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祖母の夢の叶え方から学ぶこと

私の母は三姉妹で、祖母を含め皆仕事を持っていた。つまり、仕事を持たない女性が周りにいなかった。そして、一番エネルギーのあった6年前に亡くなった祖母の夢は、社長になることだった。

大正生まれだった祖母は、残念ながらその夢は叶えられず、男尊女卑の時代にせめて男女平等の仕事をと、高校の家庭科教師となった。

持ち前の決断力と頭の回転の速さで、近隣の高校教師の代表となり、新しい家庭科室の設計に携わった。そして、それを面白く思わない男性教師に嫌がらせをされたこともあったようだ。

女性は結婚しても、子供が産まれるまでは籍を入れてもらえない時代の人達だから、女性が仕事を持つだけでも世間の目は冷たかったに違いない。

肝が据わっていて、豪快で決断力のあった祖母。今の時代だったら、会社を作って敏腕社長になっていただろう。

最近、私は、新しく知り合うお母さん方に、娘について「ご兄弟は?」と聞かれることが何度かあった。たまたまだと思うが、皆、専業主婦だった。

私の母は、電話で話すたびに「一人っ子は、わがままだから。」と今だにそんなことを言っている。

子供がいて女性が働くということは、今の時代でも大変だ。子供が病気や怪我で休むときは、周りに迷惑をかけるのだからひたすら謝まるしかない。

残業ができないから、他の人より仕事を減らしてもらっている。だから、勤務時間中は一生懸命働いていることを示さなければいけない。立ち話なんか絶対にできない。もともとそんな時間もないけれど。

こんなに苦労して働き、税金を払って、学童費用を払って、一生懸命子供1人育てているのに、そういう苦労もせず、私達が支払った税金から出される補助金で3人も育て、ご兄弟は?なんて言われると本当に腹立たしい。

また、母のように一昔前の人間は、自分の性格を棚に上げ、一人っ子はわがままというレッテルを貼りたがる。

私は、このように自己中心的な考え方で、心の中で世間に八つ当たりしているわけだが、同時に自分の器の小ささにうんざりしている。

祖母が私だったら、そんなくだらないことにイライラせず、その上を行く豪快さで皆を圧倒させているに違いない。

できることなら、生まれる順番を代わってあげたかった。

戦争や激しい男尊女卑を経験するのは怖いけれど、今の時代だろうが祖母の時代だろうが、私の生き方が大きく変わるとは思えない。それなりに、一般的な生き方をするのだと思う。

あっ、でも、私がその時代にいたら、引き上げ時に船に乗れず死んでしまい、子孫が残らなかっただろう。私が今存在できているという意味では、祖母はあの時代にいなければならない人だったのかもしれない。

それにしても、祖母の生き方は、間違いなく時代に左右されている。でも、その中でも諦めず、人として平等に働くための最善の道を見つけて生きた。

私も、くだらない八つ当たりの感情に支配されず、この時代で最善の道を生き抜いたと思える人生にできるだろうか。

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