言論ポルノとオンラインイベント症候群をどう克服するかーー『論破しない朝ナマ』の成立条件

「論破しない」番組をはじめます

少し思うところがあり、今月から試験的に社会時評の動画配信番組をはじめようかと考えている（初回は8月18日夜）。これは、将来的には僕だけじゃなくて、他の企業や団体も巻き込んで大規模に展開する新しい言論をつくるための試行錯誤の場、という位置づけだ。自前でしばらくコツコツとやってみて、方法を洗練させた上で拡大していく、ということを考えている。

司会は、ニッポン放送の吉田尚記アナウンサーに個人的にお願いした。これまで、ほとんど政治的な発言をしてこなかった「局アナ」である彼に、少し無理を言って局外の仕事をお願いしたのは、ちょっとこれまでの、眉間にシワを寄せて何かに怒るタイプの討論番組「ではない」かたちを目指そうと思っているからだ。コンセプトは「論破しない」「冷笑しない」「誰かを叩いて気持ちよくならない」「コメントを読んで／つけさせて気持ちよくさせない」だ。

言い換えれば、朝ナマ的な議論ゴッコでもなければ、ニコ論壇のような、負けたほう、弱い方を後出しジャンケンで集団リンチする快楽を提供するスネ夫的冷笑主義や、アベプラのような事実上無内容な論破ゲームの提供装置「ではない」かたちを模索することだ。

もちろん、それぞれの番組の達成を僕は否定しない。むしろこれらの番組が何をなし得て、そして何をなし得なかったのかをフェアに検証することから、自分の番組の手がかりにしてみたい、というのがこの文章の趣旨だ。