愛する娘になるために、悪魔は少女の仮面を被り食卓につく【映画:エスター ファースト・キル感想文】

もしも、いなくなったはずの天使のようにかわいい愛しの娘と数年ぶりに再開した時、見た目は同じでも、中身が悪魔に変わっていたとしたら、それでもその娘のことを愛することができるだろうか。

前作から10年以上経っての2作目。続編でありながら前日譚。
これは、彼女がエスターになるまでの物語。
 
前作で特大のネタバラシをした状態での今作。
前作では、エスターが何者なのかわからない恐怖があるが、今作ではその正体がわかっている。だからこそ、より恐ろしいと言ってもいい。
 
今作の舞台は、4年前に愛娘が行方不明になったオルブライト家。
その娘こそがエスター。4年ぶりの感動の再会……のはずだが、このエスターには秘密がある。それは、完全なる別人だということ。
こうして、血と悲鳴に塗れた、エスターとオルブライト家の運命の出会いが果たされる。
 
正体を隠し、愛しの娘として過ごそうとするエスター。喜ぶ父親をよそに、母親と兄はどこか不自然な様子。
なぜなら、オルブライト家もまた、ある大きな秘密を抱えた家族だったのだ。
全く秘密のない家族もいるかもしれないが、家族とはいえ、多かれ少なかれ秘密はあるものだ。
ただ、この家の秘密は、開けてはならないパンドラの箱系の秘密であり、エスターの登場で、その禁断の箱が開けられてしまう。
 
オルブライト家の秘密が明らかになった時、今作でもどんでん返しを味わうことになる。
そこからは、単なる被害者家族としては見られなくなり、むしろ、エスターの方に感情移入してしまい、応援したくなりさえする。
よくないとは思いつつも、嫌な奴がひどい仕打ちを受ける姿にはスカッとしてしまう。エスターの行う仕打ちはひどすぎるが、今作では、その行為もやむを得ないのではないかと思わせる部分はある。
 
秘密を抱えた者同士が交わる時、そこで起きるのは、共有ではなく、対立。勝ち残れるのは片方のみ。
エピソード0なので、物語のゴールはすでに知っていたが、プロセスを知ると、前作で聞いた内容から印象がガラリと変わる。
 
この作品で、エスターになろうとした“少女”はエスターとなる。そして、前作の物語へと歩んでいく。
エスターに歴史あり。こうして、彼女の人格が形成、いや、崩壊していったと思うと、今作を踏まえた上で、前作を見ると、また違った印象を受けるかもしれない。
 
さあ、現実では10年以上前だが、作中では1年後の彼女にまた会いにいこう。
 
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●霊ではなく人間の怖さを感じたい人へのオススメ度  :☆☆☆☆
●誰かに愛されたいと思ったこちがある人へのオススメ度:☆☆☆☆
●家族は仲良しが一番、大好き!な人へのオススメ度  :☆☆
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