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リスのハッピー

私は一輪のコスモス ピンク色のワンピースを着ている。


前世はリスだった。名前はハッピー、歳は36歳、同じくピンク色のワンピースを着ていた。

カナダのトロント コスモスタウンという町の高原の中、クヌギの木の下に穴を掘って家族で暮らしていた。

家族は6人家族。

父、母、兄、姉、私、下に弟がいた。

毎日どんぐりの実を拾い、枝を集める仕事を手伝うのが日課だった。

そして、父と食べる木の実は美味しかった。父は冗談を言い、笑い、楽しかった。


今の私は悲しく寂しかった。

大好きだった父が死んでしまったからだ。

父の代わりに、兄と姉は出稼ぎに行き、弟は学生なので、母と私が枝拾いをした。

母はイライラしていた。

「ハッピー早く拾いに行ってきなさい!」

「分かったよ~」


今日も森は変わらず迎えてくれた。木漏れ日が見え、コロコロと木の実が落ち、麦の穂、どんぐりなどの木の実の香ばしい香りがした。

父が植えたリンゴの木はいつの間にか大きくなっていた。

「おーい! おーい! ハッピー元気か~!」

風とともに 父の声が聞こえた気がした。

ゾロとナラの木が揺れた。

「こっちのゾロとナラもいいぞ~!!」

父は木を揺らし、ゾロとナラの木を勧めてくれたように思えて私は涙ぐんだ。


その当時、気がかりだったのは、父からもらった樹の葉で編んだ水晶のペンダントをなくしてしまったことだった。

私は枝を拾いながらそのペンダントを見つけることにした。

山中探し回った。
大きな岩や石が私をめがけてきたけど、よけながら登った。

もうよけられそうもない大きな岩がこっちに向かって転がってきた!

「もうだめだ!助けて!!」

そう叫んだら、空から虹のブランコが降りてきた!

私は虹のブランコに乗り、一瞬で向こう側の山の頂上まで降りることができた!

そこは一面コスモスの咲く美しい花畑になっていた。

ある一輪のコスモスの花の中に、父からもらった水晶のペンダントが光っていた。

「お父さん!」

私は泣いた。

「やったー、お父さんに会えた、お父さん、助けてくれた虹さん、光さんありがとう。
もうこれで私は生きていける!」

私は水晶のペンダントを握りしめながら、自分で自分を抱きしめた。

怖かったね、もう安心していいよ!

きっとあなたなら大丈夫だよ!自分に話しかけていた。

ペンダントの光は私を包み温かくなった。


母にも見せた。

水晶が光り輝き、

父の『にかっ』とした笑顔が浮かんで母と泣いた。



私はその後、コスモスタウンで幸せに暮らし、コスモスタウンの土に眠った。

これが私の前世のお話。


私は今世、そのコスモスタウンでコスモスの一輪の花に生まれ変わった。

沢山の仲間のコスモスに囲まれ、今も元気に咲いている。

        (おしまい)


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先日、middle-note先生が主催してくださいましたWSに参加しました。

先生が以前創作されたビーバーや鷲のお話が素晴らしく、読みながらいつでもセルフセラピーでき、私も物語を書いてみたいと思っていました。

middle-note先生の作品

     『火の鳥』

     をぜひご覧ください。



Nanaさんが先日記事で作品とともに

WSについてお話しくださっています。

こちらはNanaさんの投稿された素敵な作品です。

『三この世界。』

タカちゃんの見る世界、Nanaさんの素敵な写真とともにご覧ください。


私も修正したり追加で書き足し、完成しました!😊


まっさらな状態で浮かんでくるものを書いたと思いましたが、憧れのmiddle-note先生の影響を受けたり、幼いとき見た物語や昭和初期の戦時中のお話やドラマなどの一場面にも影響を受けていたと気付きました☺️

先生は、主人公と向き合う時間をくださったり、表現したいことを汲んでくださり、丁寧に教えて下さいました。

創作中インナーチャイルドが出てきて、ハッピーという名前にしたいと一瞬で名前が決まりました。ハッピーは幼いとき初めて飼ったメスの犬でした。5歳ぐらいの記憶だったので出てきた名前に懐かしい気持ちになりました☺️

開始後、順番に発表する時間になりました。私は話せるか不安もよぎりましたが、皆さんの前で話し出すと、不思議と主人公のリスのハッピーの中に入り込み、涙を流して話していました。

皆さんのお話も聞いていると、不思議と風景や主人公が想像できてとても楽しい時間でした。

物語を書いて癒やす体験は初めてでしたが、とても貴重な素敵な時間でした。

これからも自分に寄り添い、また湧き出てくるものを言葉にして書き、癒やす時間を作っていこうと思います。

先生この機会を本当にありがとうございました! 参加者の皆さん学び合う時間をありがとうございました!


Kanou  Yuriko








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