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情報公開のすゝめ


前置き

初回投稿がカタイ内容だったので、今回は楽しいものにしたいと思います。
いや情報公開もカタイよ、というご指摘はもっともですが、私は「趣味は情報公開です」と堂々と言える世の中になればいいなあ、と思うのです。
そんなに数をこなしたわけではないし、私はどちらかといえばビギナーの部類ですが、やってみると、案外楽しい。
この記事では、令和5年7月に行なった開示請求を例に情報公開の楽しさを余すところなく紹介したいと思います。

この記事は楽しいものにしたいので、開示請求のやり方は紹介しますが制度そのものをマジメに解説する気はありません。(結果的にやりそうですが笑)愚痴はいっても、問題テイキなんかもする気はありません。
そのあたりについては、この本を読めば制度について網羅的に理解できるので、おすすめです。私も参考にしました。

また、この本の中で「情報公開オタク」のような方も紹介されていて、「これはいい趣味だなあ」なんて思った次第です。
情報公開は新聞記者でなくても、誰もが使える制度です。是非一度やってみてはいかがでしょう。

議題設定

さて、本を読んで情報公開をやってみたいと思いましたが、はじめは意外と知りたいことが思いつきません。政府に聞きたいことは何でもいいのですが、何でもいいと逆にわかりませんよね。
私自身、入管関連しかやったことがありませんので趣味としてはまだまだですが、思いつく限り考え方のテクニックを列挙してみます。

決定の経緯を深掘りする

政府・自治体などは様々な決定をします。その決定に至ったプロセス、つまり議論は、公文書として残っていることが多いです。
代表的なのは法案かなと思います。ただし法案は審議中だと「公開によって自由な議論が妨げられる」とか理由をつけて拒否されることが多いので法案が通った直後が狙い目かなとおもいます。

人の着眼点に乗っかる

情報公開に著作権はありません。例えば朝日新聞で、各自治体の公用車の車種を調べた調査報道がありました。では、車ではなく、首長が座る椅子はどうでしょうか。パソコンは?面白いニュースの着眼点を見つけたら、2匹目のドジョウを狙うのも面白いかなと思います。

遠いニュースを近くに引きつける

海外のニュースや、国内でも直接自分と関わりのないニュースは、発想の転換をしやすい気がします。例えば、能登の地震。水がなかなか復旧せず、多くの人が困っています。私たちの住む自治体はどうでしょうか?災害用トイレの備蓄はどのくらいでしょうか?そもそも防災対策全般はどうなっているのでしょうか。
自分から距離の遠いニュースを自分の国や自治体ではどうか、と考えるのもテクニックかなと思います。

身近な出来事を制度として考える

行政手続って、おやって思うこともありますよね。マイナンバーの更新ってなんであんなに時間がかかったんだろう?とか思います。(数年前にやったので改善されたかもしれませんが)逆に、免許更新はかなりスピーディでした。
様々な制度がどのような運用なのか情報公開の対象になってくると思います。

開示請求書の提出

調べたい内容が決まったら、早速請求書を書いてみましょう。
各自治体、省庁のホームページにそれぞれ窓口と書式などがダウンロードできるページがあるので、ダウンロードして印刷すると良いでしょう。

総務省の場合を紹介します。

pdfだとこんな感じです。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000619629.pdf

個人的にはワードファイルが便利なので載せておきます。

基本的に書式はどこも同じなので、一番上の「総務大臣殿」のように省庁・自治体のトップにすれば受け取ってくれると思います。
また、どこの省庁に該当するかわからない場合は、「情報公開・行政手続制度案内所」に問い合わせると良いのではないかと思います。

ただ、私はここに問い合わせたことがないのでやってみての感想がある方は是非コメントください。
正直、管轄が違う行政機関に持っていってしまっても窓口の人が「これは〇〇の管轄です」ときちんと教えてくれるので、あまり心配はないと思います。
申請書はいきなり郵送で送りつけても全く問題ありませんが最初は窓口に足を運ぶことをお勧めします。管轄の違うところに送りつけた場合、300円の収入印紙を貼り付けた申請書を送り返して貰うのも職員に申し訳ないです。請求したい自治体遠いなどの場合は電話するといいでしょう。

「請求する行政文書の名称等」を考える

さて、ここからは私が実際に行った開示請求を例に具体的なやり方をご紹介します。具体的な狙い、成功と失敗を見ていただくことで面白さが分かっていただけるのではないかと思います。
議題が決まったら、早速ワードファイルをダウンロードして、行政文書開示請求書を書いてみましょう。
行政文書開示請求書を書く段階で困るのはおそらく、「請求する行政文書の名称等」の項目をどうかけば良いかというところだと思います。
私はまだまだビギナーなので偉そうなことは言えませんが、私の考えたこととその結果を受けて、参考にしていただければと思います。

なお、私はたまたま入管庁に対して問題意識があったために情報公開請求を行いました。その内容を詳しく知りたい方は是非この記事を読んでみてください。途中から有料ですが、基本的なところまでは無料で読めます。

まあ、今回はどんな思想・立場の方にも情報公開請求の面白さをおすすめしたいので、この議題に共感していただく必要はありません。こういう意図・ねらいを持って行った開示請求が、どんな結果に結びつくのかを楽しんでもらいたいです。
以下の5つの論点について調べられないかと思い5枚の請求書を準備しました。
議題は以下の通りです。

①令和5年6月に成立した入管法改正案の決定プロセス
②難民調査官の調査の実態
③特別在留許可の決定プロセス
④収容に関する予算の使われ方
⑤収容に関するルールブック

1つずつ私の狙いを説明しておきたいと思います。

①令和5年6月に成立した入管法改正案の決定プロセス

これが、最もやりたかった請求です。詳しいことは省きますが、相当問題があると私が感じている法案で、「改悪法案」として反対運動が巻き起こりましたが、自民、公明、維新、国民の賛成により令和5年6月に成立してしまいました。
その直後くらいからたまたま、前述の「武器としての情報公開」を読み始めたところで、ひとつやってみようと思い至りました。
議題設定の項目で言うと、「決定の経緯を深掘りする」にあたると思います。
この本で紹介されていた事例の中に、著者の日下部聡氏が特定秘密保護法に関する請求を行なっていたので、その文言を完コピさせていただきました。

「特定秘密の保護に関する法律案について、〇〇省において内外と協議した際に使用した、または作成した文書、メモ、その他電磁的記録すべて(送受信した電子メール含む)

2018年 筑摩書房 日下部聡著「武器としての情報公開——権力の『手の内』を見抜く」より

この文言はかなり応用が効くと思いますので、法案についての情報公開などで応用してみてはいかがでしょうか。
結果、「請求する行政文書の名称等」は以下ののような内容になりました。

令和5年6月9日に成立した出入国管理及び難民認定法について、入管庁において内外と協議した際に使用した、または作成した文書メモその他電磁的記録すべて(電子メールを含む)

②難民調査官の調査の実態

入管法の改正案の議論の際、参議院において立憲民主党や共産党の議員が難民参与員制度の問題を指摘しました。
難民認定手続には大きく分けて難民調査官による一次審査と、難民参与員による2次審査があります。
この2次審査において、1人でとんでもない数の案件を処理していることが明らかになり、出身国情報を調べたり申請者を聴取をしたりせずに、難民調査官が作成した書類だけをもとに、相当いい加減な審査をしたのではないかという疑惑が浮上してきたのです。その問題の参与員が「難民をほとんど見つけることができない」と国会で発言したことがこの法案の大きな根拠となっていましたので、立法事実に重大な疑義が生じた形になりました。
以上の経緯を受けて、私は「人の着眼点に乗っかる」ことにしました。つまり、参与員による審査に問題があったとするならば「1次審査の難民調査官はどうなのか」ということです。
難民の調査はどういうものをもとにどんな体制で行われるものなのか。
それを知るには新人難民調査官の研修の資料を見るのが手っ取り早いとかんがえました。そこで、こんな内容で請求することにしました。

難民調査官が業務を行うにあたり受ける研修等の内容がわかる文書、資料。また、各国の状勢がまとめられたものなど、「難民調査官による事実の調査」の過程で参照、共有させうる資料のすべて」

③特別在留許可の決定プロセス

入管問題とは、母国に帰れない事情を無視して、入管が強引に送還しようとしている問題と捉えています。この帰れない事情というのが大別して2種類ありまして、一つは難民である場合と、もう一つは日本に家族がいるなど日本社会との結びつきを無視できな場合です。
前者に対しては難民認定手続があり、後者に対しては特別在留許可という制度があります。
つまり、2つの制度が適切に運用されていないために入管問題起きている私は考えているわけです。
そこで、特別在留許可についても何か情報公開ができないかと考えて、無理矢理しぼり出しました。

在留特別許可の検討にあたり、誰が(どの地位にある人が)、何回、どのように論じたか、そのプロセスがわかる資料

当事者の個人的な事情をプライバシー権を無視して請求したくはありませんから、このあたりが限界かなと思いました。具体的には、直近の事案について論じたものの議論の参加者と日付、交わされた議論が記された文書を、たとえ大部分が黒塗りであっても出てくれば、情報としては価値があるのではないかと考えました。

④収容に関する予算の使われ方

月に2回ほど、品川や牛久にある収容施設に出向いて、在留資格を失って収容された外国人と面会をする活動を行っていました。
入管問題には先ほどあげた帰れない事情への対処の問題に加えて、収容施設での劣悪な環境というさらに重大な問題があります。被収容者の衣食住の保障をきちんとできているかということです。
被収容者からの話の中で気になったものの中に「身体中が痒い。ハウスダストなどが原因かな」といったものや、「食事が不味い」といったものがありました。
特に私が気になったのは、刑務所を出所後に入管に収容された人の話で、シャンプーの問題です。刑務所ではシャンプーや石鹸は共有のものがあるそうですが、入館施設では自費で購入しなくてはなりません。しかし、無一文で収容される外国人もそれなりにいる環境で、シャンプーさえ買えない人もいるのです。
そうすると、施設内でシャンプーなど盗難の原因になるというのです。
収容施設の裁量で使われる予算が何に使われ、何に使われなかったのかをつぶさに見ていけば、処遇改善を訴える足掛かりになるのではと考えました。

実は情報公開制度使わなくても、政府はかなりの情報を公開しています。予算に関しては一部参考になる資料を見つけることができました。
行政事業レビューシートというものがありまして、政府の事業は毎年大まかな使い道が公開されているのです。
法務省の発表する行政事業レビューシートのなかに「0043被収容者の処遇」事業も公開されています。(請求当時は令和4年までのものしか公表されていませんでしたが、以下のリンクは令和5年のものです)

https://www.moj.go.jp/kaikei/bunsho/kaikei03_00180.html

これを見てみると、入管庁と契約した業者は上位10社しか掲載されておらず、シャンプーや掃除、畳の張り替えなどの細かいお金までは書いてありませんでした。
そこで、このような内容にまとめました。

過去5年間、出入国在留管理庁の「被収容者等の処遇」事業において東京出入国管理局(東日本入国管理センター)に配分された予算が何に、いくら使われたかが最も詳細にわかる資料

なお、品川(東京出入国管理局)と牛久(東日本入国管理センター)の2枚文用意しました。

また、情報公開制度だけでなく他のオープンデータについて関心のある方にはこの本を紹介しておきます。

⑤収容に関するルールブック

予算と同時に、面会で気になったのは被収容者の守るべきルールです。何時に起きて、何時に食べるのか。自由時間はどのくらいあって、何ができるのか。それをみれば、生活の実態が見えてきます。そこで、こんなふうにまとめてみました。

東京出入国管理局(東日本入国管理センター)の収容施設において現在収容者が守るべきルールがわかる文書すべて

いかがでしょうか?
これが今回の私の請求の意図・ねらいです。
「請求する行政文書の名称等」が書けたら、「求める開示の実施方法等」(のちほど説明します)に○印をつけ、300円の収入印紙を貼れば完成です。
収入印紙は郵便局で売ってます。
あともちろん、上の方に名前や住所なんかも記入してくさいね。
さあ、これを出入国在留管理庁の情報公開窓口に持っていくことにしました。

行政文書開示請求書を提出

提出の方法は直接持っていく方法と、郵送の2つの方法があります。
最初は何かと話を聞きたかったので、直接入管庁に手渡しすることにしました。
請求場所は、「〇〇省 情報公開」などと検索すれば普通に出てきます。
入管庁で言えば、こんな感じです。

https://www.moj.go.jp/isa/publications/disclosure/kaiji_release.html

情報開示請求の制度自体、知っている人は少ないので、窓口では珍しがられます。
窓口で「情報公開請求ってのをやってみたいんですけど」と私が言うと、何やら奥に人を呼びに行って、奥から担当らしい人が出てきてくれました。
そこで、請求書を渡して窓口の人と話をしました。

①令和5年6月9日に成立した出入国管理及び難民認定法について、入管庁において内外と協議した際に使用した、または作成した文書メモその他電磁的記録すべて(電子メールを含む)

これについては、プロの考えた文書を完コピしただけあって、とくに何も聞かれることはありませんでした。

②難民調査官が業務を行うにあたり受ける研修等の内容がわかる文書、資料。また、各国の状勢がまとめられたものなど、「難民調査官による事実の調査」の過程で参照、共有させうる資料のすべて」

まず、研修といっても色々あるようで、いつのものを出した方がいいかということになりました。提出したときは私自身、このあたりがあまり思い描けていませんでした。あんまり昔の研修を貰っても仕方がないし、とりあえず、「最新のもの」をお願いしました。
その次の「各国の情勢がまとめられたもの」については「出身国情報」という形で既に公開されていたことをあとで電話で教えてもらえました。

このうように情報公開請求を申請すれば、公開情報の存在も教えてくれるわけです。

③在留特別許可の検討にあたり、誰が(どの地位にある人が)、何回、どのように論じたか、そのプロセスがわかる資料

こちらについても、結構抽象的な表現になってしまったなあと思います。
揚げ足をとられないようにすることも重要ですが、探す人がイメージしやすいことの方が重要だなあと感じさせられました。
協議の結果思いついたのが、決定するときの議事録のようなものはないかと思い、それをお願いしました。議事録の中身は完全に個人情報ですので開示の必要はありませんが、誰が参加して、どのくらいの分量話し合われたかがわかるはずです。
これで一旦落ち着きました。

④過去5年間、出入国在留管理庁の「被収容者等の処遇」事業において東京出入国管理局(東日本入国管理センター)に配分された予算が何に、いくら使われたかが最も詳細にわかる資料

これについては、資料がないと言われました。
私が申請したのは入管本庁でして、東京出入国管理局や東日本入国管理センターが保有している資料は出せないということです。
タテワリ行政というやつですね。どちらかというとヨコワリな気がしますが。
本庁の方から支局に探してくれるよう頼んでくれればいいのになあと思いましたが、仕方がありません。
一つ勉強になりました。
同じ省庁でもすべての資料を共有しているわけではないらしいのです。
しかし、本庁が支局の予算がどう使われたかをチェックしてないはずはないのになあ・・・とは思います。どうなんでしょうね。

⑤東京出入国管理局(東日本入国管理センター)の収容施設において現在収容者が守るべきルールがわかる文書すべて

こちらも④と同じ理由でないということです。ただし、「このルールを承認しました」という紙がペラ1枚あるとのことでした。必要かどうか聞かれましたが、いらないと言いました。

費用について

これまでお金について触れてきませんでしたが、手数料がとられます。
1件につき300円です。この1件というのは、向こうがまとめているファイルで1件という計算なので、同じ内容でも年度をまたぐとファイルが増えます。
また②のような書き方をして申請書は1枚だけど実質2件(難民調査官の研修資料と出身国情報など)の場合も、ファイルは別でしょうから600円以上の計算になります。
ただ、申請の段階では1枚につき300円です。ファイルが2つ以上あった場合はあとから払うように請求が来ます。
また、探したけど資料がなかった場合は300円は返ってきません。
例えば④の予算についてはその場で担当の人がわかったので提出もしませんでしたが⑤は本庁にないことがわかったのは探してみた後のことです。
探していただく手間賃だと思うことにしましょう。
また、支払い方法は収入印紙です。コンビニでも買えるらしいですが、普通は200円のものしか置いていないようです。郵便局がおすすめです。

開示決定等の期限

請求書が受理されたら、文書を探してくれます。その中で、こういう資料が出てきた、これはなかった、これは必要か、といったやりとりが続きます。
電話で話を進めていく感じです。
話がまとまったら、法律では提出から30日以内に開示の決定をすることになっています。しかし大抵は事務処理の都合から延長されます。
延長の際には「開示決定等の期限の延長について(通知)」という手紙が送られてきます。延長が特に長い場合には「開示決定等の期限の特例規定の適用について(通知)」という文書が送られてきます。
これらには延長の期間(開示の時期)やその理由が書かれているので、そのときまで待ちましょう。

上記画像は①の開示請求の延長に関するものです。
相当な分量で時間がかかることは覚悟していましたが、1年以上待たされるとは……って感じです。
開示請求担当の方には、お手間をとらせて申し訳ないです。
特に時間がかかるものについては、画像にあるように、ちょっとだけ60日以内に開示して、残りはまたあとでってパターンが多いようです。
他の請求に関しては延長された期限にまとめて開示決定が出ました。

開示の方法と手数料

期限の延長があるにしろ、大抵は開示の決定がなされます。開示する文書すべてが不開示の対象ということは珍しいです。理論上は「そういう文書があるかどうかも教えられない」という場合も法律で想定されていますが、まず待っていれば、開示決定通知書が届くと思ってもらっていいと思います。
あ、でも、防衛関係だと、完全な不開示とかもありそうですね。
開示決定通知書には、開示の方法やコピー代がいくらになるかを伝える用紙も同封されているので、○をつけて必要な分の収入印紙を貼って、省庁や自治体に郵送、もしくは持参することになります。

開示の方法は大きく3つです。
①請求した省庁もしくは自治体の窓口に足を運んで見せてもらう(無料)
②文書をコピーしてもらい郵送してもらう(白黒、カラーも指定できます)
③PDF化してCD-Rに焼いてもらう

①は足を運ばなくてはいけないというわりと面倒な手段だと思いますが、例えば請求した量が膨大で、かつ全部を手元に置く必要がない類のもののときはおすすめの手段です。一度資料を見た上でどの文書を印刷するかを決められるからです。
コピー代として1枚につき10円、カラーの場合は20円とられるので一度見てから決めるというのも良いと思います。
ちなみに閲覧の時にスマートフォンで撮影してもいいか尋ねたところ、ダメといわれました。なぜダメなのかは説明がありませんでした。(その時は往復の交通費の方が高くつく量でしたので、深く聞きませんでした)
各省庁・自治体で対応が違うでしょうから、ご自分で確認してみてください。
公に開示すると決めた文書を撮影するのに問題などあるわけはないので、根気よく説得すればきっと許可してもらえるかと。
私も量が多い時には粘って交渉するつもりです。

②は、私はまずやらないと思います。カラーは20円と割高ですし、分量によっては郵送コストもかかります。そこからマイナス300円します。これは請求の段階で支払った分の300円です。つまり、
(白黒の枚数×10+カラーの枚数×20)−300・・・収入印紙で用意し用紙に貼る
これに郵送費(分量にもよりますが140円か210円がおおいかなと)の切手を同封
となります。
冒頭で紹介した本「武器としての情報公開」ではこの方法がとられていますが、黒塗りの文書の写真というメディア的にかなりオイシイ写真が撮れるという事情もあったでしょうし、早く文書を手に入れたかったとも書かれていました。
公文書はいまだに紙で保存されているものがほとんどかとは思いますので、普通に考えてスキャンするよりコピーする方が早いだろうとは思いますが、比べたことはないのではっきりとしたことは言えません。
本当に1秒でも早く手に入れたい人やデジタルが信用できないという人には、まあおすすめといえばおすすめです。

③が、現状一番マシな開示方法です。PDF化するにあたり1枚につき10円とられますが、カラーも関係なく一律10円です。これに加えてCD-R代として100円とられます。大抵はこちらのほうが紙よりも安くなると思います。つまり、
・枚数×10−300・・・収入印紙で用意し用紙に貼る
・郵送費分の切手を同封      
となります。
ちなみにGIGAファイル便で送ってくれないかと一度聞いてみたのですが、「技術的に難しい」というトンチンカンな回答が返ってきたので諦めました。
デジタル庁に期待したいところですが、昨今話題の政治資金収支報告書があの有様ですから、望み薄でしょうね。
メディアの関係者を含め多くの方に情報公開請求を利用すればお偉いサンも公文書のデジタル化を考えてくれますかもしれません。

また、経済的困難によりこうした料金を納付する資力がないと認められるときには1件につき2000円を限として減免が受けられるようです。

開示をうけて

最後に、それぞれの請求がどうなったか簡単に振り返りたいと思います。

①令和5年6月9日に成立した出入国管理及び難民認定法について、入管庁において内外と協議した際に使用した、または作成した文書メモその他電磁的記録すべて(電子メールを含む)

覚悟はしていましたが、分量の関係から令和6年10月まで延長となりましたので、具体的な成果がどうなったかはまだわかりません。1年以上待たされることもあるんだなということが分かりました。

②難民調査官が業務を行うにあたり受ける研修等の内容がわかる文書、資料。また、各国の状勢がまとめられたものなど、「難民調査官による事実の調査」の過程で参照、共有させうる資料のすべて」

こちらは研修資料だけあって入管の難民認定業務についてわかりやすく記載されていましたし、不開示部分もすくなかったのでたくさんのことが分かりました。
ただし、一部不開示の理由に納得が出来なかったので行政不服法に基づき審査請求を行いました。「情報公開のすゝめ」発展編として次回取り上げたいと思います。
内容については別の記事でじっくり分析しているので是非買ってください。100円です、改めて紹介します。

研修資料のほかのものについてもじっくり書いていきたいと思います。無料で公開しつつ仕上げて、完成したら一部有料にする編集方針ですので、私をフォローしていただければ追えると思います。よろしくお願いします。

③在留特別許可の検討にあたり、誰が(どの地位にある人が)、何回、どのように論じたか、そのプロセスがわかる資料

これは、結論からいえば失敗でした。在留特別許可の決裁文書を直近5件開示してもらいましたが、当然個人情報は黒塗りでした。決裁のハンコはいっぱいありましたが、誰が誰かを把握しているほど入管内部に精通していないので、私としては読みこなせない代物でした。
そのあたりに詳しい方がもし読んでいらしたら、是非Xなどでご連絡ください。
私が得た公文書は可能な限りアップロードしてあります。(note無料版のデータの制約からアップロードできなかったものがごく一部あります)

④過去5年間、出入国在留管理庁の「被収容者等の処遇」事業において東京出入国管理局(東日本入国管理センター)に配分された予算が何に、いくら使われたかが最も詳細にわかる資料

こちらは入管本庁では保管していなかったので、のちに東京出入局在留管理局と、東日本入国管理センターに対してそれぞれ請求しました。
わたしは当初、弁当業者への支払いや掃除、建物のメンテナンスなどの細かい項目をチェックすることで被収容者の生活をお金の面から捉えなおそうと考えていましたが、そこまで細かなものは存在しないというのが担当者の説明でした。いちおうそれらしいものが公開されましたが、公会計に関する知識も薄く、私にはチンプンカンプンでした。

⑤東京出入国管理局(東日本入国管理センター)の収容施設において現在収容者が守るべきルールがわかる文書すべて

こちらも、のちに東京出入国在留管理局と東日本入国管理センターに対してそれぞれ請求しました。これに関しては期待していた通りものもが得られました。
ここでわかったのは、被収容者が知らされているルールは日頃の生活についての注意事項に限られているということです。何が差し入れの対象外なのかであるとか、病気になったときの申請なんかは「職員に聞いてください」とだけ説明されている状況であることです。
また、想像以上に多くの言語に翻訳されていたことにはすばらしいと
思いました。

おわりに

いかがだったでしょうか?
情報公開請求に少しでも興味を持っていただけたら幸いです。
次回は発展編として、行政不服審査法に基づく審査請求についてとりあげたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。
日を置いて推敲・誤字脱字の訂正等をするつもりです。
この記事は完成しても無料のまま公開する予定です。
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内容に関するツッコミも是非。
誹謗中傷はご遠慮願います。


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