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紙のストレス

 新聞社のデスク周りは往々にして汚い。キレイな人がまずいない。原因は紙。販促用のポスター、展覧会のチラシ、会議資料、FAX、領収書。全ての物事が紙ベースで進んでいる。自分の目の前のPCで資料を作っているのに、データがあるのになぜか紙が存在する。コピー機だって2台じゃ少ない。もっとある。領収書だって紙に貼り付けて提出するのだ。学校の先生に出すみたいに。

 このゴチャっとした環境、慣れてしまえばそれまでなんだろうけど、PC1つでどこでも働ける人がわんさかいる時代に、複合機からピロピロと出てくるFAXをもとに仕事をするって、何なんだろうと思う。紙を閉じたファイルは山のようになり、遡ることはチョモランマに登るぐらい困難。「きっと後任の誰かが見るだろう」というその一瞬のために、積りに積もっていく資料達。結局は自分で責任を取りたくないし、失敗したくないという精神が垣間見える。

 デジタル化の波は間違いなく来ているし、紙面を躍らせるDXの記事。新聞社員こそ新聞をちゃんと読んで、我が振り見直せとしか言いようがない。報じる者は実践者ではないというのが最近痛いほどわかる。報じることこそが目的なのだから、我々の行動は一旦置いておく。そんな人たちが書いた記事を、誰が好んで読むんだろうか。騙せるのはデジタルを取り入れないご高齢の方々だけだ。デジタルリテラシーのある若年層はまず読まない。というより、記者というクリエイターを好まないのだ。

 じゃあどうするかというと、愚直にマーケティングしていくしかない。「新聞社にマーケティングはない」なんて上司が言っていたけど、考えたくないだけだろう。コンテンツを作る部署と売る部署の壁が高すぎる。コンテンツの改善もなく騙し文句で新聞を押し売りしてきた精神が、骨の髄まで染みわたっている。ストレスフル。

 あーでも辞められない。潰しが効かない人間になるまであと半歩というところ。どこに向かえばいいのだろうか。

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