見出し画像

オルタナティブスクール訪問記/東京・町田で初のイエナプラン学校、開校へ。「小さなイエナスクール《ゆに〜く》」

町田市・高ヶ坂で今春、「小さなイエナスクール ゆに〜く」が開校する。
名前の通りイエナプラン教育
NVC(非暴力コミュニケーション)をベースとするオルタナティブスクールだ。

公教育でも広がる【イエナプラン】

イエナプランとは、「1人ひとりを尊重しながら自律・共生を学んでいく」という思想の教育スタイル。
ドイツで生まれ、60年代以降にオランダで発展した。
近年、日本でも長野県や広島県の一部の公立学校で導入が始まったことで、注目を集めているように思う。
広島県の福山市は、公立の全校にイエナプランを導入する予定であることを発表済みだ。

このイエナプランに基づき、「ゆに〜く」では大きく3学年に分けた異年齢学級の中で
対話や遊び、探究学習、1人ひとりのペースに合わせた基礎学習などの活動をしていくという。

体験イベントに参加。1人ひとりのペースを尊重

先月、「ゆに〜く」の体験イベントに家族で参加してきた。
ゆに〜くのへの参加は、昨秋に続いて2回目だ。
今回のテーマは「おから味噌仕込み」。ホワイトボードに書かれた作り方を見ながら、おからと米麹、塩をよーく混ぜ、密封パックにぎゅぎゅっと詰め込んだ。

…… わ た し が 。

息子(6)は、のっけから「やらない。」と宣言。
エプロンの装着すら拒み、最初から最後まで調理器具にも材料にも一切触れず、男らしく宣言を貫いた彼にはむしろ称賛を送りたい。
娘(4)は、始めこそ興味ありげだったものの
想定通り5分で飽き、調理スペースから姿を消した。ドロン

そんな2人が、どう過ごしていたかというと

わたしの邪魔をしたり
ゆに〜くスタッフの方々とおもちゃで遊んだり
室内を走り回ったり
ゆに〜くで前年に仕込んだという味噌を、試食しまくったり

…しながら、自由に過ごしていた。
ほかに参加した子どもたちとも、気づけば打ち解けており
冬の日差しと相まって、室内は明るく穏やかな空気で満ちていた。

わたし自身も、居心地よく過ごすことができた。
「調理実習」と言えば、手際よく作業をこなせず先生に怒られたこととか
作業の輪に加われなかったこととか ←調理実習に限らない
あんまり、いい思い出がなく 
実はこの日も、直前まで気分が乗らなかった。笑
でも、誰からも特に何の指示もなく
ホワイトボードを確認しながら黙々と作業でき、わからないことがあればいつでも質問できる環境だったので、調理実習感はなかった。

1人ひとりの“今”を尊重し、強制しない・急かさない。
自分の頭で考え、時に周りを頼りながら、作業を進めていく。
目で見て手で触って…そんな“体験”を、大切にする。

わたしが(勝手に)感じていた、「ゆに〜く」らしさが詰め込まれた1日だったように思う。

〈学び〉〈学び方〉を選べる社会に

「ゆに〜く」の代表を務める藤井知子さんとは、昨夏の終わりに初めてお会いした。
夕暮れの公園で、お互い幼な子を抱っこしたり、「遊ぼう」攻撃に付き合ったりとバタバタしながらだったけれど、
知子さんの

「子どもは1人ひとり違う。
それぞれに合った《学び》や《学び方》を、たくさんの選択肢がある中から選べるような社会をつくりたい」

という志が、まっすぐ伝わってきた。

その志に共感したのはもちろんのこと
わたしは、知子さんが、《旗を立てた》ということに何より感動した。
何かを思い、願うことはわりと簡単だけれど
それを言葉にして人に伝え、更に行動に移すのは別次元だと思うからだ。

「知子さんは覚悟を決めて、旗を立てたんだ」。
そう思った。

よろしければ、ぜひサポートをお願いいたします。 電話代をはじめ、「教育行政かわら版」の取材経費にあてさせていただきます。 100円などでもとっても助かりますし、お気持ちを大切に巡らせたいと思います。