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現代文解釈の基礎を片手に「三体」の主題を探る

<三体>シリーズをやっと読み終わり、これだけの大作を圧倒的な質量で書き切ってくださったことに対して、読む側としても受け止めなければならないと思い、本作の主題を振り返ることにした。三体は、複雑かつ量が膨大のため、作者が仕込んだ一番の狙いを見つけることはほぼ不可能である。ここでは、三体の第三作にして最終巻の「三体Ⅲ:死神永生」に絞りつつ、文章で書かれていることのみを素直に読み解くことを心がけて取り組むことにする。 *ネタバレを多分に含みますので、読んでいない方はご注意ください。

    • 「わたしらしさ」が、疲労社会を息苦しくする

      寝そべり族、何もしない、疲労社会。これらのキーワードたちは、現代社会を表すと同時に、自分の実感がひどく表れている。そして、書籍「疲労社会」を読んだ後に現実の生活へ目を移すと、重なる部分がとても多い。 作者のビョンチョル・ハンはこの息苦しさを端的に説明している。 能力の主体としての現代人は、自分自身を虐げ、自分自身と戦っている。彼は自分が自由であると思い込んでいるが、じつはプロメテウスのように鎖につながれている。プロメテウスの繰り返し生えてくる肝を食らう大鷲は、この場合、自

      • 怠惰な人間が、書くことを続けるためには

        文章の技術をあげたい。だが、自分が一番怠け者だと知っている。ライティングの本や、尊敬している作家さんの本を読むことだけは続けているけれど、それを鍛錬の一つとしてあげるにはあまりにも不十分で心苦しい。やはり文章の技術を伸ばすには、考えること、そして書くこと。これしかないと思う。とはいえ、やっぱり気を抜くとサボってしまう。そこで、今日はこの記事を書きながら、どうにかモチベーションを維持していく方法を探りたいと思う。 書くのではなく、打つことを楽しむそもそも、なぜ自分が書くように

        • 釣りコンテストと太客の共通点

          panpanyaさんの新刊「魚社会」が今年の7月に発売された。 出所は不明だが、本の装丁もpanpanyaさん自身が手がけられているらしい。世界観を完全にプロデュースされている、そのことも戦略だろうか。今回も一冊丸ごとpanpanyaさんを味わえる濃い中身だった。 本作の中で、これは他にも通じる話かもと思い浮かんだものがあった。それが釣りコンテストの話だ。「釣りコンテストで優勝した人間が褒められるのはおかしい。大きさを誇るオレこそが褒められるべきだろう」というような主張を

        現代文解釈の基礎を片手に「三体」の主題を探る

          長い文章を書く場をつくる

          実名でnoteをやっていたけれど、照れが出てしまい、気楽に投稿することができなかったのでアカウントを作り直した。こういうことをSNSでも繰り返しては、結局自信の持てる投稿は実名の方で投稿したくなって、仮名の方が放置気味になっている。今回もそうなるかもしれないけれど、とりあえずの長文を書く練習ができたら良いことにする。 このアカウントで書いていくことは主に2つ。 ・書くことを続けるためのメモ ・日々の雑感 文章が上手くなるよう、まずは書き続けることをがんばります。

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