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炭水化物の女

今朝、自作の米麹を使った甘酒がようやく完成した。新しい杉の道具の上で麹を発酵させたせいで、その木の独特の匂いが移って長女は食べてくれなかったけれど、甘くて美味しい甘酒が出来た。

巷の糖質offブームと逆行するように、我が家ではコメの消費量がうなぎ上りである。

そういう私も以前は朝はパン、昼は麺、夜だけお米を食べるという日も珍しくなかった。だから、5キロのお米1袋は一度買うとしばらくは持った。

今は違う。朝は甘酒、小腹が空くと甘酒、料理には砂糖の代わりに甘糀を使う。更に自分で米麹を作ると、多いも少ないも手間は同じだからと、一回に2.4キロ仕込む。換算すれば、つまり何と16合。それも、あっという間になくなってしまう。

宮沢賢治の「雨ニモマケズ」を習ったのは小学生の時。暗誦できるようになるほどお気に入りの詩だった。ただ反芻するだけだった、その誰もが知っている詩の中に、ある発見をしたのは自分でご飯を炊くようになった頃。ある日、「毎日一日ニ玄米四合ト味噌ト少シノ野菜ヲタベ」という節が気になった。一日に、玄米四合…。よく食べる人だったんだな…と、その時はちょっと驚いた。

今になって分かることだけれど、賢治は私みたいにおやつを口にすることはなかっただろうし、第一食べ物の選択肢も今とは比べ物にならないほど限られている。その時代に毎日お米を4合食べるというのは、決して少なくはないが、普通の人が食べられないような量、という訳でもなかったのかなと思い直す。

そしてこの、ごはんもおやつもパクパクとよく食べる私。玄米は4合食べられなくても、甘酒となると幾らでも食べられてしまう。

私が正直に「一日ニ甘酒二合ト味噌ト少シノ野菜ト魚ト焼キ芋トオ菓子ト…ヲタベ」なんて、正直に告白したら、ビックリするのは賢治の方だ。

日本のコメ消費量の減少は私が食い止めよう。

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