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読書感想文「君のお金は誰のため」田内学

母が、糸井重里さんの帯コピーに惹かれて買ったのを貸してくれた。
(通販で買ったばかりに、実際に届いた本は別の帯がついていて、母はがっかりしていた。あるある。)

タイトルの付け方はなかなかすき

君のお金は誰のために『稼ぐ』『貯める』のか?と問うてるようにみえるのがミスリードであり、
君のお金は誰のために『使う』のかを考える本なのがミソ。
(稼ぐは目的ではなく、お金を使うための手段としてのみ登場するべき、という考え方)

お金は物々交換の時代より流通や労働の契約を成立しやすくしただけで、お金に価値があるわけではない。
いいたいことの説明も、どの章もわかりやすくてとっつきやすくはあった。

ストーリー展開は、言いたいことが前に出すぎるあまり、時々冷めるくらいご都合的な感じも否めない。
しかし作者説明を読むと、ビジネス本を書いてからお話の書き方を学んだ人のようなので、まあ仕方ないか、と許せるレベルではある。

ラスト、綺麗事で終わったなあ。

君のお金は、君だけの利益のために使うんじゃなくて、社会のため、ひいては愛する人のために使うものなんだよ。と。

…と、感じるうちは、まだこの本のメッセージがささってきてないのだろう。

残念ながら、人を軽率に愛することができなくなってもう随分経つので。

七海さんのように、愛する人を見つけてからもう一度読めば、より深く刺さるのかもしれない。

そう考えると、この本のターゲットって何歳頃なのだろう?

と、考えるのが面白い。

メッセージや主人公の年齢からすると、10代後半に読んで就職の意味を考えるのが筋だろう。

いっぽう、この本のメッセージに共感するには愛する人への想いが必要だとすると、早い気もする。
10代で一生添い遂げる約束をする割合はよく知らないが、20代のそれよりは低いのではないだろうか?

七海さんのような転職世代に読んでもらって、転職の意義(あるいは、大好きな仕事に携わり続ける意味)を考える本かもしれない。

この本を買った母が面白いのかどうかは、ちょっと興味がある。

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