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板金の鶴を販売した理由と販売してみて分かったこと。

こんにちは。株式会社ウチノ板金 代表の内野友和です。

弊社は屋根・外壁・雨樋の修理をしたりする会社(屋根屋さん)なのですが、2017年から工芸品の作製・販売する「和國商店」というブランドを立ち上げています。

「なんでで屋根屋さんが、こんな事やってるの?困ってるの?儲かるの?」って聞かれます。

いやいや、もちろんメイン事業である屋根の雨漏りを直したり、雨樋を修理したりする方が、まだまだ需要がありますし、収入には直結します。

じゃ、なんで?って。

【板金屋は過酷なんです】

屋根の上は真夏は50℃を越え、真冬は氷点下という劣悪な環境の中、屋根の傾斜に耐え、重いものを持ったりの作業をしています。最悪、真冬は動けば多少暖かくなので、多少マシなのですが、真夏は限界があります。

一日4リットル以上の水分を補給しても、朝トイレに行ってから家に帰るまでトイレに行かないくらいカラカラ人間になります。

そんな環境故、特に年配の職人さんはとても危険な環境なのです。

【だから職人さんの引退後の道を考えた】

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そんな年配の職人さん達が現場から引退した後も、その貴重な技術を生かし生活をすることができ、社会からその価値が改めて評価されリタイア後も輝き続けることができたらどんなに幸せか。そして引き続き、社会に感動を与えることができないかと考えていました。

僕たちが今こうやって職人だと胸を張って言えるのは、そんな先輩職人さんたちが連綿と続く技術を過酷な環境の中、必死に継承してきてくれたから。

それを言葉だけで感謝を伝えるのではなく、形としてあげることが一番の恩返しだと思ったからです。

https://www.instagram.com/wakunishoten/

まだまだで満足いく結果とは程遠いですが、和國商店のホームページに辿り着き、このコンセプトに共感してくださり、商品をご購入してくださる方がいらっしゃいます。本当に大変ありがたい事です。

特に最近は海外から購入される方が増えてきてました。

Instagramを見られたのか、アメリカ・フランス・イギリス・アイルランド・スイス・オーストリア・台湾・香港…。

「なんで折鶴を買ったんですか?」と聞くと自分用ではなくてギフトとして購入される方が多いです。家族・お友達・ご両親へと折鶴という縁起が良くプレゼントとして購入されるようです。

自分自身の結婚式のウエディングケーキに飾りたいと、購入される方もいて、改めて金属の折鶴の可能性を私達も感じています。

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【職人に魅力を感じない若い層に向けて発信する】

僕らの建設業(建築業)は若い担い手が本当に少ないんです。特に板金屋さんは。

ウチの会社の職人さんは10代・20代・30代・40代で形成していて、業界の中ではかなり珍しい会社です。現場では40代は若いね、30代なんてレアキャラ、20代なんて絶滅危惧種、10代なんて二度見、三度見されます。

じゃ、なんでそんな建築職人がいないのか。

それは今まで先輩方がやってきた教育手法(必殺奥義「見て覚えろ」の技)が良くなかった説。もありますが、私が思うに一番は先人たちがこの仕事の「魅力」をつくる事・伝える事ができなかったというのがあると思います。

ただでさえ、技術の会得が難しく、暑い寒いの環境、3Kと言われる。よっぽど、この仕事が好きで好きでたまらないか、プライドでやっているか、鈍感力が高くないと、長続きはしません。僕も数々の若い板金職人を見てきましたが、9割は親父と一緒にやっている(私も含めた)親の背中を見てきて育った二世職人でした。そんな世界です。

【予想もしなかった雇用への影響】

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一昨年入社した他業種からの転職した職人未経験の20代スタッフ。なんでこの業界を選んだの?なんでウチの会社に来たいと思ったの?と改めて聞くと、こんな答えが。

「いつか、あんな綺麗な銅板の折鶴が作れるようになれるのならチャレンジせずにはいられなかったんです。」

これを聞いた時、僕が考えてた職人の引退後の支援の他に、「技術・企業のPR→魅力づくり→若者の雇用」に繋がっていたのかと発見がありました。

屋根工事を生業としてやってきた私たちは屋根の大切さ・建築技術の重要さ”ばかり”をPRしていたのですが、それは間違っていたんです。

完成した屋根をホームページやInstagramにアップして、どや!っても響かない。一般的には屋根は雨漏りしなければいいじゃん。と思うのが当たり前。だったら、希少な板金技術を分かりやすく身近なもの(折鶴)に変化させて、感動を与え、興味をもってもらう。

それが『伝え方』なのではないか。とても勉強になったエピソードです。

【和國商店の今後】

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アートの世界は群雄割拠、レッドオーシャンです。世界にいったらもっと。

今後はその魅力を世界に発信するために海外展開を進めています。

和國商店 主宰 内野友和

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