つらつらと
タイトルが画面に打ち出されて、「センスがないなあ」と苦笑いしてしまった。
自分だったら、このタイトルで読んでみたくはならないだろう。
でも、最近出逢った小さなこと、大きなことを「つらつら」と書きならべてみる。
昨日、スーパーで買ったワンコインのにぎり寿司セットを食べ終わって、ついに恐れていた事件が起こってしまった。
サポーター(ヘルパー)のSくんが、部屋の灯りに鈍く光ったプラスチックのパックを片づけようとして立ち上がった。
「なあ、今日はガリが入ってへんかったんかぁ?」
ぼくのひと言に、彼の背中が笑ってから、理解不能な言葉が返ってきた。
「最後に食べはったですやん。三十秒ほど前ですよ」
そういわれても、まったく記憶がない。
別に重い内容の考えごとをしていたわけでもないし、ラジオに聴き入っていたわけでもない。
でも、ほんとうにガリの記憶は、それからも抜け落ちたままだった。
それで落ちこんだわけでもなかったけれど、引きこもるまでにずいぶん食べ歩きをしたSくんと、印象に残ったラーメン屋の店名を挙げていった。
イリコだしの冷やしラーメンが絶品だった中崎町の「いぶき」、イタリアンのシェフが転身して開いた白菜のたっぷり入った洋風麺が印象に残った東豊中の「五大力」、これといった素材を使っていないはずなのに、麵とスープが絶妙なコンビネーションだった「まねき」など、百軒近くまわったうちの数軒は思い出すことができた。
ただし、二回ほどしか足を運んでいないにしても、あの「一風堂」の名前が出てこないのには参ってしまった。あとから、暗闇を転げ落ちるように現れたけれど。
通りすがりに入って、いっしょだったサポーターの永井くん(実名での登場はご本人の了承済み)が「あのときはねぇ、ひと口食べて鬼のような形相にならはりましたわ」といまも語り草にしているある店の名前は忘れていなかった。
客がめったに来ないからか、最初のひと口目から麺が延びきっていた。
一度しか入っていないのに、ほんとうに店名を憶えていた。
場所も明かしていないけれど、ケチをつけるのは気持ちが萎えるので、これぐらいで止めておきたい。
と言いながら、これも一回だけしか入っていないのに、きつねうどんがだしも調味料も加えていないただのお湯に浸かっていた店の名前もなぜか憶えている。
記憶の仕組はどうなっているのだろうか。
ほんとうは、今年の中でもいちばんうれしいニュースが転がりこんできた。
「つらつら」というタイトルにして、ボケのエピソードから展開させようとなんとなく考えていたのに、もう千字を越えてしまった。
明日、つづきが書けるかな?
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