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設計事務所から確認機関へ転職した理由

この前の記事で建築基準法バリアフリー化みたいな記事を書く!と意気込んでいましたが、別に常に同じテーマでなくていいと思いますので、今回は自分のことを書こうと思います。

01_経歴

今私は設計事務所に所属しながらワクコエテという屋号で個人で建築基準法に特化したコンサルタント業務を行っております。

経歴としましては大学→大学院→設計事務所(4年)→確認機関(10年弱)→設計事務所+ワクコエテ(2021/5~)です。今クライアントとお話をしていて、「どうして確認機関やめたんですか?」という質問をうけます。確認機関時代は「どうして設計事務所をやめて確認機関に転職したんですか?」という質問をうけてました。
今回は「何故設計事務所をやめて確認機関に転職したんですか?」という問いについて書こうと思います。

といっても、10年以上も前の話でうる覚え。確認機関に出した履歴書をみて書き出すという始末です。思い出しながら書きますので散文調になってしまうかもしれませんがご了承ください。

履歴書

02_学生時代

そもそも大学院時代は計画系のゼミに所属しており、別にバリバリの意匠系の学生でもなく、今思えば将来のビジョンもないフワフワした学生だったかもしれません。では何故そんな学生が設計事務所へ就職したかというと、結果「たまたま」です。大学院時代とある先生の紹介で私が就職した設計事務所でアルバイトとすることになり、そのまま就職することになりました。この業界ではよくあるやつだと思います。
そのアルバイトというのが青焼き図面をひたすらCAD化するというお仕事。それが膨大な案件数あり、友達と寝ずに行うという過酷なものでした。その時にJWCADを習得しました。

03_就職

通常大学院卒業後就職するのがセオリーかと思うのですが、私はその前の年の夏に卒業前なのに就職をしてしまうという飛び級をしてしまいました。ですので修士論文はその事務所で泊まりながら書いておりました。ちなみにアルバイトを一緒にしていた友達も同様です。

大学院卒業後そこから4年間その設計事務所にてお世話になり、一通りの設計・現場監理を担当。共同住宅・戸建て・物販・工場等、結構多様な用途を幅広く経験させてもらいました。
そのころから確認申請も対応しており、H19年建築基準法の大改正(構造計算適合性判定制度の導入等)の頃ということもあって、とても確認申請をおろすのに大変苦労した記憶があります。
しかし、何も知らない新入社員である私の質問を懇切丁寧に対応してくれた確認機関の人が4年後、私の上司になる人だったので「縁」って本当にあるなと思ってしまいます。

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04_卑屈

一級建築士試験にも合格した3年目ごろから、今後のキャリアについて考え始めていました。一番の命題だったのは「これからこの業界で如何に戦っていくか」でした。正直私はそんなに意匠というかデザインに興味が持てず、卒なくこなせるのですが、「第一線で戦っている人の足元にも及ばない」みたいな卑屈感に囚われてしまっておりました。

何か月か考え、出した結論は「希少な武器を持つこと」です。その頃、設備一級建築士や構造一級建築士の人材不足が如実で、この分野はブルーオーシャンなのでは考えており、いっそ意匠から別分野へジョブチェンジの道を模索し始めました。まだ二十代後半でしたので、まだまだいけるというスタンスです。設備にいくか、構造にいくか、真剣に悩んでました。

05_たまたま


しかし結果、私は確認機関に転職を決めました。
何故かというとこれも「たまたま」です。
2010年の年末、確認機関のホームページから検査の予約をしようとしたところ。中途の募集をみつけ、「これだ!!」と応募。お正月休みを利用し、初めての履歴書を作成し応募。その後、確認機関への採用が決まりました。
決め手はよく考えてみれば私の修士論文は「都市再生特別措置法」に関するもので、そもそも法規という分野に興味があったということ。
そこにも「縁」があったようです。

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またこの頃は若い確認検査員はとても少なかったというのあります。今現在の正確な統計は分かりませんが、その頃建築基準適合判定資格者の年齢構成で30代以下は全体10%も満たなかったと記憶しております。実は今も相当高齢化しているので、20~40代の建築基準適合判定資格者の需要は今も高いと思います。
要は確認機関は若い人材の需要がある、と感じたというところです。
建築基準適合判定資格は一級建築士を取得後、2年の審査経験を有しないと資格試験をうけることができません。ですのでなかなか新卒採用が難しいというところでしょうか。

私は「希少な武器を持つこと」という動機から確認機関を選択したので、正直3年ぐらいで次のキャリアを決めようと考えておりました。気が付けば10年弱。確認機関のお仕事についてはまた別の機会に書こうと思います。

06_余談


私がお客さん時代に信頼していた確認機関の担当の方に聞いたことがあります。
私「なんで確認機関に転職したんですか?」
担当「建築って1割楽しくて、9割苦しくないですか?」


私は苦しくはなかったのですが、そういう理由で次なるステップを歩みだしてもいい、ということはかなり衝撃でした。

自分の中ではネガティブな気持ちで物事を決めることには抵抗がありました。常にクリエイティブであれ!、みたいな変なカッコをつけていたのかも知れません。

信頼し尊敬していた方に言われると「別にいいのか!」と力が抜けました。

※その担当の方はいまも確認機関で会社を支えております

別に1つの事項に必ずしも、しがみつかなくてもいい。
常にポジティブでなくてもいい。
もっと気楽に自然体に。

その10年以上前のやりとりを今もたまに思い出してしまいます。

おしまい。



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