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働く意味がわからなかったモヤモヤ人生にさよなら!不安が自信に変わったわけ

某メーカーのお客様相談室に勤務する“あいさん”。プライベートでは就学前の男の子を育てるお母さんです。
子育てをしながら第一線で働き続けるというキャリアは、傍から見れば順風満帆そのもの。でも、実際には長い間さまざまな葛藤を抱えていたのだそう。自分に自信を持てずに苦しみながら歩んだ軌跡をインタビューさせてもらいました。

【図鑑No.26】
お名前 
あい(仮名)
お仕事 
お客様相談室で、直接お客様をサポートすること
わくわくエンジン
困っている人を助けること


自らの行動によって摑みとった内定


ーー 会社ではどのようなお仕事に携わっているのですか?

弊社で扱う製品についてご不明な点やお困りごとのあるお客様に製品の使い方などをご案内したり、購入を検討されているお客様のご希望にそった製品を提案したりする仕事です。また、弊社製品に対するお客様のご不便・ご不満を解消したりご要望をかなえたりするために、さまざまな対策を考えて実行しています。

ーー お客様にとても近いところでお仕事されているのですね。ずっと今のお仕事をされているのですか?

いえ、入社時点では営業職でした。営業がやりたかったというよりも、私が就職活動を始めた時期に弊社では営業職のみ募集していたからです。

当時私は、中国語を活かした仕事がしたいと思っていました。きっかけは、高校で第二外国語として中国語を学んだことです。大学時代は中国語を極めたいという思いから、3年生の夏から1年間中国に留学しました。そのため、皆が就職活動で内定をもらい終わった4年生の秋にやっと就活を開始することに・・・。自己分析もあまりしないまま、知っている企業の中で扱っている製品に興味があり海外進出しているメーカーばかりを受け、最初に内定をもらえた弊社に入社を決めたという経緯です。

実は、弊社は秋採用を募集していなかったのですが、メールで問い合わせたら、たまたま欠員が出たタイミングだったらしく、私一人のために面接と試験をしてくれたのです。わからない点を質問しやすいようにとわざわざ女性の先輩を紹介してくれるなど親身になってもらい、今でも本当に感謝しています。

ーー 募集がないところに自分からアプローチするのって結構勇気が要るというか、尻込みしてしまう人も多い気がします。

そうですね、当時はよくわかっていなかったがゆえにできてしまったのかもしれませんが(笑)だから、ご縁だな〜と思って。行動してなければ掴めなかった内定なので、思うがままにメールして良かったなと思っています。


もともとは行動的なタイプだった


ーー 昔から行動的なタイプだったのですか?

子どもの頃は、かなりおてんばな女の子でした。

高いジャングルジムのてっぺんにずっと登っていたり、体が柔らかく運動が大好きで「将来は体操選手」なんて言われていました。鉄棒、竹馬、一輪車、縄跳びなどよく練習しました。どんどんうまくなって達成感を感じることが好きだったのかも。ドッジボール、キックベース、どろけい、色鬼など、仲間との遊びも好きでした。男の子が多い兄弟の中で育ったので、私もほぼ男の子同様に育てられた気がします(笑)リボンなど女の子向けの雑誌には関心がなく、週刊少年ジャンプの最新刊を読むのを毎週楽しみにしていました。

小学校高学年から中学校はバレーボール部に集中し、中学ではキャプテンも務めました。高校では部活には入りませんでしたが、勉強は真面目に取り組みました。

大学時代には中国への留学のほかに、英語圏への短期留学、さまざまなアルバイト、中国人留学生への観光案内ボランティア、サークルや部活、国内外への旅行など、興味のあることは何でも実行しました。そういう意味で、もともとは行動的なタイプだったのかもしれません。

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自分を見失った入社後のモヤモヤする日々


ーー 入社後はどんなキャリアを歩まれていったのですか?

最初の数年間は日本と海外の営業の仕事をおこないました。その後、営業企画や営業管理といった仕事に従事しました。もともと自分の武器は中国語だと思って入社したのですが、実際には中国語を活かす機会はあまりありませんでした。社内には日本語ができる中国人社員の方もいましたし、私のスキルは中途半端だったんですよね。

入社前は「海外駐在して活躍するぞ!」と意気込んでいたのですが、実際に働きだすと、優秀な先輩や同期と比べて自分の能力は全然及ばないと感じる場面ばかりで、自信がなくなっていく一方でした。入社数年目で結婚したこともあり、挑戦志向から安定志向になっていった気がします。

ーー そうだったんですね・・・。その後、男の子を出産されました。育児と仕事の両立は相当大変だと思うのですが、それでもなお仕事復帰されたのは何故なんでしょう?

それは、正直言って育児が仕事を遥かに上回るほどハードだったからです(苦笑)月に1度ほど実家の母に手伝いに来てもらっていたものの、乳児と終日過ごす大変さは想像を超えるものでした。育休が明ける日が待ち遠しかったくらいです(笑)

ーー なるほど、育児の方が大変だったというのは私も経験があるのでよくわかります。復帰されてからのお仕事はどうでしたか?

私はさまざまな部署で仕事をさせてもらいました。でも一方で、どれも中途半端にしかできていないような気がしていました。どの仕事もやるからには真面目に取り組むのですが、仕事が楽しくて仕方ないとか、これは天職だとか感じたりすることはありませんでした。そんなふうに中途半端で軸や専門性、誇れるもののない自分に全く自信が持てなかったのです。

社内の周りの方は、みんな何かしらの専門性を持ちながら、ひとつの仕事に長く携わり自分のこだわりや誇りをしっかりもって働いているように思います。そして、私の目には、他の人たちは自分の“好きなこと”や“やりたいこと”がハッキリしているように見えました。

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かたや自分には、「これ!」と言えるものが何ひとつない。本当に好きなことや心の底からやりたいことが何なのかわからなくてずっとモヤモヤしていました。

それがとてもつらかったです。会社から帰ってくると疲れてしまい、本当は何をやりたいのかという問いにしっかり向き合う時間や気力がなかったというのもあります。

専門性も実績もない自分には、存在価値がないと思っていました。

お金以外に何のために働いているのかわからない状態でした。子どもに仕事のことを聞かれても、明確に説明できないと感じていて・・・。

そんな時に職場の先輩ママさんから声をかけてもらったのが、キーパーソン21の「企業の子ども応援プロジェクト」でした。今から2〜3年くらい前のことです。

「企業の子ども応援プロジェクト」
キーパーソン21と様々な企業が協働し、社会の第一線で働く大人との出会いの中で、子どもたちが勇気と自信を持って自分らしい未来を選択できるよう、子どもたちへ行っている教育活動のこと


キーパーソン21との出会いが自分自身の蓋を開けてくれた


ーー それで
学校実施に参加されることになったのですね

学校実施:
学校の子どもたちへ“一人ひとりがいきいきと自信を持って自分らしく生きていくためのプログラム”を届けること

自分の子どもも、じきに学校に通うし、今どきの学校や学生はどのような感じなのか興味があったんです。子育てのヒントが得られるのではと思ったし、給食を食べられるのも楽しみ(笑)でした。

また当時、社内で人材開発の仕事をしていたため、ファシリテーションや人の魅力の引き出し方なども参考になるのではと思って参加を決めました。

ーー 参加してみてどうでしたか?

すごく楽しかったです!

学校の子どもたちへプログラムを届ける本番もそうなんですけど、社員を対象にキーパーソン21の事前研修がもう本当に楽しくて!

仕事での成功体験があまりなかった私は、挫折感や焦燥感ばかりを感じるようになっていました。自分に自信がないため人の評価や反応が気になり、なるべく目立たないように過ごすようになっていたんです。

でも、事前研修の場で、ご一緒した社員の方々は、同じ会社の社員ではあるけれども直接仕事の関わりは無い方ばかり。そんなこともあって、今まで話さなかったようなことも話せたし、それを受け容れてもらえたことが嬉しくて。人の反応を気にしてばかりいた私ですが、自分が話したことをありのままに受け止めてもらえることに、いい意味で衝撃を受けました。

本番では、緊張して子どもたちからあまりうまく言葉を引き出せなかったという後悔もあったのですが、今まで知らなかった世界を見られた感動の方が大きかったですね。小学生から“推し”の話なども聞けて、「今の小学生はこういうYouTuberが好きなんだ!」とか、いろんな発見がありました(笑)とにかく私にとっては非日常な時間で、自分自身が解放された感じもしましたし、あの雰囲気がとっても良かったです!

その時はじめて、「困っている人を助けること」という自分のわくわくエンジンを発見することもできました。


ーー 職場に戻ってから何か変わりましたか?

自分のわくわくエンジンは、仕事上で活かせているのだろうかと、これまでとはまた違う意味でモヤモヤしはじめました。社内の特定の方とやりとりをする仕事よりも、私は実際に弊社製品をご使用いただいているたくさんのお客様の声を直接聞けて、お困りごとを解決できるような仕事がしたいなと思って。

実は、私が参加した学校実施に、「お客様相談室」に在籍する社員も参加されていたんです。その方々が自分の仕事ややりがいについて語る姿が本当に素敵で。語っておられたのが、自らの仕事がお客様や社会にどう役立っているのかという明確な言葉。なにより仕事に誇りを持っていらっしゃいました。そんな堂々とした姿を見て、「私も“お客様を直接サポートすることができる”この部署で働きたい!」って思ったんです。

そして社内の異動制度を通じてその部署に応募できることを知り、面接にチャレンジすることを決めたのです。

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「お客様相談室」への異動と新たな挑戦!


ーー 今までの面接と違いはありましたか?

今までは、「今後、どんな仕事がしたいの?」とか「キャリアプランは?」と聞かれても、きちんと答えることができませんでした。自分のやりたいことが見えていなかったから。
でも、その面接時にはわくわくエンジンも明確だったので、スッと言葉が出てきて今までに経験したことのない感覚を味わいました。しっかり自分の言葉で伝えられたと思います。

そして今年の夏、「お客様相談室」に異動することが決まりました。


ーー 今の職場でのお仕事はどうですか?

前向きなチャレンジだったので、みなさんが応援してくれたのも嬉しかったです。一方で、「気苦労も多くて大変なのでは?」というように心配もされました。

でも私は、わざわざ貴重な時間を割いて弊社までご連絡をいただけるお客様の声こそが会社にとっての重要な財産だと思いますし、自分で直接お客様の声を聞けてサポートができることに、毎日やりがいや達成感を感じています。

これまでは人の目を気にして、自分を極力抑えていましたが、自分の軸がはっきりしたことで、周りの人の評価や反応も、それほど気にしなくなった気がします。自分の「専門」と今後言えそうなものが見つかり、少し自分に自信を持てるようになりました。自分のやりたいことが明確なので、周りにも応援してもらいやすくなったように思います。そして、自分の子どもにも仕事のことについて誇りをもって話せるんじゃないかと思っています。

また、同じ部署の他の方も恐らく似たようなわくわくエンジンを持っている方が多いのではと感じます。目的やベクトルが同じなので、チームで連携して仕事がすごいスピードで進んでいきます。

ーー これから挑戦してみたいことはありますか?

ひとつめは、今の部署で製品やお客様対応についてもっともっと勉強して、社内で1番詳しいレベルになりたいこと。私の対応を通じて、弊社のファンを1人でも増やしたい!と思っています。もともと、私自身が弊社製品を愛用していて、すごく使いやすくてファンだったんです!

もうひとつは、生活の中で不便や困難を感じている方の役に立ちたいです。例えば、子育て中で大変な方、辛い気持ちを抱えている子ども、障がいがある方とその介護者、高齢者とその介護者、病気の方とその介護者などに対して、仕事もしくはボランティアを通じて力になれればいいなと思っています。

そして、自分の子どももそうですが、多くの子どもたちが早い段階からわくわくエンジンを見つけて、突きつめてもらえればと願っています。自分のように大人になってから自信がもてず辛い思いをしてほしくないので。

私自身は、ここにたどり着くまでずいぶんまわり道をしたような気もしますが、今までの経験や人間関係も今後の仕事に活かせるじゃないかなと思うんです。そう考えると、ここまでのまわり道も決して無駄ではなかったと感じています。

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〜インタビューを終えて〜

「自分は何をしたいのか」「自分は何が好きなのか」ーー漠然とそんな気持ちを抱えながらも、その問いに対する向き合い方がわからず苦しんでいる人ってすごく多いのではないでしょうか。
あいさんは、そんな苦しくて、ともすれば隠しておきたいような過去を包み隠さず話してくれました。
学校で子どもたちにプログラムを届ける中で感じたことや巡ってきたチャンスにしっかりと向き合って自ら行動していったからこそ、「今」があるのだと思います。自分の軸を見つけたあいさんが今後どんな世界を創り出していくのか、楽しみで仕方ありません!

(ライター・ゆみりん)

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