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頑張りすぎているあなたへ『夜明けのすべて』

観てからだいぶたってしまいましたが、感想を書き留めます。

『夜明けのすべて』
原作:瀬尾まいこ
監督:三宅唱
脚本:和田清人 三宅唱

<あらすじ>
PMS(月経前症候群)のせいで月に1度イライラを抑えられなくなる藤沢さんは、会社の同僚・山添くんのある行動がきっかけで怒りを爆発させてしまう。
転職してきたばかりなのにやる気がなさそうに見える山添くんだったが、そんな彼もまた、パニック障害を抱え生きがいも気力も失っていた。
職場の人たちの理解に支えられながら過ごす中で、藤沢さんと山添くんの間には、恋人でも友達でもない同志のような特別な感情が芽生えはじめる。
やがて2人は、自分の症状は改善されなくても相手を助けることはできるのではないかと考えるようになる。

映画の中では、自転車のシーンとプラネタリウムで語る「夜についてのメモ」の言葉がとても印象的でした。
私が好きなイギリスの言葉「夜明け前はいちばん暗い」もその中に出てきました。
夜についてのメモは原作にはないことにびっくり。
理解のある職場は、失ったものがあるからこその相手への優しさでした。
また、藤沢さんはおすそ分けが好きで、自分から与える人。
山添くんは、賞状やトロフィーが飾ってあり、病気前は、努力しながらバリバリやってた人だと、そのシーンから感じとれました。

自転車のシーン

山添くんが登り坂で、自転車を降りて、引っ張りながらゆっくりと歩くシーンがあります。
その横をお母さんが子供を乗せながら、おそらく電動自転車ですいすいと通り越していきます。

人によっては、ある力を借りて(電動自転車)、自分だけじゃなく子供まで乗せて、難なく登り坂を登り切ることができる人だっています。むしろそれが当たり前のような世の中。

でも、それが普通で当たり前なんでしょうか?

生きている中で、力を借りることができず、自分ひとりのことさえ上手くこなせないことがある。
でも、それが普通じゃないとか、もっとできなきゃとか思わなくていい。

勝手に自分への期待とかハードルを上げすぎているだけ。
前はできたのにとか、これくらいできて当然みたいに思うと、自分の身体なのに、コントロールできないことへの苦しさ、虚しさが残る。
あなたは、十分頑張っているよ。

そう気づかせてくれるようでした。

この映画を見て感じたメッセージ

自分の身体なのにコントロールできないもどかしさ
大切な人を失って、残されても生きていく寂しさ
頑張りきれない自分への嫌悪感
それでも世界は知らん顔して続いていく
夜が明ける

何かを失って、余白ができて、ようやく誰かに優しくできるのかもしれない

そして、みんな頑張りすぎだから
いいんだよ、ときには何かのせいにして

これくらいできて当たり前なんて、
勝手に決めつけないで
スピードの速い世の中で生きてるだけで、
充分高いハードルを何度も超えているのだから

頑張ったね、今日も。ゆっくり休んでね。


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