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後輩が苦手でも先輩にはなる。

「最上級生になったんだけん下級生の手本となるような行動ばせなんよ。」
学校教育法で"最後の学年になったら言わなければならない"と決まっているか、
それとも教師全員、言わなければ死ぬ病気にでも罹っているのか。
小・中・高校と最後の学年になる度、担任の先生からこの言葉をいわれてきた。
最上級生になることを嬉しがる人は多い。理由は単純だ。上級生がいなくなるからだ。
なかには「俺の時代が来た!」なんて言っているやつもいた。
大丈夫、お前の時代は一生来ない。
そうは言っても上級生がいないことで幅を利かせることができるのは確かだ。
特に部活動。準備、後片付けは後輩に任せて十二分に部活に集中できるし、何かあれば後輩を足代わりにできる。でも私にとってはそんな事どうでもいい。
上がいなくなるということは、後輩が増えるということだ。
なにを当たり前のことを言っているんだと思うだろう。でもこれが私にとっては重要なことだった。なぜなら今まで先輩に押し付けていた教える・頼られるという責務を負わなければならないから。
いつからこういう考えに至ったかは覚えていないが振り返ってみると小学校のときには下の学年に苦手意識を持っていたように思える。


小学校最上級生のとき部活の副キャプテンをしていたけど、後輩の名前は一人として思い出せない。

中学のときもそう。中学ではキャプテンを任せられ、本当の意味で周りを引っ張る立場だったにも関わらず、全く思い出せない。一緒に試合に出ていた後輩ぐらい思い出せるだろうと思っていたんだけど、改めて思い出そうとしてみても無理だった。
なんで覚えていないんだろう。
たぶん私の損得勘定でしか考えられない部分が出てしまっていなのかもしれない。
元々そんなに関わりがあったわけでもないし、小学校から見知っている一個下の子たちが、中学に上がった瞬間に、学校で会うとお辞儀をして挨拶をしてくる。
恐怖だった。こっちにはそれに値する事は何もできていないし、今後もできるとは思えない。それなのに私の同級生は、そんな後輩に「声小さくない?」とか「声出てないじゃん」とかすぐにいびって楽しんでいた。まてまてまて、、逆におまえら先輩に挨拶してたか?少なくとも私は聞いた事ない。
でもいま私がここに綴っているのは私の主観であり、私に都合がいいように改編されているのかもしれない。私が後輩の挨拶や部活中の行動に対して特に何もいわなかったのも、後輩からしたら“なにをやってもやらなくても怒らない先輩”、“自分たち後輩には興味がない先輩”というふうに映っていたのかもしれない。逆に私の同級生は、“私たちのことを見てくれる後輩想いの先輩”だったのかもしれない。
好きの反対は無関心とかいう格言?もあるが、“後輩想い”の反対も“無関心”に違いない。

そんな私にも集団に所属している限り、後輩は否応にもできてしまう。
高校時代はサッカー部、大学時代にはボランティア、サークル、バイト。

いずれも"そういうの"が好きな後輩想いの先輩に上手いこと押し付けて、私は先輩や先輩みたいな人との関係性の構築に奔走していた。

✂キリトリセン✂---------------------------

この記事はずっと下書きに残ってて、確認したら、2年前の4月に書き始めたものだった。

その当時、社会人2年目になったばかりの私に直属の後輩はいなかった。
他営業所の後輩、先輩になった同期を見て感じたことを綴っていた気がする。
「よくそんなに偉そうに話せるなぁ。まだ何も成し遂げていないのに。。」
こんな皮肉を言いたいがために。

そんな私にも今年の4月に後輩ができてしまった。
新卒は550人ほどいるらしいが、各々配属されるのは10人足らずの事務所。
その一番歳の近い私は、彼の直属の直近の先輩にあたってしまうのだろう。
なんなら、会社から後輩の面倒を見るための役職まで与えられてしまった。
退路が断たれた。なんて思っているのは、私だけだろう。
いままでは卒業までの数年間上手く逃げればよかった。ただ、大学以降の卒業は普通だと退職。
超高齢化社会のいま、退職が70歳になるのではないかと言われている。
いまから45年、私に逃げることはできるのか。
というか、後輩との接し方をおぼえればいいだけだ。

配属されて2週間ほど、先輩との対応はうまく、癖の強い職場でも地雷を踏み抜くことも少ない。というか私がいなくてもうまくいくだろう。
逆に、私の先輩面の練習台になってもらおうと今は思っている。
謙虚で頼りがいのある先輩になれるように頑張りたい。

新生活と同じだ。
初めての一人暮らし、今まで一回もしたことのなかった、炊事、洗濯、掃除。やらなきゃいけなくなったら、できるようになる。

後輩が苦手でも先輩にはなる。
ならなきゃいけないんだ。






と、ポジティブな結末にしておく。

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