画家オディロン・ルドンは次のように称賛している。「ピサロ氏は、あまり知られていない風景画家だ(中略)まちがいなく世間は、もうすぐこの本物の人物に注目するようになる(中略)エリート主義と独身を貫いたドガとちがって、あえて「商人」としての何不自由ない将来を断ち切ることにより貧乏な画家となり、しかも子供をたくさん抱えていたピサロ(中略)ユダヤ人のピサロと反ユダヤ主義者のドガが、画風も性格もすべてにおいてまったく相容れないにもかかわらず、二〇年以上にわたって協力し合っていたという驚くべき関係性を生み出すことにもなるが、ようするに印象派という場において彼らは、平等の権利によって同質化するのではなく、むしろ同じ条件の下で差異を分かち合い、そこにおいてこそ緊密に結ばれていたといえるのである。