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わかおの日記257

今週の頭から、ぼくを置いて家族がみなグアムに旅立ってしまった。最初こそうるさい弟もいないし、襖一枚隔てた隣の部屋で轟音のイビキをかいて寝ている父親もいないことが嬉しくてしょうがなかったのだが、次第に寂しくなってきた。

自分が帰っても福ちゃん(犬)は寄ってこないし、ご飯は自分でなんとかしないといけない。洗濯も四日間くらいだったらしなくてもなんとかなるだろうと考えていたが、ついにストックのパンツが底を尽きたのでこんな夜分に急いで洗濯機を回して干している始末だ。

家に人がいないのをいいことに彼女を泊めたときは楽しかった。飯を作ったら、うまいうまいと言って食べてくれるし、もちろんその後の洗い物もぼくがやるのだが、それだって一応誰かのためにやっているという意味づけをできるうえに、感謝までしてもらえる。自分独りだと全てが自分のためだ。自分で自分に感謝するしかない。一人暮らしをしたら毎日がこれかと思うと流石に辛い。一人暮らしの大学生が毎晩のように鍋や餃子を囲み、エッチな宅飲みに文字通り精を出す訳もわかった。彼らはそうして孤独を埋め合わせていたのだ。

ぼくの彼女も、一人っ子ゆえに家族間のコミュニケーションが乏しいらしく、何も用事がなく家にいる時は頻繁にぼくにかまってもらいたがる。うるさい家庭で暮らしている贅沢なぼくは、家にいるんだから家族と話せばいいのにと思っていたが、なんとなく彼女が寂しいわけもわかった。ぼくの前で可愛くはしゃいでくれるのは、寂しさの裏返しなのかもしれない。明日バイトが終わったら、もっと一緒にはしゃぎたいと思った。

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