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北海道アトサヌプリ火山観光で学ぶ硫黄の同素体【釧網本線の旅】

アトサヌプリは硫黄山

北海道の東側には、屈斜路湖や摩周湖が広がるエリアにアトサヌプリという活発な火山があります。日本語名で硫黄山とも呼ばれるこの山は硫黄採掘で栄えていました。実は、火口まで駅からわずか20分という駅チカの火山で、温泉地も近く、簡単に迫力満点の自然硫黄の噴出を目にすることができます。一般の方でも立ち入れる場所でこれほどの自然硫黄が見れるところはあまりないかもしれません。

小さな噴出孔が立ち入り禁止のロープの内側にあって立ち寄れるくらいワイルドな場所です
全景はこんな感じでいたるところに硫黄のコブが湯気を噴き上げる

このような仰々しい光景に圧倒されること間違いなしな観光地なのですが、歩きながらふと地面を見てみると理科の実験の記憶がフラッシュバックしました!

左上にとげとげ硫黄・・・!

写真左上にはとげとげとした結晶がありますが、これって単斜硫黄ってやつですよね?

硫黄の同素体について

中学か高校で学んだ理科の知識を思い出してください。硫黄はほかの物質と結びつかずに硫黄単体として安定するということ、その単体は斜方硫黄(結晶)、単斜硫黄(針)、ゴム状硫黄(不定形)という同素体に分かれるということを学びました。

そして、それらを作ってみるという理科の実験もされた方が多いかもしれません。例えば針状の単斜硫黄を作る手順としてはざっくりこんな感じです。

  1. 硫黄の粉を試験管に入れる

  2. 試験管をバーナーで加熱する

  3. 溶けた硫黄をろ紙に流し込む

  4. 乾いてきたらろ紙を開く

  5. →とげとげ単斜硫黄の出来上がり!

が、このとき針状の単斜硫黄作るの難しかったんですよね。というのも常温では斜方硫黄が安定であり、加熱しすぎるとゴム状硫黄になるため、絶妙な温度管理が必要だからかと思うのですが(このあたりはあいまいです)・・

その単斜硫黄を思いもよらぬ北海道の地でであった。というのが今回の話。

素人ながらの考察

いくつかググってみると、斜方硫黄を100℃近い環境に置いておくと針状の単斜硫黄に変化するらしく、実験では一度融点(119.6℃)以上に加熱して、急冷することで生成していました。そんなことを考えるとアトサヌプリの足元に単斜硫黄があるってちょっと怖くないです・・?

熱すぎんか地面

というのも100℃近い高温環境ではないと安定しない針状の単斜硫黄が、小さな噴出孔の周りに集まっているということは、この噴出孔ってたぶん100℃以上の蒸気を噴き出しているということですよね論理的に。

また、噴出口から離れた場所や崩れ落ちた右側の石についた硫黄にはとげとげした構造ははく、おそらく斜方硫黄だと思うのですが、噴出口から遠いのでそこまでは熱くないということになりそうです。

また、別の場所には足元で熱湯がぴちゃぴちゃ跳ねているところもありました。トレッキングシューズを履いていたので地面の熱さは感じませんでしたが、ここにはちゃんとした靴で来ないと火傷すると実感しました。

熱湯ぴちゃぴちゃ

アトサヌプリ観光はいかが?

というわけで旅行中にであった硫黄の話でした。アトサヌプリは周辺の植生が急激に変わるなどほかに面白いポイントがあり、単純に大自然に囲まれてリフレッシュできる場所でもあります。また、北海道鉄道旅の途中に立ち寄るにはちょうどいい場所にあるので最寄りの川湯温泉駅に途中下車して観光するのもおすすめです。こちらの記事では行き方を解説しているのでぜひ参考にしてみてください。

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