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古墳ポタリングとノンアル新年会

20年来の自転車仲間が集まって、ポタリングとノンアル新年会をやった。ポタリングのコンセプトは「清水区古墳めぐりポタリング」なのである。

1月7日(日)午前11時に清水駅東口に集合した面々は合計4人。PBPブルべを何度も完走している八王子のI氏、輪行のスペシャリストで最近はコーヒーの自家焙煎に凝っている横浜のH氏、出力過剰であちこち走り回っている清水のT氏、そして同じ清水区の私、白鳥の計4人だ。

ほぼ20年ぶりの再会となるメンバー同士もいて、集合場所でしばし歓談。車種は今日はみんなミニベロなのだ。たいした距離も走らないし、坂も少ないので、輪行に楽な自転車で来てもらった。I氏はBD-1もどきのミニベロ、H氏はBD-1(Birdy)、T氏はダホン、私はありがたくも先輩から頂戴したBSモールトンである。

歓談もいつまでも続けるわけにはいかないので、おっとり刀で出発する。まずは市街地を横切っていく。その途中で、宴会から参加するSドクターの医院の前にさしかかる。レトロな建物を道路から見学する。

最初に訪れたのは、「秋葉山古墳」。一帯は小さな丘の連なった公園になっている。古墳の由来を示す看板などは特にない。でも、静岡市内ではあまり見かけない落葉樹の生えた山肌などがあって、ちょっと関東の雑木林風の景観が見えるところもある。

裏道を辿って次に訪れたのは、「神明山古墳」。ここは神社になっているのだが、高木に覆われていて、古墳の形状は判然とはしない。私はこれが初詣だったので、お参りする。

再び裏道に出て、国道1号バイパスの下をくぐり、庵原川に沿って草ヶ谷と呼ばれる地区に入っていく。このあたりは拙著『静岡で愉しむサイクリングライフ』にも詳しく書かせてもらった。

私の母の昔の実家の傍らを通り、鄙びた道をゆく。丘のような地形を横切って、「三池平古墳」に達する。駐車場とトイレのある広場から、遊歩道を自転車を押して上り、さしわたし50m以上ある前方後円墳の頭頂部に近いところに出て、そこに自転車を置き、頭頂部まで階段を上る。

眺めがいい。標高は55mあって、清水港や市街地や日本平を遠望できる。清水港の全景を眺めるのは日本平があまりに有名だが、ポタリング的なサイクリングには、標高約300mはいささかハードだ。「三池平古墳」ならちょっと登れば到達できるのである。

「三池平古墳」で歓談する3氏。風もほとんどない穏やかな冬の日で、実に快適だった。柵の中は、石室のレプリカが設置されている。

「三池平古墳」は戦後、庵原のミカン畑の中から偶然に発見された。私は中学生の頃、社会科の勉強の一環で友人たちとここを訪れたことがあるが、草ヶ谷の祖母に案内された古墳の石室のあたりには、トタン小屋が差し掛けられていて、内部はよく分からなかったことを記憶している。

時間も押してきたので、次の目的地に向かう。古墳への取り付け道路のような形で整備された道を下り、途中から右に折れて、「大乗寺」の境内に出る。ここは舌状段丘の突端に位置していて、遺跡があったことでも知られている。古代の昔、「いほはらの国」が静岡一円を支配していた頃、ここに国府があったように言われているらしい。私の母の実家の墓地もここにある。

さてそれから、今度は「埋蔵文化財センター」に向かう。「三池平古墳」は20世紀になって発見されるまで盗掘にあっていない貴重な古墳なので、その埋葬品が展示されているのだ。

「大乗寺」から「埋蔵文化センター」に向かう道は、ロケハンをして裏道で行けるようにコースどりを考えておいた。幹線道に出ることなく、横砂地区の山裾にある施設に辿り着いた。

早速入館するが、驚くべきことに無料である。したがって展示にはあまり期待をしていなかったのであるが、実際にはかなり質の高い展示がなされていた。照明もよく工夫されており、「三池平古墳」から出土した銅鏡なども見ることができた。

入館無料とは思えない「埋蔵文化センター」の内部
「三池平古墳」の出土品を見るH氏。左下隅に銅鏡がある。
「埋蔵文化財センター」の入り口の前に勢ぞろいしたわれらがミニベロ。左からI氏のBD-1もどき、私のBSモールトン、H氏のBD-1(Birdy)、T氏のダホン、なのであった。

「埋蔵文化財センター」を出発する前に、新年会から参加するSドクターに電話をかけ、これから隠れ家カフェに向かうことを告げる。カフェまでは6kmほど距離があるので、そうそうのんびりもしていられない。

旧国道1号線に出たところで一瞬興津方向に走り、横断して旧東海道に入る。このあたりは旧街道の残り方が複雑で、旧東海道全線を走ったH氏も「ここは走っていなかったな」と仰る。

短い旧道セクションのあと、横砂の旧静岡鉄道清水市内線の車庫があったあたりに至る。現在は保育園となっているのだ。ここから南に向かって延びている旧線路のあとが自転車歩行者道になっており、庵原川の河口付近までそこを辿る。

庵原川の鉄道橋は1974年7月7日の「七夕豪雨」で流されてしまい、それで清水市内線は廃線となったのである。庵原川を旧国道1号の橋で渡り、ポタリングはさらにその軌道跡に沿って進む。

それから市街地を横切って巴川の橋を渡り、再び旧東海道を少々走った後、静岡鉄道桜橋駅の近傍にある隠れ家カフェに達する。このカフェは秘密の場所なのだ。どっちみち検索してもほとんど出てこないけどね。

全員自転車を施錠して店内に入る。Sドクターはすでに到着して待ってくれていた。14時から14時半の間に到着ということでお願いしておいたのだが、14時20分頃に現地に着いた。

さてそれから運ばれてきた料理が凄い。お店オリジナルのノンアルシャンペンで乾杯したあと次から次へとテーブルに並んだ料理は以下の通り。

●ローストビーフ、チーズなどのオードブル
●たっぷりのグリーンサラダ
●タイ、マグロ、ブリ、明太子などのお刺身
●フランスパンとデニッシュ
●揚げ出し豆腐などのオードブル
●チキンとポークのピカタ風オーブン焼き
●サクラエビのパスタ
●野菜たっぷりのドライカレー
●苺とチョコレートアイスクリーム
●ノンアルビール
●コーヒー

オードブルとお刺身とサラダだけでこのボリューム!
出ましたメインの肉料理。このあとまだパスタとドライカレーとデザートがやってきます。

てな具合で、お腹を空かしてきた甲斐があり、大満足でありました。たっぷりの量があるのはもちろんだが、どれも格別に美味しいのだ。途中からはマスター氏も会話に加わってくれ、話に花が咲いた。久しぶりに会った仲間が多かったこともあり、話は尽きなかった。

というわけで大変愉しく美味しかった「ノンアル新年会」は約3時間近くも続き、17時過ぎに終了。ここで奥様が迎えに来られるSドクターとマスターご夫婦とお別れし、自転車組は再び清水駅西口に向かう。

輪行のH氏とI氏はすぐに自転車を袋に入れ、横浜のH氏はそのまま東海道線に乗ったのだが、八王子のI氏は甲府回りで帰りたい、身延線は乗ったことがないし、とのたまう。

それはいいけど、接続は大丈夫?と聞けば、特急富士川に乗れば、甲府で中央線上りの接続があるという。このとき時刻は18時くらい。次の特急富士川は1955である。

それじゃ時間が余ってしょうがないだろうから、コーヒーでも付き合うよ、と出力過剰T君と私と3人で、自転車を施錠して駅前のマックに入り、また歓談の続き。

さてそれからI君を見送り、残り2人は自転車で家路についた。遅くなってから、ちゃんと甲府で乗り換えられたかどうかI氏にメールを打ったが連絡が来ない。

翌日になったら驚くべきメールが来た。曰く、甲府駅での接続に乗り遅れ、中央線大月駅前で夜を明かすことになり、そうはいっても寒くてどうしようもないので、周囲を歩き回っていたところ、警官から職質を受けさんざんだった、0502の始発で八王子に帰れました、とのこと。

というわけで、話に後日談がついたものの、愉しいポタリングとノンアル新年会でありました。

ご支援ありがとうございます。今後とも、よろしくお願い申し上げます。