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「やりたいこと」ではなく「本当にやりたい」ことを仕事にしてみた。

「やりたいこと」と「本当にやりたいこと」の違い

両者ともやりたいことがやれているのだから良いと思うけれど、私にとってこの2つは全く違うビジネスでした。

「やりたいこと」は、◯◯だからやる、などの条件が付いていたり、理由がある。
例えば、流行っているから、儲かりそうだから、頼まれたから、経験があるから、など。

「本当にやりたいこと」は、理屈じゃない。そうだと思うから。
本人は確信を持っていたり、迷いがない。
自分の中から溢れ出ている感覚。すでにやると決まっていたような感覚。
もし、やるなと言われてもやってしまう感覚。

この違いがいまいち分かりにくい時は、自分にこう問いかけてみる。

「それは余命1年でもやりたいか?」

「お金を払ってでもやりたいか?」
「今までの人生の点が線でつながったような感覚があるか?」
この質問に全てYESと言えるようなことが、私の「本当にやりたいこと」でした。

「本当にやりたいこと」が見つからないままの起業

私は「本当にやりたいこと」ではなく、「やりたいこと」で起業をしました。
11年の人事経験から人事コンサルタントになりました。
以前のnoteに書いたように、事業会社の人事時代、外でも通用する人事を目指していたので、実際に社外で試してみたいとも思っていました。
起業した時には、ありがたいことにお客様も複数社あり、売上も正社員の頃の収入を上回っていて、順調のように見えました。
しかし、ここに「やりたいこと」と「本当にやりたいこと」の根本的な違いを痛感しました。

起業半年でコンサルティング事業は辞めました。

同業者に「お金もらえるんだから辞めなくていいじゃん」とも言われました。
確かに必要としてくれる会社があるかぎり、辞めなくても良い気がします。
でも、私は自分に問いかけました。

自分の有限のリソースを使ってこの仕事がしたいんだっけ?
会社を退職してまでしたかったことはこれだっけ?


答えはNOでした。冒頭の3つの質問(余命1年でもやりたいか?)の回答もNOでした。

そもそも、私にとって人事業務は生きるための仕事だったわけで、
やりがいはあるし、向いている仕事とも思えていましたが、今は過去の遺産で成立しているけれど、この先の未来は枯渇していく感覚がありました。
つまり「本当にやりたいこと」ではありませんでした。

「本当にやりたいこと」はどうやって見つかったか。

「本当にやりたいこと」はある日突然現れました。

起業して半年が経過したある日、友人から飲み会のお誘いを受けました。
20人くらい集まっていて、ほぼ全員が初対面の人。
たまたま隣と向かいに座った女性たち3人がとても素敵で、すぐに意気投合しました。来月4人で女子会をしようと盛り上がりました。

そして早速、初対面から1ヶ月後に4人で食事をしました。
私はどういう経緯だったか忘れましたが、なぜか自分の中学1年生の時に起こった出来事を話していました。

その出来事とは、
私は中学校に入学してすぐ仲良くなった女の子たちが4-5人がいました。
夏休み明けの始業の日、席に座ると机の中に見慣れない手紙が入っていました。
開封すると、その仲良し女子グループ全員からの手紙でした。
「このグループを抜けます」
と書かれていました。
つまり、私とはもう一緒に居ることをやめます、ということです。

それを見た瞬間、手紙を書いた全員に謝まり、そのうちの一人に理由を聞きました。
そこで「みんなで何かをする時、いつもあなたが決めてしまう」と言われました。
私は全く意識していませんでしたので、とても驚きました。

そしてこの体験は私の中で「集団の中で自己主張すると痛い目にあう」とインプットされました。
私はこのエピソードを目の前にいる3人の女性に話していたのです。

そして3人の女性が口を揃えて一斉にこう言いました。

「自己主張して何が悪いの!?」

私は目から鱗でした。本当に驚きました。

3人同時に口を揃えて同じことを言ってくれたことも驚きましたが、それ以上に、
「確かにその通りだよね。」
と私自身も思いました。
そんなことは一度も思ったことがありませんでした。
長い眠りから覚めた感覚でした。
私は30年以上ずっと自分に呪いをかけていたのでした。

中学時代の集団女子に言われた出来事によって自分でかけた呪いは、
3人の女性によって解かれた気がしました。
やはり集団女子に許可してもらう必要があった気がしました。
このために、この素敵な女性たちと巡り会えた気がしました。

私は「これからは、もっと自己主張する!」と宣言しました。

3人の女性に心から感謝し、記念すべき第一回目の自己主張は、Facebookに投稿することを約束しました。
お腹の中から静かに湧き上がるエネルギーを感じました。
静かではあるけれど鼻息は荒く、いつもと全く違う感覚だったので、思わず鏡で自分の顔を見た記憶があります。
帰宅してすぐにFacebookの下書きをしました。
しかし、勢いで熱くなっているだけではないか?と思い、
ここは冷静になるまで待って、一晩寝かせて明朝に再度読み直そう。
そして違和感がなければ投稿しようと思いました。
そして翌朝、読み直しても気持ちは変わっていなかったので、投稿しました。

「本来の自分で生きる。
そして同じように思う人を増やしたい。繋げたい。」


と書きました。
私の本来の自分で生きるという意味は、

自分の最大限の個性を発揮して仕事や人生を生きること

これが私の「本当にやりたいこと」だと分かりました。
長いこと、自分で封印していました。
考えてみると、小学生の頃から個性尊重が理念の学校教育を受けている、いわゆる個性ネイティブでした。点が線につながった瞬間でした。
 
Facebook投稿の反響は凄いものでした。
多くの方々から「会いましょう」、「協力します」とのお話をいただき、
その日から3ヶ月間、連絡をくれた方々にお会いするスケジュールで毎日埋まっていきました。
いろいろな人たちと会っているうちに、話を聞いてほしい、相談にのってほしいと依頼を受け、それが今のエグゼクティブコーチングのお仕事となっていきました。
また、本来の自分で生きたいと同じ想いを持った方々のコミュニティも作りました。

独立して7年目。この思いは全くブレずに変わらず続いています。

社名であるWalk in the parkの意味は、直訳すると「散歩に行く」ですが
もう一つあって、「朝飯前」という意味があります。
朝飯前とは、簡単にできるということです。
個性とは、自分が自然に呼吸するように無意識にできていること。
それを発揮しているときは本来の自分になっている状態だと思います。

私の事例は少し特殊かもしれませんが、「本当にやりたいこと」の一歩を見つけるヒントは、「やりたいこと」をやるのではなく

近道は「やりたくないこと」をやらないこと。


あれこれやるとわからなくなるので、違和感を大事に、やりたくないことをどんどん捨てていくイメージです。最初は小さな灯でも見過ごさず、丁寧に違和感(本当はやりたくないこと)に従った方が良いです。
いつか必ず本当のやりたいことが見えてくると思います。


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