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「あなたはあなたのままでいい」 満員御礼の夏休み企画にこめられた熱い想い

わくわくして動き出さずにはいられない原動力「わくわくエンジン®」を持って活動している方たちを紹介する連載「わくわくエンジン図鑑」。
認定NPO法人キーパーソン21がお届けします。

今回はこの夏休みに、あっという間に満員御礼になった夏休み親子企画
『 \親子で楽しむ/ 夏休み!わくわくエンジンモニターキャンペーン』

を統括しているかおりんにインタビューしました。グイグイとプロジェクトをひっぱるかおりんですが、実は秘められた過去がありました。
母と自分、そして娘との葛藤のお話は、ライターの私も共感できる境遇があり、涙なしでは聞けないものでした。そして、そんなかおりんが進めている夏休み親子企画は、彼女の思いが詰まっていました!

【図鑑 No.17】
お名前
田中かおり(かおりん)
お仕事
キーパーソン21のプログラムを、学校やオンラインで楽しめる場を創り、幸せに生きる人が増えるきっかけになること
わくわくエンジン®
1回目「あなたの中の生きる力が輝く、その喜び、感動を共有すること」
2回目「人生で出会えた人達とわくわくする感動のハーモニーをともに奏でること」
3回目「出会いと学びと直感で人生を豊かにすること」

キーパーソン21との出会い


—— キーパーソン21に関わったきっかけを教えてください。

きっかけは2016年キャリアコンサルタントの資格の勉強を始めたとき、キーパーソン21で活動されていた本田律さんと出会ったのが始まりです。そこからキャリア教育に興味を持ち、まず2017年1月にキーパーソン21の説明会に参加しました。初めは会員同士の仲の良いかんじに(笑)疎外感を感じて引いていました。

翌月、学校にプログラムの見学に行ったとき、一番始めに「イエーイ!」ではじまりドン引き。しかし、じわじわと二時間かけて遠赤外線ヒーターのように雰囲気があたたまり、子どもたちの目がキラキラしていく姿に感動!

ゲームを楽しんでいるから、子どもたちは自然に熱中して自分を語る様子を目の当たりにしたり、朝山さんが冒頭の「イエーイ!」にも意味がある!と語られ、考え抜かれたプログラムにとにかく感動しました。

春からインターンになり、初めての担当は、お洋服のGAPとのプロジェクト。ラゾーナ川崎店の店頭でお仕事発見ゲームを企画・実施したり、学校でのプログラム実施も担当し、こうやって人は心を交流させるんだとまたまた感動しました。

今はプロジェクトマネージャーとして、子どもたちを中心に、キーパーソン21、企業、学校をつなぎ、キャリア教育プログラムを企画推進しています。

外には弱音を出さない優等生時代


—— わくわくエンジンを発見する前のかおりんについて教えてください

優等生タイプで、親の言いなりで生きてきて、外に評価を求めるタイプでした。

父は長男で、男の子が欲しいと望まれつつ生まれたのが三女の自分。

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今思えば、わたしはずっと、どこかでのぞまれていなかったんじゃないかと思っていたところがあったんだと思います。
子どものころから家の問題や両親の夫婦喧嘩のゴタゴタは日常茶飯事でした。

小学校高学年のとき、母は心の病気を発症します。わたしはその頃のことを辛すぎてあまりよく覚えていません。おそらくそうやって自分を守ったんだろうなと思います。

当時のわたしは、家では助けを求める場がなく漫画や本に逃避。わたしにとっての救いは学校で、友達と先生に恵まれ、家のことを周囲に微塵も感じさせずに、とにかく優等生でいました。高校大学は母親の期待通りに進学、でも就職目的の進学だったため勉強に身が入らず、バイトやデート、パチンコにも手を出し(汗)母親を嘆かせていました。

最初の転機は就活でした。
やりたいこともやってきたこともなかったわたしが、氷河期に手あたり次第に就活してもなかなか決まりません。身の回りのものに興味があると気づき、なんとか日用品メーカーに内定をもらうことが出来ました。しかし安定志向の両親は、知り合いに頼み一般事務の職を手配していました。自分の気持ちを抑えることができず、大泣きしながら断り母親に抵抗。自分で進路を決定したのはこれが人生で初めてでした。
入社した日用品メーカーでは営業とマーケティングを担当しました。

人生の最大の転機は、出産&子育て。


結婚後、子育てで、出ない母乳、よく泣いて癇の強い娘の発達に、イライラ!思い通りにならない子育てに困惑していました。

そんなときに子育て広場でママさんゴスペルのチラシを手にし、安心して歌い励ましあえる仲間と出会うことが出来ました。今も大切な仲間です。

その後、夫の転勤に伴い2012年11月にニューヨーク郊外へ。あいにく巨大ハリケーン直撃直後で、携帯もつながらない、テレビも見れないという散々な歓迎でした(苦笑)
はじめての海外生活に慣れるのに苦労し、寒さと孤独で押しつぶされそうになった時、会ったこともない姉の友人がいると聞き、慣れない運転をして絵本ボランティア読み聞かせの新年会にいき、のちに心理学を教え始める松村亜里さん(ニューヨークライフバランス研究所)と出会います。

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数ヶ月後、その亜里さんが「異文化子育て心理学」という講座を開講し、我が子のためにといいながら参加し、実は自分自身のための学びなんだと眼からウロコが落ちる体験をしました。友達もでき、人生ではじめて「学ぶのが楽しい!」と感じて亜里さんが生み出す心理学講座をひたすら受講していきました。

2014年夏、日本で母が亡くなり、自分の半分が失われたかのような悲しみに沈みました。一年かけて母を失ったショックから立ち直った頃、帰国。

亜里さんが日本に一時帰国するたびに、友人の子育てサークル主催で亜里さんの子育て心理学講座を開催しました。心理学を学ぶうちに「人」に興味を持ち、自分自身の人生の後半をどう生きるかを考えるようになり、キャリアコンサルタントの資格をとることにしました。

そこでNPOキーパーソン21と出会うことになるわけです。自分がこどもの頃には希望や未来を描けなかった。「ああ、子どもの頃にこのプログラムに出会いたかった!」と感じたからキーパーソン21で活動することを決めました。

家族の負の連鎖


ちょっと重い話だけど、母と子の関係性で悩んでいる方も多いと思うので。

娘が10歳のころ、猛烈な怒りが湧いてきて、虐待に近いのではないかというほど叱り付けている自分がいました。自分の母が自分を怒るようで、自分でも怖くなり、これは危ないと感じてカウンセリングも受けました。

自分は子供の頃、必死で母のいうことを聞いていたのに、どうして娘はこんなに聞かないんだろう。娘はこんなに環境が恵まれているのになんなんだ、と。それに、血液型も一緒で、誕生日が1日しか違わない娘のことを自分の分身のように考えていました。だから、自分と違うことを許せないところがあって。

心理学を学ぶうち、自分がなぜ苦しいのかの原因は、親との関係性だとまず気付きました。子供にこうやって怒っているのも、子供の頃の原体験があり、親と同じことをやっているんだと。その時は親を責める感覚になりました。でも結局そのままだと前に進めないんです。

2018年1月に"セルフコンパッション"の講座を受けました。
"セルフコンパッション"とは、「大切な人を思いやるように自分を思いやる」ことです。なにかとても大切なことを学んでいる気はしたのですが、理解まではできていませんでした。

自分をまるごと受け入れ、再生というステップへ


2019年秋、館山の実家を台風が襲い、屋根が吹き飛んで半壊になりました。
雨露で濡れた大量の家財道具を毎週片づけに往復し、その時、母が残していた子供の頃の写真や通知票が出てきて。家族でお正月に毎年家族写真を撮っていたり、わたしが6年生卒業の春に家族旅行に出かけたりとか、親も頑張っていたんです。

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わたしはずっと、どこかでのぞまれていなかったんじゃないかと思っていました。子供心に傷ついてずっと気持ちの葛藤をかかえていました。

でもわたしは愛されていないわけじゃなかったんだ。

すっかり更地になってしまった実家を前に、ご先祖様も母も父も、みんな一生懸命生きてきただけなんだと。大好きなのに、母のせいだと思っていた気持ちや、わだかまりもさーっと流れた気がしました。

そして自分を全部受け入れて、これが自分なんだとやっとそう思えるようになりました。

2013年に亜里さんから心理学を学び始め、2017年キーパーソンで活動を始め、わくわくエンジンや自分自身のことを見つめたり考えたり、何年もかかったけれど、やっと自分を紡ぐたくさんの糸が太い綱となって1本通ったように感じました。

実家の更地を前にして、頭の中に「再生」という2文字が想い浮かんだので、父に筆ペンアートで書いてプレゼントしました。

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わたしも、私のままでいいんだと、「再生」のステップを踏み出せたんだと思います。

今年の春からはNYLB研究所の認定ファシリテーターとしての個人活動も始めました。自分のわくわくエンジンを発動させて、出会いと学びで幸せに生きる人が増えるようなきっかけをつくり、わたしなりに伝えていこうと思っています。

そして、わが娘に対してコントロールしようとする気持ちはだいぶ落ち着きました。イライラしていた子育てから変わってきたように思います。娘の強みや良さをみつめよう、伸ばしたい、と以前より思うようになりました。

コロナで自粛生活が始まった当初、YouTubeで鬼滅の刃みてばかりの娘をみてはイライラして、もっとオンラインの勉強コンテンツとか見てくれたらいいのに!勧めても見ちゃくれないし、、、、と思っていました。

キーパーソン21のオンラインコンテンツ【わくわくルーム】の一つ、『本音de子育てトーク』(3月に開催、後述)で、代表の朝山さんに自ら相談したんです(笑)すると、

何がいけないの?
すきなものを思いっきりみたり、没頭してみたらいい。
学校ではできない学びを楽しむチャンス。

と言われ、そのまま見守ることに。
すると娘はお気に入りのキャラクターや場面を描き、どんどん絵が上達していったので驚きました。ひとは好きなことなら主体的に学び成長するんだと体感することができました。そして「鬼滅の刃」にハマる娘と一緒に漫画、アニメを心から楽しむことができるようになりました。

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かおりんのわくわくエンジン


—— かおりんの1回目のわくわくエンジンは『あなたの中の生きる力が輝く、その喜び、感動を共有すること』だそうですね、はじめてわくわくエンジンを発見した時のことを教えてください

初めてプログラムを受けた時に出てきた好きなものは、ゴスペル、心理学、パステルシャインアート(パステルを使い内面を表現するヒーリングアート)などでした。

このとき、わたしが興味を持ってやっていることは全部、バラバラだと思っていて、でもその矢印が、実はみんな同じ方向を向いて、「人の喜びや内側からの輝きを共有することがわくわくだ」と気がついた時、一筋の光が見えたというか、目の前が明るくなりました。

なんとなくやってきたことだったけど、これでわたしは良かったんだと、わくわくエンジンを見つけることで後押ししてもらった感じです。

—— 発見後、自分の中に何か変化はありましたか?

いろんな学校へプログラムを届けにいくと、子どもたちの瞳が熱を帯びて輝いたり、「あ!」って自分の言葉に感動したり、そういう瞬間を感じられると猛烈にうれしくて。もともと人はそういう力を持ってるんだと講座で学んだことを体感できた気がしました。

その後、プロジェクトマネージャーとして仕事するようになり、子どもと直接かかわることは減りましたが、大人も同じだとすごく感じるようになって。自分を含め、大人こそ、わくわく生きてほしいと考えるようにもなりました。

—— わくわくエンジン発見後、周りの人たちとの関わりが変わりましたか?

今思えばですけど、周りにヘルプを出せるようになったことかな。
わたしは休みの日にもキーパーソンの学校実施などの仕事があったりして、娘を夫にみてもらったり、夫が忙しい時は義両親や近所の頼れるママに娘を預けたりしてきました。幸いなことに仲間や友人に恵まれていて、一人じゃなかったというのが一番大きい、と思います。

以前は自分一人でできることしかやらなかったけど、子育てってまったくままならないし自分のやりたいことをやる上で、ほかに助けてくれる人、理解してくれる人がいて素直に助けてって言えるようになったのは大きいかな。

実は、わくわくエンジンを活かし生きていく上で、そこが一番ポイントなんじゃないかと思っていて。
わくわくエンジンを見つけ自分の道を進んで行く滋賀県の中学生、善くんも周りの大人の存在が大きくあって、一人じゃない、応援して助けてくれる人がいるんです。

今やっているオンラインのキャンペーンもそのひとつの形で、いろんな人に助けてもらってやっています。そういうところに感謝できるようになったのは大きく違いますね。

夏休み!オンラインプログラムの開発秘話


—— 今回、\親子で楽しむ/夏休み!わくわくエンジンモニターキャンペーンを開催していますが、どうしてオンラインをはじめようとしたのでしょうか?

コロナの影響で、2月末急遽一斉休校になり、キーパーソン21の北海道チームから
「家にいる時間、親は子供のわくわくエンジンがわかればどうやって過ごせばいいかがわかるはず。オンラインでビンゴをやりたい!」と。

「それだーーーー!」

ここがチャンスだと思ったんですね。こういう時こそ、わくわくエンジンを伝えていきたいと雷が走ったというか、ビビッときて。おそらく朝山さんもそうだと思います。

7日間で急にサイトを作って、オンライン【わくわくルーム】を作りました。夜な夜なZOOMで話して打ち合わせをして。


—— そこからすごい勢いでオンライン「すきなものビンゴ」を開発していきましたよね

3月にオンラインでの「すきなものビンゴ」の開発をスタートし、まずはオンライン【わくわくルーム】で会員向けに開催しました。すきなものビンゴをやると互いをよく理解できるからチームビルディングにもなるねという話になり、事務局や理事のメンバーで実証実験?!もしました。
「夜の大人ビンゴ」と銘打って、オールナイトニッポンの音楽でスタートして(笑)わたしにとってユーモアの要素も大事なのです。(参加した時、たしかにかかってました!)

やればやるほど、オンラインでもプログラムを届ける価値を感じ、夏休みに親子に届けるキャンペーンにチャレンジすることにしました。

キャンペーンを通じ、大勢の親子とプログラムをご一緒しましたが、本当に充実した時間を過ごし、確かな手応えを感じました。親子同士だと話せないことも、わたしたちわくわくナビゲーターという第三の大人がいて、ゲームを通じて、楽しく話すことができたとの感想をたくさんいただきました。

最初と最後の表情も距離感も違うんです。笑顔があふれて、ぐっと距離が近づいてる感じ。

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アンケート返信がまだ半分くらいですが、現時点で、「楽しかった」100%、「参加の目的を果たせた」という回答が100%です。

あらためてプログラムそのものの力と、進行役の’わくわくナビゲーター’という人の力の結果だったと感じています。その両輪があるからこそ、わくわくな場を創り、気づきや感動をうみ出すことが出来る。キーパーソン21の宝物なんだなと。

あと、キーパーソン21のどのプログラムも楽しいんですよね。そこがすっごい大事。勉強じゃなくて楽しいプログラムで、自分の気づきがあるというのがそこがいちばん魅力なんでしょうね。

—— では、最後に一言。

今回のプログラムをきっかけに参加してくれたかたが自分を認め、大切にするきっかけになったらいいなって心から祈るような気持ちです。

あなたはあなたのままでいいんですよ~
あなたの人生をわくわく楽しんで!特に、大人こそ!

わたしが「こうあるべき」って正解を探して、周りの目を気にして生きてきて、正解がないんだってことに行きついて、自分自身で人生をつくっていくんだって気づけて、よちよち歩き始めたところでいうのも何なんですが。
もしかしたら、同じような方がいるかもしれない。そんな方が、自分自身を大切にするエンパワメントのきっかけになれたらいいなと思います。

(あとがき)
ライターとして一緒に活動させていただいていますが、パワフルにプロジェクトを進めていくかおりんに、こんな過去があったとは。かなり重い部分も共感できるママがたくさんいるのでは?と記事にさせていただきました。
でも人の痛みをわかるからこそ、参加された方のキラキラ光る瞳を原動力にしてこれだけ動けるのかもしれません。

かおりんのパワーはまだまだ、秋冬のイベントにもつながります!興味のある方はぜひイベントをのぞいてみてくださいね。かおりんの笑顔に会えるかもしれませんよ。
(ライター・てらっち)

わくわくエンジンって何?って思われた方はこちらをご覧ください〜


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