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(7日目 REVOLVER)真っ白な気持ちでビートルズのアルバムを1日1枚づつ聴いた感想

「REVOLVER」(1966年8月)、ビートルズのオリジナルアルバムの中でも、『玄人色強い』と先入観のある1枚。他に「ホワイトアルバム」はそのコンセプトから有名ですが、「REVOLVER」はタイトルの意味不明さも含めて、にわかファンがパスしがちなアルバムではないでしょうか?

ちなみにローリング・ストーン誌のランキングでビートルズのアルバムの順番を見ると

第1位 『サージェントペッパーズロンリーハーツクラブバンド』(総合 1位)
第2位 『リボルバー』(総合 3位)
第3位 『ラバーソウル』(総合 5位)

ビートルズで2位!それが歴代世界のアルバムの第3位。
そんな偉大なアルバムに対して印象を言うなんて・・・。
ビビる!

ちなみに日本のオリコンのランキングで現在のビートルズCD検索すると

1位 ザ・ビートルズ1
2位 ビートルズ/1962年~1966年(赤)
3位 ビートルズ/1967年~1970年(青)
4位 レット・イット・ビー
5位 アビイ・ロード

という予想通りのラインナップ。
名曲揃いのビートルズでもさらにベスト盤で聞いて、後半の2枚は思い出として持っとく感じが分かりますね。その後のランキングでもベスト盤やイエローサブマリン(配信あったからか?)やライヴ盤が並びます。
で、
「ラバーソウル」35位、「リボルバー」37位。「プリーズミー」38位という現実。
オリジナルアルバムのセールスの不振が伺える。

ただ今やサブスク配信全盛期!
せっかくなら最初からベスト盤ではなく、オリジナルアルバムで聴くのも一興です。


そんな前置きの後、
まずは「リボルバー」のジャケ写についてからいじっていきます。

まず一言でいって、自閉的!

白黒の絵と写真のコラージュ
中古レコード屋を漁っていて出会うとドキッとします。
写真デザインの多いビートルズのアルバムの中では異色です。

この時点で一見さんお断り的ハードルの高さを感じます。

そしてアルバムの曲の印象を食レポ風におつたえすると。

ネットリとしながらもドライ、味は濃い目。

なんだろうこれは、ネットリして乾いたもの 

麩菓子、レアチーズケーキ、ロッテ 霧の浮舟

続けて聴いてきて気づくのが「ラバー・ソウル」にはまだあったビートルズとしての統一感が弱くなってる。
もっというと
各人の趣向性がそれぞれの曲に出ていてバラバラな印象を持ちました。

それだけこのアルバムが1曲1曲時間をかけて録られている証拠で、スタジオのセッティング、楽器、マイク、全部変えてたんではないかと思います。

1曲づつのコンセプトで、それぞれ1枚アルバム作れそうな情報を詰めこんでいるような気がします。
1966年時点でのビートルズメンバーがそれぞれ作ったオムニバス盤という言い方ができるんではないでしょうか?

では曲それぞれの印象です。

A面
1曲目「タックスマン」

いきなりジョージ・ハリスンの歌と曲!
今まで聞いたことはあっても集中して聞いたのは初めて、「これってジャムじゃないか!」と思った。ドラムとベースとリズムギターがジャムの「ザ・モダン・ワールド」の感じに似てる、というかポール・ウェラーが寄せてる。モッズ、パンクと時代変われどワーキングクラスの魂ここにあり!かっこいい曲です。

2曲目「エリナー・リグビー」
ストリングスがズンズン来て「1曲めと雰囲気違いすぎるだろう!」と当時誰もが突っ込んだ…はず。
ポール・マッカートニーの美しい叙事詩的曲。
曲は良く聞いても、何を歌っているのか絵に浮かびにくい曲。映画「イエスタデイ」でも主人公が歌詞を思いつくまで苦労している。イギリス人でも音が入れ替わりやすい曲なのかもしれない。
タモリ倶楽部で「Father McKenzie」を「間 健二」という空耳をやっていたのを思い出してしまう。

3曲目「アイム・オンリー・スリーピング」
ジョージ、ポールと来たらもちろんこの人!ジョン・レノン節を効かせまくったヒーリング系フォーク・ロック?
逆回転とか色々やっているが、癒やされる曲調。
人生の徒労感を何故か感じる。
「仕事と思って現場に行ったら、日付間違えていた帰り道」というシチュエーションにしっくり来る

4曲目「ラヴ・ユー・トゥ」
出ました本格カレー屋BGM
ビートルズがインド漬けだった時期は今思えば短いはずだが、この中期ビートルズのインド感が日本に及ぼした影響は大きい!
ハリスンどうしてくれるんだ!
スパイスカレー専門店=尖った文化=量少ない値段高い 
という価値観をカレーに定着させた!それはCoCo壱が全国制覇するまで続いた。

5曲目「ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア」
インドカレー屋に後にこのラヴ・バラードですよ。DJのように意表をつく並びを「リボルバー」は狙ってるのか!
とにかくメロディもポールのささやくような歌い方も美しい!他の人がコピーしてものテイクには近づけないだろう。
でも何か「時すでに遅し」「失われてしまった」的な無常観と手遅れ感を曲から感じる。
人生はツライ。
ネスカフェのテーマこの曲パックただろ!

6曲目「イエロー・サブマリン」
そして出てくるおとぼけ番長リンゴの潜水艦ソング
ラリってたかもしれないが曲作りは真面目で狙った脱力感が漂う。
労働歌のようなコーラスと乾いたスネアが何処かに連れて行ってくれるような気がする曲。気持ちが高ぶった夜、緊張する試験の朝などに聴くと「なるようにしかならない」と気分が落ち着くのでは。

7曲目「シー・セッド・シー・セッド」
プライマル・スクリームの「Gentle Tuesday」ってこれじゃん!と思った、超かっこいいジョン・レノンの曲。
こんな曲中心でもう1枚アルバム作って欲しかったという人はプライマルの「ソニックフラワーグルーブ」をお聞き下さい、コチラも傑作!
才能ありすぎるとすぐ飽きちゃうんだろうか、ジョン・レノン知らない世代でも「シー・セッド・シー・セッド」を今幕張メッセで聞けたら最高に盛り上がるはず。

B面です

1曲目「グッド・デイ・サンシャイン」
ポール的一見ポジティブメッセージを繰り返すが、後のXTCにも通ずる英国的ひねくれポップスの匂いを感じます。ビーチボーイズのアメリカ西海岸と同じ風景が労働問題山積みの60年代イギリスにあると思えません。

2曲目 「アンド・ユア・バード・キャン・シング」
もっとXTC的曲来た!名曲!
だからこういう曲だけでアルバム3枚位作れるから、お願いしますよジョン・レノンさん!

3曲目 「フォー・ノー・ワン」
シンプルなようでいて複雑な曲。ポールの指向性とジョンの指向性が違っていることがこの曲の全面ポール感から感じる。

4曲目「ドクター・ロバート」
ドラッグ推奨医師の事を歌ったらしいですが、同じロバートだからじゃないけど、この曲にはキュアー感かんじます。

5曲目「アイ・ウォント・トゥ・テル・ユー」
この曲もドラッグソングと言われてます。二日酔いの朝のような印象です。

6曲目「ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ」
こういう曲ぶち込んで来るポールの独走ぶりと20代半ばの爆発状態はスゴイ。この1曲あるだけで普通のバンドはワールド・ツアー生涯すると思います。

7曲目「トゥモロー・ネバー・ノウズ」
逆回転や東洋宗教観の言われる不思議な曲ですが、スゴイのがこの曲のリズムトラック。ハウスです!ハッピーマンデーズだよ!と思いました。


ビートルズ日本公演は1966年6月30日~7月2日。この「リボルバー」が8月なので直前だったんですね。
もうつくづくツアー嫌になった感じが、このアルバムの出発点なんでしょうか、勝負とか試合の前にテンション上げる曲はない分、
落ち込んでる時に聴いても押し付けがましさが一切ない。

1963年のデビューからまる3年でこの変化。
本人達ラリってたかもしれないが、その後のJAM、キュアー、XTC、プライマルなど多大な影響を残した傑作アルバム。
中古屋さんだとアナログ日本盤2000円以下で手に入る奇跡!

(つづく)

他に書いているものです。よかったら読んであげて下さい。


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