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わかおの日記252

ここでは詳しく書けないのだが自分は2週間ほどインターンに行っていて、しかもそれが心身を削る激務であったゆえ、その反動で体はラーメンを求めてやまなかった。昨日家のそばで食べた微妙なつけ麺では満ち足りなかった欲望を補完するために、彼女と三鷹の名店「さくら井」に赴いた。

果たしてラーメンは期待を裏切らない味で、複雑な味わいの醤油は鶏ベースのスープに支えられており、時折主張してくる乾物の香りが複合的な旨みを構成していた。低温調理のチャーシューは噛めば噛むほど旨味の溢れる夢のような逸品で、昨日食べた雑な低温調理の鳥チャーシュー(こちらは噛むと鳥の臭みが仄かに漂ってくる)とは明らかに一線を画していた。麺も自分の好みよりは少し柔らかめだったが、スープによく絡み全体の調和を妨げない。この調和の取れた一杯は、バンドに例えるならばなんだろう、なんか上手い例えでバシッと締めたかったが、そもそも自分は調和の取れたバンドを聴かないのでいい例えが思いつかなかった。これは予定調和で文章を書いていない証だ。悪く言えば見切り発車だ。

その後は彼女と近場のカフェで時間を潰した。なんとなく浮かれた気分のまま、普段なら絶対頼まないポップコーンアイスキャラメルラテを飲んだが、おかげで血糖値が爆上がりして意識朦朧となった。この2週間ほどで確実に太っている。このままだとヒカキンまっしぐらなのでそろそろ節制しないといけない。

彼女と別れて帰宅し、インターンも終わったことだから何か創作したいと思いノートを広げたりギターをつまびいたりしたものの何もいい案は出てこず、だからといって小説を読んだり映画を見たりのインプットをする気にもならず、ただ悶々として過ごした。インターンで天才たちを目の当たりにしてからというものの、どうも自信を失っている。

自分は結局学校教育の中で上手くいっただけの人間で、全くの自由から何かを作り出すことなどできないのではないかとか、不安が頭をもたげてくる。しかし自分にできることはこんなことしかないし、何かを作っていないと辛くなってしまう人間であることは確かなので、ウンウン唸って駄作を生み出すしかないのだ。とりあえず明日は『万延元年のフットボール』に手をつけたい。


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