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合成たんぱく素材は本格的に動き出していて、カタカナを操りウエルビーイングに貢献する。AIはゲームというハイテク産業で磨かれ、リアルにやってくる。AIが普及すると、たぶん、あんまり学習しないということの可能性が高まる。

人口筋繊維、しかも頑丈

遺伝子操作を施した細菌に筋肉を構成するタンパク質の1種を合成させるプロジェクト。これらを、糸状に束ね合わせることによって、優れた強度の繊維が作れるという。

人口タンパク質素材といえば、先日スパイバーがカーライル等から340億円を調達した、という話もあった。

スパイバーのBrewed Proteinは、植物由来の糖類を醗酵させて作られる、とされている。ベースは、微生物にタンパク質を作らせるらしいので、わりと似たような話に思えるが、何が違うんだろうか。いずれにせよ、タンパク質を使って新素材を作ろうという流れは、トレンドのひとつである。

スパイバーに関しては、調達に際して「事業価値証券化」(Value Securitization)という手法が用いられていることもちょいちょい話題になる。

事業価値証券化ってなんやねん。どうも、単純に将来的に事業が創出するC/Fを裏付けとするという考え方ではないらしい。まあ、最終的には、C/Fにならないとおかしい気もするので、なんとなく目先を変える類のモノなのかもしれない。

知財戦略本部構想委員会でも、なにそれ的な扱いを受けている。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kousou/2021/dai4/gijiroku.pdf

よく読むと、やはり結局は中長期的なC/Fを生み出すという話で価値評価を行ってるみたいなことのようだ。何となくだけど、この証券に結局はC/Fを持っていかれるという話、つまり、事業価値の多くの部分は証券化されていてよその人が持っている、となってくると、エクイティの評価を行う際に、株価が低く出る可能性があるんじゃないかと直感的には思う。ダイリューション(希薄化)を防げるという点では、一定程度オーナーシップを維持しやすそうなので、かじ取りが楽であるということはあるんだろうけど、なんとなく、株価の前借りみたいなイメージを持ったかなあ。

なんか、「人類の持続可能なウェルビーイングに貢献する」みたいなこと言ってるし、やたらとカタカナを操る感じなのは少々気になるところである。(偏見)

ゲームAIの話

「ホストが砂漠でオープンカー」の某ゲームのことはまあいいとして、2020年度人工知能学会論文賞を受賞しただけのことはあって、ゲームAIの理論がなかなか面白い。

ゲームが3D化するにあたって、徐々にロボティクスの技術が取り入れられた。現実のロボットと異なり、ゲーム内にはハードウェアが無いので、どんどん発展していったという。そうして進化した個々のキャラクターごとのAIに、全体として「ゲーム的ふるまい」をさせるために、全体を監修するメタAIというべきものが開発されてきた。

製造業の現場では、いま、自律的に稼働する自動生産機械をいかにして工場全体で統合するか、という流れに向かっている。ここに、いわば工場レベルのメタAIみたいなもののニーズがあるという。いずれは、営業、財務等も統合して、加減を調整するようなメタなシステムも出てくるのだろうか。個々の従業員にも目的や判断があり、ちがうレベルには全体と統合する戦略や状況判断がある。まさに経営だ。

一方で、イノベーションを起こすためには、いかにパターン化から抜け出すかという事も重要だ。アドバイザー業界では、基本的にはどこかの成功事例を一般化して、再現性のあるパッケージにしたうえでよそでも売るという商売が多い。これはスマートなやり方で筋も通っているので割と商売としてはウケが良かったりもするのだが、なんとなく、とびぬけた結果に結びつかないというか、なんかそこそこ及第点で終わってしまうとか、そういうことがあるように思う。大量のデータから概ね正解を導き出すというやり方は、そういう限界を同じように抱えそうだ。

テンプレートや当たり前を破壊することを持ち味としているアドバイザーも存在する。何も再現せず、個別に新たな問題に向き合うタイプだ。これはこれで、手法の習得や伝承が困難であるという弱点があるのだが、今後機械学習などが普及していく事を考えた場合、長い目で見るとこういうやり方を洗練させていったほうが、生き残りやすいような気もしている。

長く運営されていて、PROが沢山いる組織にとって、異質な、あるいみアマチュア的な視点はとても重要だ。その道のPROが考え抜いたうえで解決できないものが「課題」なのである。

新たなプロジェクトを担当するとなると、まずは「その道」を理解しようとするのが通常だ。しかし、結果として自分も「その道」の中からしか物事が見れなくなると、外部からアドバイザーを招いた意味がない。「その道」を研究する時に大事なのは、客観的に「その道」で主流となっている思考パターンや価値観を把握することを目的とすることである。そのうえで、「その道」にないものを示せるかどうか、たぶんそういうことが重要なんだと思う。


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