“ボールが死んだ後の偶然の事故、というやつだ。”_”The Longest Yard”(1974)
かつてNFLの花形プレーヤーだったポール・クルーは、車泥棒の罪でフロリダ州立シトラス刑務所に服役することになった。傲慢なヘイゼン所長はクルーに、囚人たちでアメフト・チームを結成させて看守チームと対戦させようと持ち掛ける。しかも自分の趣味と自尊心を満たすために。しかも、この所長、裁判官でもないクセして「いう事をきけないなら二度とシャバには出さん」と職権乱用するのだ。
やむなくポールはこれを受ける。ちょっと頭の弱い大男、刑務所内でも殺人を犯した凶悪犯などが集められた。
チームの名前は(原題同様)THE MEAN MACHINE(「汚いことをするマシーン、奴ら)。悪党がある目的のために上に言われるがまま一時的にチームを組み、訓練を積み、本番という流れ:「特攻大作戦」の原題「THE DIRTY DOZEN」とつながるところがある。
実際、チームはトレーニングとなるとマジメで、食事も特別待遇で重労働も免除されたからといってサボりはせず練習に明け暮れる日々を送る。16mm映画を借りてフォーメーションの勉強も欠かさない。
相手を殴るための固いバンデージを作る訓練、看守たちのX線写真を盗み出して身体的弱点(つまり、どの部位攻めたらいいか)を把握する講義を行うのは、手段を選ばない悪党ならではの行為。発案者は嘯いて曰く、
あくまでも事故、偶然だ! が通るのだと。
キックオフ。即席チームながら看守チームに食い下がる囚人チーム。焦った看守チームは反則を繰り返し、ならばと囚人チームは相手の金玉(失礼)めがけて執拗にボールをぶつける。双方、首の骨を折って病院に運ばれる者や、鼻や脚を折る者も出るのだ
が誰も同情しないし、本人達もあっけらかんとしている。本能と本能、原初的な闘争心のぶつかり合いで、映画が動かされるのが、爽快だ。
ハーフタイム。
焦った所長はポールに、看守チームに21点を先取させることを約束させる。そして、これを果たさないとマネージャー殺しの罪をなすりつけて刑期を30年延長すると脅す。やむなく、ポールは仲間の非難を浴びながら敵に21点与えます。しかし、勝ちが見えた看守チームなのに、さらに暴力で囚人チームを叩きのめす。
これを目の当たりにしたポールが、刑務所で長く暮している老人ポップと交わす会話より。
time · 時間,時;歳月 · 時刻 · 期間,時期;時代;ひと時,(特定の)時 · 機会,好機,(~すべき)時 · ~回,~度 · ~倍 · 計時する,時間を測定する.
ポール:なあ、ポップ。ヘイゼン所長の口を殴って、30年も(ここで)時間を費やした価値はあったかい?
ポップ:私にとっては、あったよ。
ポール:だったら俺に靴をくれ!
奮起したポールは、21点のビハインドを着々とスーパープレイで埋めていく。あと1タッチダウンで逆転だ。
第4クォーター、ボールはワンヤード・ライン上にある。絶対絶命の大ピンチを真っ向勝負を挑むポール。果たして、タイムアップ直前の逆転タッチダウンで、劇的勝利をぶん取ったのだった。
男であり続けることを選択したポール。彼は最後こう言い残して、フィールドを去っていく。 後ろ姿に思わず熱くなる。
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