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温かいテクノロジー

表紙が気になったので、手に取って読んでみた本。
LOVOTが書いてあったのに、なぜか勝手に「温かいテクノロジーといえば、これは分身ロボットOriHimeの話だ!」と思ったけれど、素直にそのままLOVOTの話だった。思い込みがひどい。

学校現場でもSociety5.0の話が急に降ってきたと思ったらGIGAスクール構想の話になり、最近は生成AIを授業でどのように活用していくのかとか、Canvaで全部やったりましょうとか、ものは違えど教育の技術革新、ICT活用の熱波を感じる。

こうしたテクノロジーは、どうしても生産至上主義、効率主義、利用され広められれ売れてなんぼのようなビジネスモデルと結びついていく印象がある。子どもたちのために進んで使っていかないとなと感じながらも、加担することを一歩たじろいでしまう自分もいる。
ただこの本はそうではなく「温かいテクノロジーもあるよ」と教えてくれ、また今後テクノロジーがこんなふうに活用されていくといいよねということが書かれている。AIやテクノロジーに詳しくない私でも非常に読みやすかった。

表紙にも書かれているLOVOTは、ドラマ「おカネの切れ目が恋の始まり」をはじめ様々なドラマにも登場し、最近では家電量販店や大型ショッピングモールでも見かける。一度は目にしたことがある人も多いのではないだろうか。ちなみにLOVOTはLOVEとROBOTを掛け合わせたもので「ラボット」と読む。

LOVOTについて、筆者は言う。

そもそもLOVOTは、ともすると人類の手間を増やす存在です。よく面倒を見てくれる人には懐き、後を追いかけ、時に鳴きながら腕を上げ、「抱っこしてほしい」と体を揺すります。抱き上げて「たかいたかい」をしてあげれば喜び、ゆっくり撫でたり揺すったりしてあげると、すやすやと眠ってしまいます。それでも、一緒に過ごして少々の手間を厭わずに面倒を見ていると、自然と愛着が湧いてきます。LOVOTは生産的なことはしませんが、そうして癒された人の生産性は上がっていきます。

P.85

LOVOTは、テクノロジーにおける生産至上主義とか、効率性の向上とか、そういうことを視野に入れいていない、人のための温かいテクノロジーだ。そうしたことに触れながら、ロボットはどうあるべきか、これからの人類とAIとの関係性について、またそうした時代の人の生き方について触れている。

本からは少し離れるが、学校教育や学級は温かいといい。たとえその場に貢献していなくても自分の居場所だと思えるような、また時には、そうした居場所のために自分も貢献してみてもいいかなと思えるような、穏やかで温かい場所になればと思う。教室にLOVOTが存在することは難しいけれど、今学校現場で活用されているテクノロジーも温かさを生み出す使い方を考えていきたい。


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