型の点字板を使って作りました。こちらに透明のラベルをセットして、点字を打っていきます。紙は裏側を表にしてセットして、ポンチのようなものでポチポチと打って凹ませていきます。裏返すと凸の点が出来ているという仕組みです。
ご覧の通り、Amazonでも買えますので、おひとつどうでしょうか?
余談ですが、点字が打てるテプラも過去には販売されていたようです。
今回は、私1人で初めての作業でしたので、一通りやり方を職員の方から教わって始めました。
本のタイトルと著者名は、CDのケースに付箋で仮に貼られています。ところが、まずその著者名の読み方がわかりません。点字は、基本的にカナ・数字・アルファベットしかありません(漢字の点字も存在はしていますが一般的ではないようです)
点字の仕組みについてはこちらに詳しいので、ご興味のある方はどうぞ。仕組みを知ると面白いです。
読み方がわからないと点字に変換できません。じゃあ適当でいいかという訳にもいきません。困った時は検索だ、と玉石混合で典拠不明なGoogleやWikipediaを使うのもNGです。そういう時は、例えば、こちらのサイトで検索したりするのが通例だと講習では教わりました。
名前ひとつとっても、例えば山崎と書いても、読みが、ヤマサキ/ヤマザキと濁ったり濁らなかったり、読み自体が難読だったり、様々です。それをひとつひとつ確認しながら点字にしていきます。
点字板自体は、ボランティア講習の時に使ったことがあったのですが、点訳本の作成は専用のソフトを使ってパソコン上で行うので、しばらく点字板を使うことからは離れていました。勘を取り戻すまでに、打ち間違ったり、入りきらなかったり、ミスがありましたが、次第にペースを掴んできました。身体で覚えたものは、なかなか忘れないのだなと嬉しく感じました。
タイトルを打ち(分かち書きという作業も入るのですが、それについてはまた別記事にでも詳述します。簡単にいうと、単語や文節、意味の切れ目で分けてスペースを入れる作業です。)、著者名を打ち、ラベルをハサミで成形してCDのケースにぺたっと貼ります。なかなか地味ですが、集中力のいる作業です。
試行錯誤しながら数枚仕上げたところで、もう1人先輩の方が来られました。
その方曰く、このCDを聞ける機械があるとのことで、持ってきてくださいました。このような、いわゆるCDプレイヤーといった外観のものです。視覚障害者の方はこのような機械を使って、本を音声として読むとのこと。
早速CDをセットすると、読み込み動作ののち、タイトルと著者名を音声で読み上げてくれました。滑舌も良く、抑揚もついて、耳が悪い私でもとても聞き取りやすい声です。これは便利。ひとつひとつ検索して調べる必要がありません。この声の調子で本を読んでいくのかと想像すると、そのまま本の内容を聞いてみたい気もしましたが、今回はラベルの作成を優先させました。
便利ですねと話しながら、その方と一緒に作業再開。わからない読みがあればセットして、その読みで点字を打つ。さらに、同じ著者名のものを、予めピックアップすれば、効率が良いことにも気づき、ペースアップすることができました。
黙々と作業を続けること、1時間半ほど。午前中の作業は終了です。私は15枚ほど仕上げることができました。初めての作業でしたが、とても楽しんで行うことができました。そして音訳ボランティアの方々の凄さの一端を知れたのが、何より良かったと思いました。また積極的に参加してみたいと思えるひとときでした。
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